Vol.4 No.1 2011
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研究論文:有機化合物のスペクトルデータベースの開発と公開サービス(齋藤ほか)−33−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)参考文献O. Yamamoto, K. Someno, N. Wasada, J. Hiraishi, K. Hayamizu, K. Tanabe, T. Tamaru and M. Yanagisawa: An integrated spectral data base system including IR, MS, 1H-NMR, 13C-NMR, ESR and raman spectra, Anal. Sci., 4, 233-239 (1988).齋藤剛: 有機化合物のスペクトルデータベース, 産総研Today, 7 (1), 36-37 (2007).http://riodb.ibase.aist.go.jp/index.html(2010年7月30日現在)http://riodb01.ibase.aist.go.jp/sdbs/(2010年7月30日現在)陳勝智: Fragmentation and Interpretation of Mass Spectra, 中国医薬大学, 台湾 (2010).小川圭一郎, 榊原和久, 村田滋: 基礎から学ぶ有機化合物のスペクトル解析, 東京化学同人, 東京 (2008).K. Hayamizu: An input tool by a personal computer for the NMR Spectral Database (SDBS-NMR), Journal of Computer Aided Chemistry, 2, 1-10 (2001).O. Yamamoto, K. Hayamizu and M. Yanagisawa: Construction of proton nuclear magnetic resonance database system with full spectral patterns, Anal. Sci., 4, 347-352 (1988).O. Yamamoto, K. Hayamizu and M. Yanagisawa: Construction of proton nuclear magnetic resonance parameter database system, Anal. Sci., 4, 455-459 (1988).早水紀久子: インターネット上のスペクトルデータベース(SDBS), 物質研NEWS, 37, 3 (1995).中村徹: 化学物質リンクセンター 様々な化学物質データをワンストップで, CICSJ Bulletin, 25 (4), 88 (2007).齋藤剛: 有機化合物のスペクトルデータベース SDBS, CICSJ Bulletin, 25 (4), 99-102 (2007).平泉紀久子, 和佐田宣英, 田辺和俊, 田村禎夫, 柳沢勝, 小野修一郎: 化合物スペクトルデータベースシステム(SDBS)のオンラインサービス, 化技研ニュース, 6 (1), 2 (1988).早水紀久子, 田辺和俊, 田村禎夫, 柳沢勝, 小野修一郎: 化合物スペクトルデータベースシステム(SDBS)のCD-ROM版, 物質研NEWS, 9, 6 (1994).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14]執筆者略歴齋藤 剛(さいとう たけし) 2000年工業技術院物質工学工業技術研究所入所、現在は産総研計測標準研究部門計量標準システム科主任研究員。有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)の高度化研究に従事し、現在はSDBSを統括している。NMRを利用した研究を行っており、NEDO委託事業「ナノ計測基盤」では、NMRを利用した液中粒径計測の研究に従事、現在は、NMRを用いた定量技術の高精度化とこれを利用したSIトレーサブルな標準物質供給に関する研究に取り組んでいる。この論文では全体を統括した。衣笠 晋一(きぬがさ しんいち)1987年工業技術院化学技術研究所入所、現在は産総研計測標準研究部門先端材料科高分子標準研究室長。高分子の分子特性解析をベースに、高分子標準物質、ナノ粒子標準物質の研究開発に従事している。2001年より有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)の高度化研究に従事、主に赤外吸収スペクトルを担当している。この論文では全体を齋藤と共に担当した。査読者との議論議論1 全体的コメントコメント(富樫 茂子:産業技術総合研究所評価部)産総研が公開しているデータベースの中で、外部からのアクセス数が最も多い有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)に関して、データベース構造、データ集積、データ公開の方法論が述べられており、本誌にふさわしい研究論文と考えます。コメント(小野 晃:産業技術総合研究所)30年間にわたる長期のプロジェクトに対して、その基本構想から開発、維持、公開に至るコンセプトとプロセスが分かりやすくまとめられています。この研究は第2種基礎研究から製品化研究にわたる広範な研究業務で、産総研のような公的研究機関にふさわしい研究成果と思います。また世界中から大量のアクセスがあることも、このプロジェクトの成功を示すものと言えます。議論2 アクセスログの解析と公共財コメント(富樫 茂子)アクセスログの解析をすることでユーザーの情報がかなり得られるはずです。外国・国内の別や、大学・公的機関・企業・一般等のおよその分類ができるはずですので、加えてはいかがでしょうか。また、文中で「無料の公開」が頻繁に強調されています。公的機関が公共財として社会に幅広く活用される情報を無料で公開することは極めて重要な役割と考えます。独立の章をたてて、この点を十分に議論していただけると、シンセシオロジーの論文として深められると思います。回答(齋藤 剛)アクセスログについては、アクセスするユーザーの国や、国内ユーザーの(acやcoのような)ドメインに関したアクセス状況について図を追加し説明を加えました。「無料の公開」に関しては、私達も独立の章を設けて議論することが望ましいと考え、4.2節の中に新しい段落を起こして無料サービスの意義に言及しました。活動を継続することができた要因の一つである。限られた資源の中で、信頼性の高いデータベースの情報を発信し続けることはたやすいことではない。NMRを例にとると、化合物が分解しない条件下で速やかに測定を行うこと、測定を自動化すること、帰属作業の簡便さと正確さ向上のために、2次元スペクトルを測定して、結合している1Hと13Cの骨格を確認すること等、信頼性の高い情報を効率的に収集する工夫をしているが、評価の最終確認は研究者の目が必要である。これを自動的かつ効率的に行えるような評価方法を確立することができれば、このデータベースも次の大きな変換点を迎えることとなろうと考える。6 謝辞研究活動を開始して以来、多くのスタッフが産総研有機化合物スペクトルデータベース(SDBS)の発展に寄与してきた。このデータベースにかかわった方々に、この場を借りて感謝の意を表したい。
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