Vol.3 No.4 2010
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研究論文:いかにしてカーナビゲーションシステムは実用化されたか(池田ほか)−298−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)ビは多くの技術、部品の組み合わせとこれらを有効に活用するソフトウエアによって完成されたものである。地図データにおいては、各社独自の地図データから共有化に移行し、センサーにおいては振動ジャイロが登場し、GPSの整備により現在位置検出が容易になると共に高精度となった。表示においては液晶の低価格化により大画面化し、機能拡張においては、CPUの高機能化・メモリーの大容量化・CDROMからDVDやHDDへの進化、といった動きがあった。また、ナビ普及をさらに促進したものとして、並行して開発された社会システムの発展もある。日本のITS(Intelligent Transport System)はナビの普及から始まり、今や車に必須のものとなった。ETCシステムの整備がそれに続いた。ナビは車における情報センターとなり、車載カメラ映像や種々の情報が映し出されるようになっている。曲がるべき交差点手前で自動減速する等、運転制御との統合も進んでいる。一方でPND(Portable Navigation Device)の普及も海外ではめざましい。今後も、高級機能の純正ナビ、手頃なPNDの二極に分化しつつ普及が進んでいくであろう。6 謝辞ナビの実用化は産官学にわたる多くの関係者が努力し、貢献したことによるものであり、それらの功を称えて感謝したい。また元住友電工油本暢男氏、三藤邦彦氏がナビ開発にかかわる多くの課題に貢献されたことを述べたい。さらに本稿を記すにあたり、三藤邦彦氏の協力をいただいたことに謝意を表したい。最後にナビ開発、製品化、車載化等を進めてきたが、事業としてはうまくいかず、撤退せざるを得なかった。この間多くの関係者に多大のご迷惑をお掛参考文献ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ, 日本の自動車技術240選, http://www.jsae.or.jp/autotech/data/14-2.htmlITS –安全, 安心, 快適な交通社会の実現に向けて–, 松下テクニカルジャーナル, 51 (2), 84-89 (2005).大山尚武: 自動車総合管制技術(解説), 自動車技術, 33 (4), 243-248 (1979).警察庁編: カーロケータ, 昭和60年警察白書, 第1章第1節1(2)カ, http://www.npa.go.jp/hakusyo/s60/s600101.html田中二郎, 平野和夫, 小林祥延, 信田裕明, 川村静冶: マップマッチングを用いたナビゲーションシステム, 住友電気, 136, 7-11 (1990).大岡明裕, 西浦洋三, 鷲見公一, 岡本賢司, 岩下隆樹, 川村静冶, 吉川順一, 長谷川早人: カーナビゲーションシステム用光ファイバージャイロ, 住友電気, 140, 71-75 (1992).中村武: 圧電振動ジャイロスコープ, 電子情報通信学会誌, 76 (1), 39-41 (1993).デジタル道路地図協会ホームページ: www.drm.jp福澤克寿: 車両感知器, 交通工学, 17 (7), 46 (1982).高田邦彦: 路車間情報システムの開発状況(解説), 自動車技術, 43 (2), 58-64 (1989).宇佐美勤: 高度交通管制システム, 国際交通安全学会誌, 26 (2), 21-28 (2001).宮田穣: 快適な自動車交通を目指して–VICSの挑戦–, 自動車技術, 47 (8), 11-17 (1993).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12]執筆者略歴池田 博榮(いけだ ひろさか)1964年九州大学工学部応用化学科卒、1964年住友電気工業(株)入社、自動車用ワイヤーハーネス開発、カーエレクトロニクス、ナビを統括。1999年常務取締役、1995年(株)オートネットワーク技術研究所社長、2008年九州大学イノベーション人材養成センター特任教授、現在に至る。本論文ではナビ開発の背景、進め方、マネージメントを担当。小林 祥延(こばやし よしのぶ) 1967年大阪大学工学部電気工学科卒、1967年住友電気工業(株)入社、ハーネスエレクトロニクス、ナビ開発、1999年カーエレクトロニクス事業部長、2000年(株)オートネットワーク技術研究所エクゼクティブチーフエンジニア、現在嘱託。本論文では、主としてハード開発を担当。後にナビ事業の採算改善、リストラを進めた。平野 和夫(ひらの かずお)1974年京都大学工学部数理工学科卒、1974年住友電気工業(株)入社、1981年ハーネスエレクトロニクス、ナビ開発、1996年カーエレクトロニクス事業部技術部長、自動車技術研究所次長、現在自動車事業本部統合企画部室長。本論文では主として、車載ナビソフトウエア開発、VICSの構築を担当。距離渋滞規制周辺案内充実位置検出用(MM)表示用交通情報を加味した経路誘導経路案内現在位置検出住友製品社会システムソフトハード位置センサー地図ナビ携帯・パソコンとの融合他の機能と一体化高速化ナビ単独構成HDDDVD32 bit全国3~5分割VICS受信機液晶16 bitCDCRTCPU媒体地図記録表示器(BJ)振動ジャイロGPS両輪の回転数差地磁気車輪速方位汎用化CACS ’73RACS ’84AMTICS ’87デジタル道路地図協会 ’88交通管制システム ’66VICS ’91セドリック・シーマ’89MM’97アコードVICS’93市販’92GPS・BJ・経路 ディアマンテ’91光FJITS光ファイバージャイロ(光FJ)図7 カーナビゲーションシステム開発相関図けしたことを、それに携わった責任者として衷心よりお詫び申し上げたい。
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