Vol.3 No.4 2010
52/74
研究論文:鋳造技術と粉末冶金技術の融合による新材料開発(小林ほか)−307−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)合金製造プロセスを使って目標値を達成することは困難であったが、超硬合金とは直接関係のない研究者の新しいものの見方により、課題を着実に解決することができた。ただ、目標値の達成が即実用化につながるものではなく、長期にわたって継続的に硬質材料に関する学会にて情報を発信し続けることで、企業からのアドバイスをいただきながら実用化に近づく課題をさらに見出すことができた。これまでに本開発材料の実用化を目指したプロジェクトとして、経済産業省の地域コンソーシアムや戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)のご支援をいただき、産学官の連携体制にて実用化、その先の事業化へ向けて研究開発を推進しているところである。今後も超硬合金においてはCoの価格高騰や人体への影響等が懸念されており、本開発材料の高度化により一層の利用分野拡大が期待される。ようやく大型部材や複雑形状の部材を供給できる体制が組みあがり、本材料にご興味をいただいた方々にサンプルを提供できるようになってきた。WC-FeAlを中心に新しい硬質材料が工業材料としてお役にたてるよう、継続して研究室一丸となった体制で邁進する予定である。参考文献小林慶三, 三輪謙治, 阪口康司: 高硬度で耐酸化性に優れた超硬合金, 特許第2611177号小林慶三, 尾崎公洋: アルミナイド金属間化合物の低温成形合成法, 特許第2818860号K.Kobayashi and K.Ozaki: Synthesis of aluminide intermetallics in low temperature using mechanical alloying process, Mater. Trans., JIM, 37, 738-742 (1996).小林慶三, 坂崎一茂: Al液体を利用したFeAl金属間化合物の成形, 粉体および粉末冶金, 42, 1247-1251 (1995).小林慶三, 三輪謙治, 福永稔, 町田正弘: Fe-Al合金を結合相にした超硬合金の作製, 粉体および粉末冶金, 41, 14-17 (1994).福永稔, 町田正弘, 小林慶三, 尾崎公洋: FeAlを結合相とする超硬合金のパルス通電焼結による作製, 粉体および粉末冶金, 47, 510-514 (2000).松本章宏, 小林慶三, 尾崎公洋, 西尾敏幸: メカニカルアロイングを利用したFeAl-WCの作製, 粉体および粉末冶金, 48, 986-989 (2001).A.Matsumoto,K.Kobayashi,T.Nishio,K.Ozaki and S.Tada:Fabrication of FeAl-WC by combustion synthesis and the mechanical properties., Euro PM2004 Conference Proceedings, 3, 641-645 (2004).小林慶三, 松本章宏, 尾崎公洋: 短時間メカニカルアロイングで合成したWC-20mass%Fe3Al合金の機械的特性, 粉体および粉末冶金, 49, 284-289 (2002).小林慶三, 松本章宏, 西尾敏幸, 安井幸栄: 素粉末をミリングした75vol%WC-FeAl混合粉末のパルス通電焼結における結合相の変化, 粉体および粉末冶金, 54, 269-273 (2007).小林慶三, 尾崎公洋, 多田周二, 西尾敏幸, 安井幸栄: WC-FeAl超硬合金の機械的特性に及ぼすWC粒径, FeAl量の影響, 粉体および粉末冶金, 55, 593-598 (2008).小林慶三, 松本章宏, 尾崎公洋, 西尾敏幸, 菊池光太郎:メカニカルアロイングによるTiB2-20mass%Fe3Alサーメット合金の作製, 粉体および粉末冶金, 53, 58-61 (2006).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12]中山博行, 小林慶三, 尾崎公洋, 多田周二, 三上祐史: 通電焼結で作製したTiB2添加TiC/Fe-Alサーメットの特性,粉体および粉末冶金, 56, 775-779 (2009).[13]執筆者略歴小林 慶三(こばやし けいぞう)1986年3月大阪大学大学院工学研究科冶金工学専攻前期課程修了、(株)神戸製鋼所勤務を経て1989年工業技術院名古屋工業技術試験所入所。チタン合金の磁気浮揚溶解技術、マグネシウム合金の半溶融成形技術、メカニカルアロイングによる非平衡粉末合成技術などの研究に従事。2001年4月産業技術総合研究所基礎素材研究部門相制御プロセス研究グループ長、2004年4月よりサステナブルマテリアル研究部門相制御材料研究グループ長。1997年7月大阪大学より博士(工学)授与。本研究開発では、超硬合金の経験を活かしてWC-FeAl超硬合金を見出し、特許を取得するとともに、全体計画の立案と研究管理・運営を行った。尾崎 公洋(おざき きみひろ)1994年3月大阪大学大学院工学研究科生産加工工学専攻博士課程修了、博士(工学)取得後、同年工業技術院名古屋工業技術研究所入所。メカニカルアロイング-パルス通電焼結法によるマグネシウムアモルファス合金の開発、パルス通電焼結法の基礎現象解明などの研究に従事。本研究開発では、金型用途への研究展開を推進するとともに、通電焼結技術の開発に従事した。松本 章宏(まつもと あきひろ)1992年3月名古屋大学大学院工学研究科金属工学および鉄鋼工学専攻博士課程後期課程修了。博士(工学)。同年4月工業技術院名古屋工業技術試験所に入所。構造用高融点金属間化合物の開発、チタン系非晶質・準結晶合金の合成とエネルギー利用に関する研究、環境融合型超硬合金の開発に従事。2007年サステナブルマテリアル研究部門融合部材構造制御研究グループ長。本研究開発では、切削工具用途への研究展開を推進するとともに、微視的組織観察をもとにDLCコーティング技術を開発した。中山 博行(なかやま ひろゆき)2004年3月豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士後期課程機能材料工学専攻修了。博士(工学)。ワシントン大学、名古屋工業大学でのポストドクターを経て、2008年4月産業技術総合研究所に入所。本研究開発では、省タングステン技術としての研究展開を推進するため、種々の硬質粒子とFe-Al金属間化合物との混合および複合化技術を開発した。査読者との議論議論1 超硬合金の市場規模とコバルトフリーの効果コメント(村山 宣光:産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門)研究の背景で、分野の異なる読者に超硬合金の経済的意味とコバルトフリーにする効果をより具体的に理解していただくため、
元のページ