Vol.4 No.1 2011
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シンセシオロジー 研究論文−1−Synthesiology Vol.4 No.1 pp.1-10(Feb. 2011)1 背景産業構造がグローバル化する現在、エレクトロニクス技術は、我が国の経済産業を支える根幹的な分野の一つであり、技術開発の進展と共に、多くの新たなエレクトロニクスデバイスが開発され生産されている。そのような中で、国内外における品質や性能への価値観の違いへの対応、これに伴う価格競争は一層厳しさを増しており、技術革新としてのイノベーションが必要とされている。例えば、顧客から注文を受けてから製品を生産する方式であるBTO(Build To Order)のように、現在では消費者からの要求によって電子デバイスに対する個別化・差別化が進み、国境を越えてさまざまなユーザーニーズに対応したカスタムメイドの電子デバイス、電気製品作りが求められている。その結果、必然的に多品種少量、多品種変量生産や製造サイクルの短期化に対応できる製造技術の革新が重要となってきており、開発・製造現場ではそれぞれの機能を持つ電子デバイスの集積化による多機能化、小型化、さらには低コスト化と高スループット化や、製造工程の水平分業化により小ロット生産・短納期化が進められてきた[1]。他方、工業におけるサステナビリティという観点から、21世紀の“ものづくり”に対しては、最少の資源、最小のエネルギー消費でかつ低環境負荷型の製造技術を基本とすることが強く求められている。産総研では、このような「省エネ・省資源」、「高機能・新機能」、「高生産性・低コスト」という現実には多くのケースで相反する三つの要素を新技術で同時に解決する生産プロセスのコンセプトを「ミニマルマニュファクチャリング」と呼び、これを実現することにより、我が国の製造業の持続的発展、すなわち、環境調和と国際競争力に貢献することを目指している。このような状況はエレクトロニクス実装の分野でも同様であり、エレクトロニクス製品製造の根幹をなす配線技術に遠藤 聡人*、明渡 純次世代のエレクトロニクスデバイス製造技術において、多品種、小ロット生産および低コストかつ大面積化に対応できるフレキシブルな製造技術が求められている。この研究では、配線工程における高スループット化とファイン化を目指して、レーザー援用インクジェット技術を開発した。配線の微細化を実現するに当たり、外部からレーザーを照射して液滴を乾燥させ、基板上でのインクの濡れ広がりを抑制するという新たな着想に基づいて、これまでは困難であった高スループット化とファイン化を同時に実現し、配線幅10 µm以下でアスペクト比1以上の微細配線描画に成功した。この論文では、レーザー援用インクジェット技術開発に至る、ニーズに基づく技術開発課題設定、それを克服するための過程等、研究開発の流れと展開について報告する。レーザー援用インクジェット技術の開発− 高スループットとファイン化の両立を目指した配線技術 −Akito Endo* and Jun Akedo Development of laser-assisted inkjet printing technology- Wiring technology to achieve high throughput and fine patterning simultaneously -A new processing technology that can be easily adapted to various circuit designs and production in small lots has been requested for implementation into electronic device manufacturing where low cost device fabrication on large area is required. We have developed a laser-assisted inkjet printing technology which can achieve high throughput and fine patterning simultaneously. To realize fine patterning with low resistivity, ejected ink-droplets have been dried by laser irradiation to suppress expansion on a substrate, a problem often observed in a conventional inkjet process. Drawing of fine wiring with aspect ratio of 1 or above with line width of 10 m or less has been achieved using this new approach. This paper describes the flow of R&D from needs-driven target setting, process to overcome tasks, to achievement of the laser assisted inkjet printing technology.キーワード:インクジェット印刷、スループット、ファインパターン、配線技術、低コストKeywords:Ink-jet printing, throughput, fine pattern, wiring technology, low cost 産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 〒305-8564 つくば市並木1-2-1 つくば東Advanced Manufacturing Research Institute, AIST 1-2-1 Namiki, Tsukuba 305-8564, Japan *E-mail: Original manuscript received August 26, 2009, Revisions received November 9, 2010, Accepted November 18, 2010
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