Vol.4 No.1 2011
52/74

−49−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)座談会:日本のものづくりとシンセシオロジー携を深めるかという論点になるかと思いますが、シンセシスのレベルを上げるために有効な方法にはどのようなものがあるでしょうか。柘植 シンセシスのレベルを上げるためには、図2に示すように知の創造と社会経済的価値創造を結合するパイプラインが分断されている現状の大改革が必要だと思います。忘れてならないのは、教育、すなわち人材育成政策との一体化です。政府が融合場と拠点の提供や、府省間の垂直連携強化、イノベーション政策を進めるとき、そこに必ず教育政策を一体化すべきだと思いますし、そういう仕組みの構築が重要です。政府の目指す「強い経済、強い財政、強い社会保障の実現」、それは持続可能でないといけません。持続可能なイノベーション創出能力強化には、教育と研究開発とイノベーションの三位一体振興が不可欠です。この構造を持つイノベーション牽引エンジンを回せば、シンセシスのレベルも自然と上がってくると思います。成合 レベルを上げる有効な方法として、私は「地域におけるヒューマンネットワークの活用」「会社の技術開発の伝統」「助け合う国民性」を挙げたいと思います。例えば、地域におけるヒューマンネットワークの活用では、1980年代に国立研究機関や企業が集まり、筑波研究学園都市が概成されました。そこで伝熱や熱工学の研究者が集まって情報交換を主目的とする研究会を始めたのですが、学会報告書だけでなく『次世代技術と熱』という形で本を出版しました。基礎研究を進める人、課題解決型の研究を進める人など多様な研究者が集まり、研究会における議論から各自の研究レベルが上がったと思います。現在は情報化時代が進み、30年前とは異なる情報交換手段もあると思います。つくばの研究会では頻繁に見学会を行い、実際にものを見せてもらい、大変有益であったと思いますし、地域におけるヒューマンネットワークはシンセシスのレベル向上に活用できると思います。矢部 つくばに大学、企業や国立研究所の人達が集まり、ニーズやシーズ、そして社会全体にどう見えるかを全員で議論した一つのUnder One Roofだと思うのですが、三者が集まったということが一つの大きな特徴だと思います。今、「つくばイノベーションアリーナ」をつくりつつありますが、研究組合がそのきっかけになっています。大学、企業、研究所が1か所に集まるのは、日本にとってはすごくいい方法ではないかと思います。柘植 まさにそうで、私の主張は大学院生がメインテーブルに座らなくても、先生が「夕方、おもしろい会があるから一緒に来い」と言って大学院生も参加する、これをもっと意識的にしたい。私自身の大学時代を振り返ってみますと、成合先生が博士課程におられて工学部で勉強会をされていたのですね。ああいう勉強会に行って、社会を支えているエネルギーを肌で感じることができました。持続可能な社会をつくる上でシンセシスはどのように発揮されるか図2 教育・研究・イノベーションの三位一体推進が必要

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です