Vol.4 No.1 2011
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−54−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)報告:オープンイノベーションハブに向けた技術統合の方法論型等の幾つかの類型に分けることができます。二つ目は、「研究分野と構成の特性」です。物理や化学、機械、デバイス技術や計測標準のように要素技術がおよそ明確に定義され、構成方法も比較的シンプルなものから、環境・エネルギー、地質のような複雑系、さらにはバイオテクノロジー、ヒューマンライフ、情報のように複雑相互作用になると、構成方法が変化し、複雑性が増していきます。最後に大きな課題として「社会導入に向けて」があります。社会導入には、技術開発とは独立・並立的な社会的な行為が要素に入ってくること、機能性以外の感性等の別の価値の付与やインパクトあるコンセプトの必要性等が挙げられます。また短期的利益を断念して必要な要素の種をまいて自律的構成を促すことも求められるでしょう。そして、技術だけの問題ではなく、社会からのフィードバックにどう応えるかということが重要になります。以上、私の問題提起とさせていただきます。(例) 戦略性(戦略とシナリオ) 社会での試用 アウフヘーベン型 ブレークスルー型 戦略的選択型 シンセシオロジー(構成学)における構成 社会導入のための構成 要素選択と組合せ 要素選択と組合せ 要素選択と組合せ 要素選択と組合せ フラクタル構造 フィードバック フィードバック (パネル討論)赤松 幹之(シンセシオロジー編集幹事、産業技術総合研究所) 『シンセシオロジー』は社会で使われる技術になるためのシナリオを意識して行った構成的な研究を記述する論文を掲載することを目的としていることから、イノベーション創出に向けた構成の方法論が見えてくるのではないかと期待しています。問題提起をしていただいた小林さん、日本工学アカデミーにおいて根本的エンジニアリングの考えを提唱されている鈴木さん、北山さんから光ネットワークの研究開発のご経験や、伊藤さんからカーナビ機能をつくられた経緯をお話しいただき、製品や社会への導入のための構成の方法論について幅広い議論を展開していただきたいと思います。根本的エンジニアリングの提唱鈴木 浩(GEエナジー 技監、日本工学アカデミー政策委員会TF幹事) 日本工学アカデミーは、個人がエンジニアとして社会やイノベーションにどう貢献できるかを目的としてできた組織ですが、そこで「根本的エンジニアリング」を提唱しています。最近、与えられた制約の中でのみ最適な答えを求めることがエンジニアリングの定義として固定化されているのではないかと感じています。一つの問題は、その制約が所与となり、これを解除できないという前提になっていること、もう一つは最適化に関してです。最適化には全体最適と部分最適とがありますが、どうも部分最適に陥っているのではないか。その二つのネックが今の日本にイノベーションが連続的に起きてこない原因になっているのではないかということで、もう一度、エンジニアリングを見直してみようというところから、「根本的」という名前を付けました。提言に至る動機ですが、私達は与えられた制約の中でいかに最適な答えを得るかを考えるとき、Howばかり考えているのではないか。しかし、Howの前にはWhatが必ずあるだろうということです。日本のものづくりを生かしたイノベーションを起こせばいい、という人がいますが、ものづくりといったときに、ほとんどの方が思い浮かべるのは「ものの作り方」です。Howのほうに視点がいってしまっている。What、「何を作るのか」ということ、そして、その背景のWhy、「なぜ作るのか」ということが大きなポイントなのです。第3期科学技術基本計画によって科学技術の成果が上がっています。一つ一つの成果はすばらしいものがあるのですが、最近、日本の中で起こったイノベーションは何か、というと、これがなかなか思い当たらないわけです。個々の技術や科学のすばらしいものは日本の中で出てくるのですが、これらがいわゆる“得点”に結びつかないというイメージを私は持ったわけです。根本的エンジニアリングを英語ではmeta-engineeringという名前をつけました。エンジニアリングの基本に返ったとき、まず課題があります。ただ、私達は、目に見えている課題、目の前にある課題に飛びついていたのではないか。その課題の裏には、もっと根本的な、しかも私達の見えていない課題があるのではないかということで、それを対象にしましょうということです。これらの課題に対して科学技術をうまく用いて社会実装していくためには、俯ふかん瞰的にとらえることが重要です。潜在的な課題をうまくピックアップし、どういう技術が必要なのか、どういう科学が必要なのかというアプローチをする。そして、すでにある技術や科学の中でその問題が解決でき

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