Vol.4 No.1 2011
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研究論文:マイクロ燃料電池製造技術開発への挑戦(藤代ほか)−45−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)して、大容量機でも求められている課題のはずです。すなわちこの論文でターゲットとされている容量に限定される課題ではないはずです。これらの課題を解決する上で、「マイクロモジュール化」が有効であるのは明確ですが、この論文では、上記2課題と出力容量の関係の整理が不完全です。マイクロSOFC技術は10〜100 W級機のみをターゲットとするのか、それとも長期的には大容量機への拡張も狙うのか、現時点で技術的に対応できなくてもかまいませんが、戦略としてどう考えるのか、そこを明確にしないと電力ユーザーからは評価されないのではないでしょうか?(3)マイクロチューブ型モジュールとハニカム型モジュールの関係が、論文の中で整理されていないように思われます。時系列的にはチューブ型→ハニカム型となっているように思われますが、両者はそれぞれに特徴があって今後も用途に応じて使い分けるのか、それとも実用的にはどちらか一方に集約されるのか。それぞれの今後の課題は何なのか等々、説明が必要と思います。回答(藤代 芳伸)社会的意義としては、高効率のSOFCを特に家庭等で使用する場合、使用電力負荷に合わせてDSS(デイリー・スタート・アンド・ストップ)運転ができれば、より大きなCO2排出低減が可能であり、そのためには熱マネージメントが容易な低温での高性能化や急速作動停止が可能な高性能なコンパクトSOFCの実現が求められていると考えます。これまではセラミックス材料の抵抗の問題や体積当たりの電極面積を向上させる高性能化と高度集積化製造技術がありませんでした。高性能なコンパクトSOFCの実現に向け、AISTの有するセラミックス集積化技術により、これまでできなかった低温での高性能化とモジュールの高集積化を実現し、高効率SOFC普及によるCO2排出削減へ繋げることが大きな研究の意義であり、その機能性セラミックス部材製造技術の開発と(使いやすいモジュールの提示での)技術普及が研究戦略と考えています。具体的には次のとおり社会的意義を考え、修正した記述を致しました。(1)出力容量での課題と低温作動化および起動停止の高速化での課題解決の関係の整理について再考致しました。 ターゲットは発電モジュールとして、民生での電源ニーズが多い、KW級モジュールを想定しております。モジュール容量が大きくなるとモジュール容積も大きくなり、熱の出入りも多いので、熱制御での解決の面から、マイクロモジュールSOFCでの低温化や急な起動停止でも大丈夫なモジュール製造技術が有効となると考えます。 48ページ上段に、開発出力容量のターゲットと低温作動化および起動停止制御での課題解決の考えを記述致しました。(2)マイクロチューブ型とハニカムSOFC型の開発での流れが整理されていないとのご指摘と今後の課題については、再考し修正いたしました。議論3 マイクロSOFC技術の現状と課題、および課題解決のための戦略に関してコメント(清水 敏美)論文前半における記述から、産業ニーズや社会の要請に合わせて、コンパクトで高出力な低温型燃料電池の開発が重要性を帯びていることは理解できます。しかし、その根幹となるマイクロSOFC技術の開発動向、性能比較、問題点等が記述されていません。ところが、論文後半において、さりげなく性能比較表を参照させてこれまでにない独自のマイクロSOFCを実現したと結論付けています。読者が知りたいのは、まさにその表の詳細であり、それを踏まえた上での当該研究の戦略とその構成学です。表はもっと最初の方で有効活用すべきと思います。回答(藤代 芳伸)ご意見のとおり文章構成の流れにおいて、マイクロSOFC技術の開発動向、性能比較、問題点等の記述が薄く、その解決に向けた研究戦略の議論が弱いことを理解しました。一方、SOFC分野の中でマイクロSOFC技術は、残念ながら国内外でもこれまでモジュール開発が進まず、一般的に大きな技術フィールドではなく、産総研の強みを活かして具体化を進めているもので、これまでなかった分野について課題を明確にし、これから技術展開を進めるべき分野と考えております。技術戦略ロードマップ等に沿って、SOFC技術全般の中でのコンパクトで高出力な低温型燃料電池へ向けた技術実現の課題解決の一つが、マイクロSOFCでのコンパクトモジュール技術の実現であることを強調し、読者へ理解していただければと考えております。マイクロSOFCの技術指標はまだまだないのですが、世界的なベンチマークを示す必要性から、私達の技術の位置付けを明確にするために表での比較を示しております。上記の理由において、構成を再検討する必要があれば再考させていただきます。SOFCとしての技術課題が、低コストで使いやすい高出力な低温型燃料電池の実現であり、それによるCO2削減技術に向けた戦略であることを示すために47ページへ技術課題と解決での考えの説明を追記いたしました。コメント(立石 裕)議論2と関連しますが51ページの表2で、ここに示されている技術指標の意味の説明がないので、開発された技術がどのように「高性能」なのか読み取ることができません。またここに示されている結果が、マイクロチューブ集積型の成果なのか、それともハニカム型の成果なのかが不明です。回答(藤代 芳伸)技術指標としては、セル形状、材料、作動温度はマイクロチューブ型SOFCおよびハニカム型SOFCそれぞれで達成していた数値です。発電密度はハニカムでは燃料極電極厚さがマイクロチューブ型SOFCより薄いので、最高値はマイクロチューブ型SOFCの値です。ハニカム型SOFCの出力密度を追記し、注釈を入れました。3分での急速起動(217 ℃/min)はハニカム型SOFCでの実証データなので、注釈にて記述を致します。マイクロチューブ型SOFCでも単セルでは数分で起動しますが、モジュールでは現時点では200 Wレベルでバーナー起動にて10分(65 ℃/min)程です。
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