Vol.4 No.1 2011
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研究論文:マイクロ燃料電池製造技術開発への挑戦(藤代ほか)−39−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)3 高効率コンパクトエネルギーモジュールとしてのマイクロSOFC製造での課題〜製品化への死の谷とその解決法これまでになかったマイクロSOFCの集積モジュール製造技術として、工業的に量産可能なセラミックス製造プロセスと、マイクロSOFCの高集積化におけるモジュールの電気化学的設計や性能向上技術の実現が必要となる。新たな製造プロセス技術として機能と構造融合をコンセプトに、図3の研究開発モデルの中での製造設計と新規構造制御プロセス技術開発の検討事例を説明する。i)高集積マイクロSOFC製造設計技術SOFCモジュールの高性能化のためには、単位モジュール体積当たりの電極面積を向上させ、セルの集積度を上げ、さらに、機械的強度を向上させる必要がある。このような要求を満たす構造として、単位セル部材を組み合わせて高集積したボトムアップ的製造、あるいは規則配列するマイクロチャンネルを活用し、後から内部へセル構造を構築するトップダウン的製造での両者の高集積化が有利となる。これまでのチューブ型SOFCの製造技術を活かしたマイクロSOFCの高性能化では、チューブ型SOFCの高集積化でのボトムアップ的構造での開発が有効である。一方、モジュール製造での低コスト化やより高度なセル集積構造を達成するためには、ボトムアップ的製造で得られた性能に匹敵するモジュールをトップダウン的製造で作製する新たな技術も求められる。この研究開発では、高性能化と低コスト化への展開を意識し、チューブ集積型モジュールとハニカム型マイクロSOFCといった2種類のモジュール製造技術の研究開発を行った。SOFC発電がもつ高効率および高出力密度化のメリットを引き出すためには、供給される燃料の電気化学反応が有効に進むような電極反応面積の向上技術、およびガスの流れや電流の集積が行えるモジュール構造を考慮しなければならない。最終的には、高集積化でのセル数を想定して、量産可能な形状での製造プロセス技術の選択が必須となる。低温域での高性能化に繋がるセルの低抵抗化においては、図4に示す燃料極支持型、空気極支持型および電解質支持型構造の内、燃料極支持型構造が重要となる。これは、還元により部分的に金属化したサーメット燃料極での抵抗設計が最も小さくなるためである。また、集積度を上げて多孔質電極の比表面積を向上させ、かつ機械的強度も満たす単位構造としては、平板構造での積層に比べて、応力分布等の対称性が高い管状構造の集積体が優れている。これまで、同様なマイクロチューブ型SOFC研究として、主に熱機械的強度が高い2〜5 mmφ径レベルのYSZ系電解質支持型SOFCを用いた急速起動への検証事例がある[8][9]。しかし、650 ℃以下の低温域での高性能化や、小型集積モジュール等への展開等、高性能化を目指した製造技術の開発は進んでいない。私達の挑戦として、これまでにない高性能SOFCや集積モジュールの製造を目指して、燃料極支持型のマイクロSOFCからなる集積モジュールの製造技術を検討した。さらに、材料としての機械的強度が小さくて成型が困難であるため検討実績は少ないが、低温での高い酸化物イオン伝導性を有するセリア系電解質を利用した製造プロセスを開発した。2 mmφ以下の燃料ガス流通孔を有するマイクロチューブ型SOFCや集積モジュールの製造と設計技術として、最終的なモジュール発電能力に影響するセル形状(電解質、電極の厚さや、最適なセル長さ等)の最適化が重要となる。燃料極支持型セルでは、電極が電気化学反応における三相界面としての反応場と、発電により生じた電流を取り出す集電の役割をもつため、その形状設計はセルと集積モジュールの発電性能に大きな影響をもたらす。図5には、燃料極支持型でのマイクロチューブ型のSOFCと、その集積モジュールの高性能化に向け、セル形状および異なる集電方法による検討結果を示す。これによりセル集電長さ等を設計した。単セル構造の電極面積を長くするためにセルを長く設計すると集電抵抗が増加し、発電出力の低下(集電ロス)へ繋がる。外径2 mmφ(内径1.6 mmφ、電極膜厚0.2 mm)のマイクロチューブ型SOFC製造に必要な寸法の設計技術を説明する。発電性能を0.5 W/cm2@550 ℃と想定し、図5の片端集電および両端集電モデルにて等価回路での123451E-30.010.11bothend3%losst=0.4mmt:anodethickness1.6mmtube550oC0.5W/cm2operationTubelength-L,cm1end3 % 両端集電 片端集電 550 ℃0.5 Wcm2燃料極厚さ 0.4 mm 2.0 mmΦ 集電ロス(%)100101 0.112345チューブセルの長さL(cm)両端集電モデル 集電部分Δx L片端集電モデルa)燃料極支持型c)電解質支持型b)空気極支持型空気極電解質燃料極図4 各種燃料電池構造図5 集積化に向けたマイクロチューブ型SOFCの設計技術での設計モデルと集電ロスの計算結果
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