Vol.4 No.1 2011
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研究論文:マイクロ燃料電池製造技術開発への挑戦(藤代ほか)−43−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)の一方、マイクロSOFCにより500−650 ℃の低い温度域で、800 ℃レベルの高い出力密度等を実現し、学術的にもセル設計とそれを実現する戦略的な設計〜材料・製造プロセス技術〜評価技術を再構築したため、インパクトの高い実験成果が積み上がった。この技術では、電気的な直列構造や角砂糖サイズの2 W/cm3モジュールといった低温域の発電でのモジュール構造が実現されると共に、使い易い新たなコンパクトSOFCモジュールの実現への期待も大きい。5 まとめ〜新市場創出に向けた製品化展開マイクロSOFCとその集積モジュール技術は、これからのエネルギー産業分野では、日本の強みとするナノ〜ミクロ〜マクロサイズレベルでの高度なセラミックス材料および製造技術を活用する重要な技術である。その一方でSOFC技術は、定置型発電設備としての展開が大きな流れとなっている。私達のマイクロSOFC製造開発は、発電設備から次世代自動車や可搬型のポータブル発電技術等での発電モジュールとして、新たな製品展開のイノベーションに必要な低温化や急速起動性、ならびに出力とコンパクト性を具体化している。現時点で、モジュール構築が可能な数十W級〜数百W級の発電モジュール作製の実証はできているが、現在、幅広い適用へ展開するために用途に応じた技術課題を整理すると共に、多燃料での高性能化やkW級のモジュール製造実証を目指した開発を進めている。製品用途に合わせて、これらマイクロSOFCの特徴を活かした用途等を産業界へ提案することも可能である。その一つとして、現在、開発が進む電気自動車の航続距離を伸ばす技術として内燃機関を利用するハイブリッド技術や車搭載発電機を利用したレンジエクステンダ技術等が検討されている[19]。私達の開発するコンパクト発電モジュールは、内燃機関での限界を超えるエネルギー変換効率50 %(Well-to-Wheel)以上を達成できる高効率発電モジュール技術として、これら電源技術への活用が期待できる[19]。SOFCの多燃料利用の利点を活かして、水素インフラ整備に頼らない燃料電池利用の展開も注目される。今後、コンパクトSOFC発電技術において急速起動停止特性のさらなる向上や、多燃料利用での性能信頼性、並びに移動体発電モジュールでの必要仕様の技術課題を抽出し、その課題を解決していく。このような安全かつ安心な低コストモジュールへ開発展開することが、今後のナノテクノロジー〜材料・製造技術開発として取組むべき重要な対象であろう。また、資源やエネルギーの有効利用および低炭素社会の実現に向け、より多くの産業分野で使い易い低コストの燃料電池技術を世の中に届けることが優先課題と考える。そのためには、機能性セラミックス製造技術拠点での課題解決での挑参考文献総合資源エネルギー調査会: 長期エネルギー需要見通し, 資源エネルギー庁 (2010).J. Larmine and A. Dicks (槌屋治紀訳): 解説 燃料電池システム, オーム社 (2004).J.Weissbart and R.Ruka: A solid electrolyte fuel cell, J. Electrochem. Soc., 109, 723-726 (1962). C.S.Tedmon, Jr., H.S.Spacil and S.P.Mitoff: Cathode materials and performance in high-temperature zirconia electrolyte fuel cells, J. Electrochem. Soc., 116, 1170-1175 (1969).O.Yamamoto, Y.Takeda, R.Kanno and M.Noda: Perovskite-type oxides as oxygen electrodes for high temperature oxide fuel cells, Solid State Ionics, 22, 241-246 (1987).藤代芳伸, 鈴木俊男, 山口十志明, 濱本孝一, 舟橋佳宏, 清水壮太, 淡野正信: マイクロ固体酸化物燃料電池の研究開発, セラミックス誌, 44 (4), 308-312 (2009).藤代芳伸, 鈴木俊男, 山口十志明, 舟橋佳宏, 清水壮太, 淡野正信: 低温作動を目指したSOFCの開発, 燃料電池, 9 (3), 83-87 (2009).K.Kendall and M.Palin: A small solid oxide fuel cell demonstrator for microelectronic applications, J. Power Sources, 71, 268-270 (1998)., K.Yashiro, N.Yamada, T.Kawada, J.Hong, A.Kaimai, Y.Nigara and J.Mizusaki: Demonstration and stack concept of quick startup / shutdown SOFC (qSOFC), Electrochemistry, 70, 958-960 (2002).T. Suzuki, T. Yamaguchi, Y. Fujishiro and M. Awano: Current collecting efficiency of micro tubular SOFCs, J. Power Sources 163, 737-742 (2007).T. Suzuki, T. Yamaguchi, Y. Fujishiro and M. Awano: Fabrication and characterization of micro tubular SOFCs for operation in the intermediate temperature, J. Power Sources 160, 73-77 (2006).T. Suzuki, Y. Funahashi, T. Yamaguchi, Y. Fujishiro and M. Awano: Development of cube-type SOFC stacks using anode-supported tubular cells, J. Power Sources 175, 68-74 (2008).T. Yamaguchi, T. Suzuki, S. Shimizu, Y. Fujishiro and M. Awano: Examination of wet coating and co-sintering technologies for micro SOFCs fabricaiton, J. Membr. Sci., 300, 45-50 (2007).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]戦により蓄積してきた新たなマイクロSOFCとその集積モジュール技術を、多くの産業分野での適応性技術開発を継続して進めることが必要である。そして、マイクロSOFC製造技術での標準化技術を含め、セラミックス製造技術を軸として世界をリードする独創的技術の展開を目指す。謝辞マイクロSOFC製造技術開発では「セラミックリアクター開発」において、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の多大なるご支援へ感謝致しますと共に、連携企業の皆様、特に集中拠点で連携させて頂きましたファインセラミックス技術研究組合、(株)日本特殊陶業、(株)日本ガイシ、(株)東邦ガスの皆様へ深く感謝致します。
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