Vol.3 No.4 2010
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−327−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)編集後記2008年1月にシンセシオロジーの1巻1号を創刊してからまもなく丸3年になります。これまで(本号まで)全部で12号を発刊し、70編以上の研究論文と10編以上の論説・討論記事を掲載しました。この間読者各位からはシンセシオロジー誌に高い関心と暖かい励ましをいただきましたことに、編集委員会一同厚く御礼申し上げます。シンセシオロジーでは、これまでに産総研と大学の研究を中心に論文を掲載してきましたが、今回はじめて企業の開発に関する論文、「いかにしてカーナビゲーションシステムは実用化されたか」を掲載しました。日本で先駆的に開発され、日本の技術が世界の人々の安全と便益に大きく貢献したカーナビですが、その草創期における研究開発のシナリオとプロセスが明快に記述されています。この論文では多分野に跨る多くの要素技術を統合して目標に向かって進んでいく過程がよく分かり、また企業での研究開発の意思決定にも触れることができて貴重です。企業の研究者や技術者だけでなく、公的研究機関や大学の研究者にも大いに読みごたえのある論文になっていますので、是非一読をお勧めしたく思います。「日本全土の元素分布の調査とその活用」は20年以上にわたって成し遂げられた地質学の研究の集大成です。日本全土をカバーする地球化学図を初めて世に出したわけですが、基本的な研究方法論を確立しつつ、多くの要素技術を統合して完成させた骨太の構成的研究です。また「SiC半導体のパワーデバイス開発と実用化への戦略」は、現在実用化の一歩手前まできている技術の過去15年におよぶ研究開発の中で、状況の変化に応じて研究戦略を進化させていった興味深い論文となっています。医学研究において、臨床医学は基礎医学に比べると我が国が先進各国に対して著しく遅れをとっている分野と言われています。臨床医学の研究は疾病の診断と治療に直接関連するものですので、シンセシオロジーが扱う第2種基礎研究と相通じる点が多くあります。国立精神・神経医療研究センターの樋口理事長との対談では、この種の研究に対する我が国のあるべき姿勢が議論されています。シンセシオロジーの創刊3周年を迎えるに当たって、これまでと同様各方面の研究者、技術者の皆様に高い関心を持っていただけますとありがたく思います。また本誌が新しい試みとして導入した「査読者と著者との議論」は読者に好評を博していることから、今後とも公開を続けていくつもりです。社会への出口を見据えて科学技術の研究開発に携わっておられる幅広い分野の研究者、技術者の方々が、本誌へ積極的に投稿されることをお待ちしています。(編集委員長 小野 晃)
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