Vol.3 No.4 2010
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研究論文:いかにしてカーナビゲーションシステムは実用化されたか(池田ほか)−300−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)の先駆者であったFrenchさんからの情報を得てETAKの試作カーナビに試乗したものです。当時は、地図は簡易なものでした。議論6 カーナビ普及に関する海外との比較質問(赤松 幹之)本田技研工業(株)のジャイロケータ、トヨタ自動車(株)のエレクトロマルチビジョン、そして住友電工さんのシステム等と同時代に、米国ETAK社がカーナビを開発し市販しましたが、結果的には我が国でカーナビが普及しました。この違いは、どのような点にあるとお考えでしょうか。さらに、産業界がなぜ積極的に動いたのか、また行政サイドでも積極的な動きがあったのはなぜなのか、どのようにお考えでしょうか。回答(池田 博榮)①カーナビ普及の違いアメリカ国土は都市内はStreetとAvenueからなる碁盤の目で整然としており、また都市間道路の出入り口は番号化され、分かりやすく、カーナビの必要性が少ないこと。また、アメリカでは道路案内は地図より、箇条書き案内が多く、地図ナビはそれほど必要ではありませんでした。一方ヨーロッパは、歴史の古い都市国家で道路は曲がりくねり非常に分かりづらく、日本も同様で、カーナビが普及しやすい国柄です。日本は新し物好きといった国民性以外に、技術的にはカーナビに必要なジャイロセンサー、ディスプレー、CDROMドライブ、半導体、道路交通情報等々が進んでいたこともあります。②動いた産業分野はシステム開発と地図については、自動車メーカー、カーエレクトロニクス、オーデイオ、電機、地図メーカー等が動き、ジャイロセンサー、GPS、マイコンを始めとする半導体、CD、DVD、HDD、デイスプレー等々については部品メーカーが動きました。さらにナビソフトウエアを組み込んだ新しい情報企業等々が新分野として多く参入し、普及を推し進めました。③行政サイドに関しては、インフラを含めた新分野として注目したからであったと思います。議論7 解説、レビュー論文との差異化コメント(景山 晃)この論文は読者から見て、カーナビ技術開発に関する解説(レビュー)、研究開発史という印象を与える可能性があります。そこで、候補技術群の中でなぜその技術を選定して研究開発を進めたのか、結果としてその選定技術がどのような点でほかの候補技術より優れていたのかについて、半定量的な数値情報を加える等により、論述していただくとよいと思います。回答(池田 博榮)光ファイバージャイロについては、「光ファイバージャイロの採用により、マップマッチング処理の限界を超えることは200 kmに1回程度に低下するところまで性能を向上することができた。」との文を、振動ジャイロについては、「もちろん、振動ジャイロ単体性能の向上によるだけではなく、...。このソフトウエア機能により光ファイバージャイロよりも小型・安価であるが零点オフセットが5倍大きな振動ジャイロであっても採用することが可能となった。」の文を追加しました。議論8 シンセシオロジー論文について質問(赤松 幹之)今回、カーナビの開発と事業化についての論文を執筆していただきましたが、著者として、これまでの論文や総説また技報等では記述されることはなかったことで、シンセシオロジー論文にすることで初めて記述できたこととしてどのようなものがあったのか記載いただけませんでしょうか。回答(池田 博榮)ここで書けたもの ①住友電工がカーナビ開発を進めた経緯。 ②位置精度向上のために光ファイバージャイロを開発した経緯 ③世の中になかったデジタル地図データベース作成経緯 ④車メーカーとの関係 ⑤後付けカーナビ開発 ⑥事業採算と開発費の問題 ⑦ソフトウエア不具合問題書けなかったもの 省庁間の調整の問題 部品入手の苦労 カスタマーへの売り込み 各種イベント対応(事業推進の観点からすると、積極的な参加 は必ずしも得策ではなかった)。 住友電工社内の反対 競合メーカーとの関係 アライアンス等々多くの語れないものあり。
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