Vol.4 No.1 2011
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−55−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)報告:オープンイノベーションハブに向けた技術統合の方法論るかどうかを検証してみる。しかし、最近の課題は複雑化し、困難化しており、一つの科学技術の分野でなかなか解決できないので、個々の科学・技術分野を統合・融合し、実際に社会に実装していく。そこでまた新しい課題が見えてくるので、それをより的確な次への社会価値創出へ、というプロセスを動的かつスパイラルに推進し、これを深化につなげる、あるいはイノベーションにつなげることが必要ではないかと考えています。 芸術米国のCT環境問題感染症問題テロ問題資源・エネルギー問題分野・技術の融合潜在的課題の発見必要分野・技術の特定と育成地球社会価値の創出と実装根本的エンジニアリングの場科学・技術人文科学社会科学電子環境 ITロボット介護エネルギー環境医学バイオナノ数学化学物理グローバル化進展地球の持続可能性日本の人口減少・高齢化世界の人口増加世界の経済勢力地図変化地球社会根本的エンジニアリングパッシブ光ネットワークとFiber To The Home北山 忠善(三菱プレシジョン株式会社取締役社長、元三菱電機株式会社役員理事、通信システム事業本部副本部長) 皆さん方は光ファイバーをご自宅まで引かれてインターネットを活用されておられると思いますが、私達、これを「Fiber To The Home(FTTH)」と呼んでおります。パッシブ光ネットワークでできておりまして、最初に思いついたのが80年代、二十数年もかかってやっと日の目を見たシステムです。パッシブ光ネットワーク(Passive Optical Network: PON)の原点は、光ファイバーと光カプラと端末で構成される光ネットワークです。静止衛星と地上局で構成される衛星通信にヒントを得たものです。光応用計測制御システムプロジェクト(光大プロ)では衛星通信方式と類似の方式をリニアバスのネットワーク形態で試し、ローカルエリアネットワークの光化ではEthernetと類似の方式をスター型のネットワークで実現しました。その後、1990年代に入り、通信キャリアによる光加入者系の方式研究で生き残ったのがスター型を2段重ねたダブルスター型とよばれる形態のPONです。PONの商用化の過程では、既存の電話等のサービスとインターネットをATM(Asynchronous Transfer Mode)方式で効率良く収容する公衆通信(ITU-T)の動きと、ローカルエリアネットワークで採用されているEthernetを広域収容するコンピュータ通信(IEEE)の考えがありましたが、日本ではEthernetを広域収容するほうが安く、かつ高速化を図れば、電話等も容易に多重化できるだろうということになり主流となりました。電話は平均的・連続的に信号が流れますが、情報量は非常に少ない。インターネットは、情報量のピークレベルは高いが、瞬間的にしか信号が流れないということで、高速Ethernetを効率よく多重化するGEPON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)が選択されました。電話はVoice over IP方式により収容されています。このように、PONのアイデアは衛星通信から得て、光大プロ、ローカルエリアネットワークで試して、光加入者系で広く普及することとなりました。光加入者系においてはISDNやB-ISDNの時代がありましたが、更にそれを乗り越えてEthernetベースの世界に突入し、今日のGEPONの時代を迎えています。あと5、6年するとそれが10ギガになるだろうと言われています。この間、およそ25年かかっています。なぜ25年間も要したのか。その理由としては、デバイスのイノベーションを待たなければいけなかった、インターネットが登場するまでの需要の成長が必要だった、標準化の推進が必要だった、通信キャリアさんが電話サービスから電話サービス以外のサービスビジネスモデルを組むという変化が現れるのを待っていたということが挙げられます。25年の長きにわたるイノベーションの継続は、とても一企業でマネージできるものではありません。光大プロで技術の種播き支援、光Ethernetのローカルネットワークでの実用化や、初期のFTTH開発における通信キャリア、通信機器メーカー垂直統合型開発モデルを経て、特殊技術と設備を要する光回路、技術者集約型のシステムLSI、IEEE標準化活動等のオープンな連携により、パッシブ光ネットワークが短期間でFTTH本格導入レベルに成長できたのです。今後も開発に必要なリソースやリスク増大にしたがって、国家プロジェクトによる技術の種まき、支援、オープンな連携のイノベーションの重要性がますます高まるのではないかと思います。パッシブ光ネットワークの進展 パッシブ光ネットワークの進展 西暦 西暦 ビットレート(Gbit/s)ビットレート(Gbit/s)光大プロ 光大プロ 10GEPON10GEPONGEPONGEPONEPON(非標準) EPON(非標準) BPON BPON GPONGPONSTM-PON STM-PON IEEE802.3FP IEEE802.3FP 中規模 構内 光伝送方式 中規模 構内 光伝送方式 ローカルエリアネットワーク ローカルエリアネットワーク FTTH FTTH STM,STM,ATM ATM IP/Ethernet IP/Ethernet リニア、スターリニア、スターツリー ツリー 201520102005200019951990198519801010.10.01
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