Vol.3 No.4 2010
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シンセシオロジー 対談−309−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)対談シンセシオロジー編集委員会医学研究の分野においては、基礎的研究の成果を治療というかたちで社会に活かす研究のことを臨床研究と呼んでいます。我が国におけるこの臨床研究の状況がどのようになっているのか、国立精神・神経医療研究センターの口理事長と本誌小野編集委員長が対談し、医学領域における臨床研究とシンセシオロジーとの共通の目標などについて話し合いました。臨床医学研究とシンセシオロジー司会 科学的研究成果を社会に活かすためには、従来の分析的な純粋基礎研究だけでなく、それら要素的技術を構成・統合する方法論を見出す研究が重要であると考えています。医学研究にも基礎研究と臨床研究がありますが、この二つは本質的に学問として違うものなのか、そもそも臨床研究とはどのようなものかということからご説明いただけますか。第2種基礎研究と臨床医学口 患者さんを治療するために新たな治療法を開発したり、病気の原因を究明して新たな治療法につなげる、それが医学研究の本質的なものです。医学研究には、疾患そのものにダイレクトに関わり、それを解明しようとするアプローチと、人間の体や疾患を構成している要素的な基本・基礎を十分に解明し、その知識と技術をもって実際の人の病気にもう一度立ち向かっていくというアプローチがありますが、基礎医学は、あくまでも正常の細胞の果たす機能、正常の神経の働き方を研究し、臨床研究は基本的には病態や病気の組織を対象とするものです。基礎医学は歴史的に古くから存在しています。病気の原因を知るために生理学ができたわけではなく、「人の体はどういうふうにできているのか」「心臓はなぜ自発的にビートを繰り返しているのか」ということ自体に人間は大きな関心と興味を持っていたから、大昔から研究が始まっていたのだと思うのです。一方、臨床医学は、基礎医学で得られた情報と知識によって、病的な状態は生理的な機能がどう変化して起こったのかを理解することに応用しようとするものです。人や疾患を直接対象とし、健常者と病気を持った人との間でその違いを明確にする、場合によっては、ある薬がほんとうに効くのか、プラセボ(偽薬効果:薬を飲むことの心理効果で、薬効がなくても自然治癒効果以上の効果が出ること)と差がないかを何百人、何千人を対象にして行う大規模臨床研究もあります。司会 疾患モデルの動物を使う臨床研究もありますが、大規模な、最終的に人の治療に使うかどうかを研究する別のタイプの臨床研究もあるということですね。出席者 (独)国立精神・神経医療研究センター 口 輝彦理事長・総長 Synthesiology 編集委員会 小野 晃編集委員長司会 Synthesiology 編集委員会 赤松 幹之編集幹事 小野 晃 氏(左)、赤松 幹之 氏(中央)、口 輝彦 氏(右)

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