Vol.4 No.1 2011
47/74

研究論文:マイクロ燃料電池製造技術開発への挑戦(藤代ほか)−44−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)濱本 孝一(はまもと こういち)2001年東京大学大学院工学系研究科材料学専攻博士課程修了、博士(工学)。同年日本学術振興会特別研究員、2002年産業技術総合研究所シナジーマテリアル研究センター特別研究員、2008年先進製造プロセス研究部門機能集積モジュール化研究グループ研究員。電子セラミックス等の機能性材料化学と電気化学が専門。この論文では、主にセラミック集積化プロセスにおける電極積層技術を担当した。淡野 正信(あわの まさのぶ)1983年北海道大学博士課程修了。名古屋工業技術研究所、産業技術総合研究所シナジーマテリアル研究センター、先進製造プロセス研究部門を経て、2009年より、同部門副研究部門長。セラミックス材料科学が専門。この論文では、主に、高集積セラミックリアクター製造技術の研究開発を担当した。査読者との議論議論1 論文の全体的な評価コメント(清水 敏美:産業技術総合研究所ナノテクノロジー・材料・製造分野)この論文は、独創的なセラミックスの集積化製造技術を駆使することにより実現した、コンパクトで高出力かつ高効率な発電モジュール製品に関するアイデア、試作、評価結果に関して記述したものです。まさに現在、大きな社会問題となっているエネルギー問題の課題解決に資する内容であり、シンセシオロジー誌にふさわしい論文と考えます。しかし、全体的にプロジェクト報告書や技術解説書に類似する論理構成や表現記述となっています。したがって、燃料電池技術や関連技術に造詣が深い読者にとっては理解されても、その他の読者にとっては用語や図面構成を含めてかなり読みにくい内容となっています。査読者が議論2以降に示す気がついたポイント等を改善することによりさらに読みやすい、充実した論文になると思います。議論2 研究開発の基本的な位置づけコメント(立石 裕:新エネルギー・産業技術総合開発機構)全体として技術開発のポイントや流れは適切にまとめられていると思いますが、シンセシオロジーの論文としては研究開発の戦略の記述が弱いと思います。構成的に次の3点が問題かと思いますので、ご検討願います。(1)そもそもこの開発はどのような社会的意義があるのか、という記述が不足していると思います。セラミックリアクター技術としての開発であれば、いまの内容でもよいかもしれませんが、SOFCの開発と明言している以上、それなりの説明が必要です。これまでのSOFCになかった特性を実現するという技術的な目標は明確なのですが、成果により何を実現しようとしているのかがあまりはっきりしません。「AやBやCというこれまでのSOFCでは対応できない応用があり、それぞれに必要なスペックから、このような性能やコストを目標とする」という説明が最初に必要だと思います。時系列的には後から応用が見えてきているというのが実態かもしれませんが、論文としては、最初に開発の具体的な目的を明記するべきだと思います。(2)SOFCの課題として、低温作動化と起動・停止の高速化をターゲットとして挙げられていますが、これらの課題は本来は出力容量とリンクしたものではなく、求められるパラメータは別と執筆者略歴藤代 芳伸(ふじしろ よしのぶ)1995年東北大学大学院工学研究科応用化学専攻修了後、反応化学研究所(現東北大学多元物質科学研究所)助手、英国インペリアルカレッジ留学を経て、1999年に名古屋工業技術研究所に入所。機能性セラミックス材料化学と無機プロセス化学が専門。2009年より先進製造プロセス研究部門機能集積モジュール化研究グループ長。この論文では、主に低温型コンパクトSOFCモジュール設計および集積化プロセス技術の研究開発を担当した。鈴木 俊男(すずき としお)1995年東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻修了(修士)後、ユニチカ(株)に入社。2001年米国ミズーリ大学ローラ校(現ミズーリ科学技術大学)にてPh.D.(セラミック工学)取得後、同大学にてポスドク、リサーチアシスタントプロフェッサーを経て、2005年に産業技術総合研究所に入所。入所後はセラミックリアクター開発プロジェクトに従事。現在、先進製造プロセス研究部門機能集積モジュール化研究グループ主任研究員。この論文では、主にセル設計およびナノ電極等の製造技術研究開発を担当した。山口 十志明(やまぐち としあき)2002年名古屋大学大学院修了、2004年まで同大学工学研究科助手、2005年より産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門機能集積モジュール化研究グループ研究員。無機化学、固体酸化物型燃料電池等の機能材料・デバイスに関する湿式プロセス技術を専門。2010年米国コロラド鉱山大学で在外研究。この論文では、主にハニカム型SOFCでのセラミックス電極等の塗布技術の研究開発を担当した。V. Lawlor, S. Griessera, G. Buchingerd, A.G. Olabib, S. Cordinere and D. Meissnera: Review of the micro-tubular solid oxide fuel cell Part I. Stack design issues and research activities, J. Power Sources 193, 387-399 (2009).H. Iwai, N. Shikazono, T. Matsui, H. Teshima, M. Kishimoto, R. Kishida, D. Hayashi, K. Matsuzaki, D. Kanno, M. Saito, H. Muroyama, K. Eguchi, N. Kasagi and H. Yoshida: Quantification of SOFC anode microstructure based on dual beam FIB-SEM technique, J. Power Sources, 195 (4), 955-961 (2010). T. Suzuki, Z. Hasan, Y. Funahashi, T. Yamaguchi, Y. Fujishiro and M. Awano: Impact of anode microstructure on solid oxide fuel cells, Science, 325, 852-855 (2009).産総研, 日本特殊陶業, 東邦ガス共同プレス発表: マイクロチューブ型国体酸化物形燃料電池(SOFC)を集積したコンパクトで低温運転可能な燃料電池モジュールを開発 (2009).http://www.ngkntk.co.jp/news/2009/pdf/20090910b.pdf#search=‘マイクロチューブ型SOFCを集積したコンパクトで低温運転可能な燃料運転モジュールの発電に成功’低温動作型SOFCモジュール, 日経エレクトロニクス(2010年4月5日), 24, 日経ものづくり(2010年4月), 21, (2010).生駒圭子, 三輪博通: 日産自動車における車載用SOFCシステムの開発, 燃料電池, 10 (1), 70-74 (2010).[14][15][16][17][18][19]

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です