Vol.4 No.1 2011
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研究論文:マイクロ燃料電池製造技術開発への挑戦(藤代ほか)−41−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)された均質な多層薄膜を形成することが可能となる。この手法は、集積モジュール構造の作製での高集積化や、部品点数の低下での低コスト化のために重要となる。開発したプロセスでは、塗布過程でコーナー等の液剤が溜まり易い部分でも、制御条件により均質な塗布膜が基材に形成できるため、簡単な塗布製膜でセラミックス基材中のサブミリ径の微細孔へ孔の形状に関わらず制御された機能性層を形成できるようになった。この開発プロセス技術を電解質層や電極層のセラミックス電気化学構造の多層塗布へ適応し、サブミリ径の規則配列構造体へのセル形成に利用することで、ハニカム押出技術でサブミリ空間の孔が規則配列した電極ユニットを作製し、後から緻密な電解質薄膜や多孔質電極等の多層セル構造を塗布技術の組合せで形成できるトップダウン的製造法を実現した。この技術では、0.5−1.0 mmφ径の空間が数百個配列したバルク体(これまでの平板型SOFCの約20倍の体積当たりの比表面積である40 cm2/cm3)に10 μmの厚みの緻密電解質と数十μm厚の電極を形成することに成功し、新コンセプトのハニカム型マイクロSOFCを開発している[13]。以上のように、トップダウン的およびボトムアップ的製造技術でのマイクロSOFCモジュールの集積化に重要な設計〜製造プロセス技術を構築し、セラミックス電気化学デバイス製造における3次元での集積構造の新たな製造技術を提案している。4 革新的なセラミックス製造技術による新規コンセプトの低温作動型マイクロSOFC製造技術の実現〜本格的集積モジュールへの転換以上、紹介した開発技術により新たな高性能マイクロSOFC設計と製造技術をベースとして、これまで事例のない独自のマイクロSOFCが作製できるようになった。その結果、表2に示すようにサイズ、出力、低温化技術、起動時間の短さ等の技術指標にて、マイクロSOFC技術として高性能化を実現した[14]。マイクロSOFCの低温での発電性能の向上では、セルと集積モジュールのオーミック抵抗成分および反応拡散の抵抗成分等の構造的な抵抗因子の削減が不可欠となる。特に、抵抗因子の削減に関わる電解質層の薄膜化技術に取り組み、前述したスラリーディップコート工程と積層材の共焼成過程での材料収縮挙動等を解析し、図3に示した研究開発モデルのサイクルの中でシングルμm級の厚さで、欠陥のない固体電解質膜の形成に成功した。また、前例の少ない650 ℃以下でのジルコニア系電解質(ScSZ:スカンジア固溶ジルコニア)を用いたマイクロSOFC試作と独自の評価および解析検討により、電気化学反応抵抗成分および反応拡散の抵抗成分を詳細に確認した。低温域では、燃(b)(e)(d)(c)(a)セルCセルBセルA電圧(V)出力密度(W/cm2)電流密度(A/cm2)Z’ (Ω cm2)Z’ (Ω cm2)0.00.51.03.02.01.00.00.20.40.60.81.01.2200 Wモジュール1 Wセル還元後10 μm10 μm電解質薄膜化ScSZ cell中間層燃料極空気極~3 μm電解質1 μm37 %54 %47 %燃料極気孔率セルCセルCセルBセルBセルAセルA0.0-0.2-0.1-0.30.10.00.30.51.01.52.02.53.0-0.2-0.4-0.6-0.8-1.0-1.2Z’’ (Ω cm2)Z’’ (Ω cm2)セルAScSZ : 10 mol%スカンジア固溶ジルコニア, YSZ : 8 mol%イットリア固溶ジルコニア, GDC : 10 mol%ガドリニア固溶セリア2000.3850YSZ外径:2.0Adelan Ltd.(英国)200.45750YSZ外径:10.0Korea Instituteof EnergyResearch(韓国)65 - 217**0.5 - 0.8* @ 650 ℃550 - 650ScSZ, GDC外径:0.8‐2.0(内径0.4‐1.6)開発マイクロSOFC技術起動速度(℃/min)出力密度(W/cm2)@0.7 V起動温度(℃)電解質材料セル直径(mmφ)参考)V. Lawlor, S. Griesser, G. Buchinger, A.G. Olabi, S. Cordiner, D. Meissner“Review of the micro-tubular solid oxide fuel cell Part I. Stack design issues and researchactivities”, Journal of Power Sources 193 (2009) 387‒399.を元にデータをアップデート。* 2.0 mmφScSZ系電解質マイクロチューブ型SOFCでのデータ。** ハニカム型SOFCでの実証データ。表2 開発マイクロSOFC技術の技術指標図8 ジルコニア系低温型マイクロSOFCモジュールの実現a:セル断面写真、b:電極空隙率と電極抵抗の関係(600 ℃)、c:発電性能(600 ℃、加湿水素)、d:開発多孔質燃料極構造、e:開発セルと集積モジュール例
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