Vol.3 No.4 2010
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研研究論文:単結晶ダイヤモンド・ウェハの開発(茶谷原ほか)−276−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)ように結晶口径が拡大しない。大口径化するため図5のように成長した結晶の側面(これも{100}面)を研磨し、その面を上面にして次の成長を行うことを繰返している。図6に得られた結晶の一例を示す。類似の側面成長法は、SiC単結晶成長におけるRAF成長法とよばれる欠陥低減法に見られる[31]。パワー半導体としての本格的な実用化が近い炭化ケイ素SiCの単結晶成長には昇華法が用いられ、従来のSiC昇華法ではc軸〈0001〉に沿って成長するが、RAF法では、a面と呼ばれる{1120}および{1100}面による転位構造変化を利用して転位欠陥が低減される。a面方向に成長を繰り返すことからRepeated a-Face(RAF)成長法と呼ばれる。c面方向に成長したインゴットから、①{1100}面結晶を切り出し、その面に成長させる。次に、②{1120}面結晶を切り出し、その面に成長させる。 ①、②を複数回繰り返した後、インゴットからc面の種結晶を切り出し、c面成長を行う。従来のc面成長したインゴットには多くの転位が存在するが、a面成長することで種結晶の転位は少なくなる。転位の大部分は種結晶面に平行に存在し、a面成長時には結晶面に平行に存在する欠陥は継承されないことが原因とされる。SiC単結晶におけるRAF成長法開発の動機は、おそらくマイクロパイプに代表される結晶欠陥の低減だったと思−276−われる。これに対してCVDダイヤモンドでの{100}面繰返し成長法は、まず口径拡大が第一の目的だった。極微量窒素添加の成長条件下では、<100>方向にのみ成長するので成長に伴う結晶口径の拡大が期待できなかったからである。SiCとダイヤモンドでは、ウェハの口径や品質に格段の差があり、SiCが20年以上先行しているが、およそ同時期に側面繰返し成長が提案されたことは興味深い。3.4 ウェハ化ダイヤモンドは物質中で最高の硬度を有することからその加工が容易ではない。そのため半導体素子製造に必要とされるウェハ形状への加工がとても困難となる。工業用ダイヤモンドの加工にはレーザー切断が用いられているが、切り代によるロスや加工時間が問題となる。また、精密研磨技術もさらに平坦化や低欠陥化が要求される。ウェハ化手法として、「ダイレクトウェハ化技術」やモザイク法が開発されている。ダイレクトウェハ化技術[32]では、成長に先立ち種となる単結晶ダイヤモンドにあらかじめイオン注入して、表面直下に欠陥層を導入しておく。気相成長後、欠陥層はグラファイト構造となり、電気化学的エッチングなどによって除去することができる。種結晶および成長層はダイヤモンド構造をもち化学的にとても安定なので化学的にはエッチングされ Step 1Step 3Step 2繰り返し成長による厚いCVDダイヤの(100)面成長Step 1のCVD成長面に垂直な(010)面への繰り返し成長Step 2の繰り返し種結晶種結晶種結晶CVDダイヤモンドCVDダイヤモンド10 μm0.5 sccmN2: 0 sccm1 sccm2 sccm3 sccm3 mm図3 微分干渉顕微鏡で観察した表面形態の窒素流量依存性上段:マクロ形態(低倍率)、下段:ミクロ形態(高倍率)図4 CVD単結晶ダイヤモンド。重さ:2 g(10カラット)図5 側面成長の繰返しによる結晶の大型化図6 側面成長した例----10 mm 種結晶Step 2Step 110 mm

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