Vol.3 No.4 2010
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研究論文:SiC半導体のパワーデバイス開発と実用化への戦略(荒井)−271−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)コメント(大和田野 芳郎)エネルギーを電力として利用できる割合(電力化率)の増大は重要であることは事実でしょうが、それがパワーエレクトロニクスの普及拡大には直結していないことを認識すべきでしょう。パワーエレクトロニクスでなければならない、しかもSiCでなければならない用途とその拡大を提示してください。回答(荒井 和雄)まさに直結していないことが現在の問題で、それはパワーエレクトロニクスのコストと信頼性に問題と疑念があるからと思います。その払拭こそがイノベーションで、SiCデバイスにはそのポテンシャルはありますが、解決すべき課題がまだあり、それを外的条件を踏まえてどうやって乗り越えるかが実用化の戦略と思います。議論4 SiCを選んだ理由 コメント(立石 裕)出発点として、ワイドギャップ半導体の中でなぜSiCを中心的課題として選んだのか、簡単な説明があった方がいいのではないでしょうか。研究担当者には自明なことかもしれませんが、非専門家にとっては素朴な疑問です。回答(荒井 和雄)3.1.1項の冒頭部に記述しました。まさにSiCの選択が出発点であったと思います。議論5 研究戦略の変遷コメント(立石 裕)最初から一貫した長期的戦略が必ずしもあったわけではなく、研究の進展に伴い、「材料→使える材料→デバイス→システム」の関係をにらんで、スペックや戦略自体が進化していったのではないでしょうか。回答(荒井 和雄)これは2001年時点での重要なポイントで、3.2節の冒頭部で記述しました。議論6 「トータルソリューション」と「パワエレの革新」の内容コメント(大和田野 芳郎)「トータルソリューション」という言葉の元々の意味は、ある大きな課題を解決するためにさまざまな方策を総合して対処する、という意味だと思います。「一貫研究」とは必ずしも意味が同じではないと思います。解決すべき課題を明示して「パワエレの革新」という用語の意味を明確にしてください。回答(荒井 和雄)1)「トータルソリューション」は、ある大きな課題を解決するためにさまざまな方策を総合して対処する、という意味で用いています。新規半導体を実用化にまで持ち込むために解決すべき大きな課題は、「三竦すくみ状態の解消」であると思います。それには「ウェハ→デバイス→応用開発」のリニアモデルの研究開発ではうまくいかなく、これら三方向(方策)から総合して対処する必要があると考えています。2)「(低損失+高周波化)→低コスト変換器→ユビキタスパワエレ機器」という展開を「パワエレの革新」と考えています。議論7 「一貫研究」の内容コメント(大和田野 芳郎)「一貫研究」においても、時間の経過に伴う重点のシフト、有限なリソースの分散、テーマ間の壁等の課題があったと思いますが、どう対処したかという記述があると大変参考になると思います。回答(荒井 和雄)本研究はほとんどゼロからの立ち上げでしたので、必要なものからガムシャラに立ち上げていったので常に飢餓状態であったと思います。デバイスが自前でできなければその先の展望が開けないので、大きな金額を必要とするデバイスプロセスの機器・施設に資金を投入しました。この辺の事情を追記しました。
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