Vol.4 No.1 2011
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研究論文:有機化合物のスペクトルデータベースの開発と公開サービス(齋藤ほか)−27−Synthesiology Vol.4 No.1(2011)1997年に旧工業技術院のプロジェクト[3]により、インターネットを通したウェブでのデータ公開[4]を開始した。2010年4月現在で公開しているデータは、化合物数の総数が33,000あまり、それぞれのスペクトルの数と割合は図1に示すとおりであるが、スペクトルの総数は約10万である。現在の有機化合物スペクトルデータベースはウェブでアクセスしてくるユーザーが主たる利用者である。データ公開を開始して以来、インターネットで多くのアクセスを得ており、過去3年間は1日の平均ページビューが10万件を越え、産総研が公開している「研究情報公開データベース(RIO-DB)」の中で、アクセス数が群を抜いて高く、2009年度末に公開以来延べ3億ページビューを記録した。年度別アクセス数の推移を図2に、公開しているスペクトル数の推移を図3に、それぞれ示した。社会におけるインターネットの利用の拡大と、このデータベースの認知度の向上により、アクセス数はこの10年間毎年著しい伸びを示している。これらのスペクトルデータを、教科書[5]、参考書[6]、テスト問題等へ利用したいという要望は絶えず届き、データベースの中にある誤りを指摘してくれるユーザーもいる。このデータベースの開発のシナリオを図4に示す。ここには、データベースを構成する種々の要素を列挙し、それらがデータベースの主要な特性である基本構造、網羅性、信頼性、利便性とどのような関係にあるかを示した。あわせてデータベースの運用に当たって重要となる要素も示した。それらの要素をどのように統合したか、そのプロセスを以降の章で記述する。 2 データベースの構造2.1 データベースの基本構造の重要性このデータベースは一つの化合物に対して複数の種類のスペクトルデータが閲覧できる構造をとった。これを実現するために、図5に示すように化合物情報と6種類のスペクトル情報を収録したデータベースを独立に作成し、化合物情報データベースを中心にして全体を統合した。この作業を円滑に行うために、データベース構築の現場ではいくつかの種類の管理番号を準備した。すなわち、各図1 2010年4月現在で産総研有機化合物スペクトルデータベース(SDBS)においてウェブ公開しているスペクトルの割合と公開数図2 産総研の有機化合物スペクトルデータベース(SDBS)のウェブ公開以来の年度別アクセスページビュー数の推移図3 産総研の有機化合物スペクトルデータベース(SDBS)の過去5年間のスペクトル数の推移各年度の新規公開分は薄い色で示した。図4 有機化合物スペクトルデータベース(SDBS)の構築と公開のためのシナリオ1H NMR(1H核磁気共鳴スペクトル)15 218件13C NMR(13C 核磁気共鳴スペクトル)13 457件IR(赤外分光スペクトル)52 132件Raman(ラマン分光スペクトル)3 575件MS(質量スペクトル)24 454件ESR(電子スピン共鳴スペクトル)1 999件アクセスページビュー数(百万)年度20092007 2005 2003 2001 1999 1997 50403020100公開スペクトル延べ数(千)年度20092008200720062005111110109108107106105104103102データの入力ツール試薬瓶情報スペクトル公開形式広報スペクトル評価システムデータの検索機能データベース管理システムユーザー対応研究・測定体制データ利用規約データ公開の媒体スペクトルの同定スペクトル測定精度化合物確認外部との連携スペクトルの種類化合物の種類スペクトル情報化合物情報掲げた目標設定したシナリオ構成要素ユーザーに信頼して利用される高品質な標準スペクトル有機化合物スペクトルデータベースの構築と運用運用性ユーザー利便性信頼性網羅性基本構造

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