Vol.3 No.4 2010
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研究論文:SiC半導体のパワーデバイス開発と実用化への戦略(荒井)−270−Synthesiology Vol.3 No.4(2010)執筆者略歴荒井 和雄(あらい かずお)1966年3月東京大学工学部物理工学科卒業。1969年4月通商産業省電気試験所入所。1993年1月〜2001年3月まで電子技術総合研究所材料科学部長。1998年10月〜2003年3月「超低損失電力素子研究開発」プロジェクトリーダーを務める。2001年4月から2008年3月(独)産業技術総合研究所パワーエレクトロニクス研究センターの研究センター長として超低損失電力素子の材料、プロセス開発から、素子のシステム応用を目指したモジュール化の研究開発に従事。2006年7月から2009年3月までNEDO「パワーエレクトロニクスインバータ基盤技術開発」プロジェクトリーダー。現在、産業技術総合研究所イノベーション推進本部招聘研究員。工学博士。査読者との議論議論1 全体構成コメント(大和田野 芳郎:産業技術総合研究所環境・エネルギー分野)初稿は時の経過を追って、社会状況、考え方、研究実施の経緯と成果等が混在して書かれています。このため、解説としては興味深いのですが、論文としての論理展開が理解しにくい状態です。「構成学」としてある程度一般化して今後の議論に供するためには、例えば、以下のような構成に組み直して記述してはいかがでしょうか。1)研究目標、2)個別課題の設定、3)課題解決のための戦略、4)実施と成果、5)戦略の評価、6)今後の課題と戦略コメント(立石 裕:新エネルギー・産業技術総合開発機構)初稿は全体として記述形式が、過去20年間のSiCデバイス開発の年代記/解説のようになっており、シンセシオロジーの研究論文に合うように構成と論理展開の見直しをしてください。回答(荒井 和雄)少々記述が重複しますが、意見を取り入れて改訂しました。議論2 研究戦略の明確化 コメント(大和田野 芳郎)初稿の「パワーエレクトロニクスのイノベーション」は重要な内容を含んでおり、むしろ冒頭で議論されるべきと思われます。その際、シリコン代替を狙うのか、現状でも充分機能しているとされる機械的な遮断機・リレーの代替を狙うのか、その場合の利点は何か等の論点を整理してください。回答(荒井 和雄)深く議論するだけの力量はありませんが、可能性の提示と開発ポイントを示しました。コストがシリコン並みで信頼性が確立すれば、今の>~kVクラスのパワーデバイスはSiCになることは間違いないと思います。議論3 パワーエレクトロニクスとSiCを選択する理由参考文献(財)エネルギー総合工学研究所: 超長期エネルギー技術ロードマップ報告書http://www.iae.or.jp/research/result/cho06.html吉田貞史他: 特集−耐放射線半導体基礎技術−, 電子技術総合研究所彙報, 58 (2) (1994).[1][2]クトロニクスもその1課題となっている。また、SiCのさらなる基盤技術の充実と可能性を明らかにする課題が、我が国の「最先端研究開発支援プロジェクト」30課題の一つに採択された。新規半導体の実用化の研究開発は、「ウェハ→デバイス→システム応用」といったように逐次的に展開するものではない。例えばデバイスの開発の進展により、さらなるウェハの口径拡大、品質の向上が求められるといったように螺旋的にそれぞれの研究開発が進む。実用化を揺るぎないものにするための先取りした基盤研究開発が、産学官で融合的に進められることを期待している。エネルギーインフラ変革を支えるキーテクノロジーとしてのパワーエレクトロニクスの将来を見据えた総合的研究開発が必要である。謝辞SiC材料・デバイス研究開発のパイオニアであり、一貫してこの活動を支援してくださっている吉田貞史埼玉大学教授(現産総研招聘研究員)による本稿に対する適切な助言に感謝します。注1)本構成は、査読者からの本誌の目的に照らした構成の在り方の要請に従いました。活動母体の存続時期とプロジェクト期間等は必ずしも一致していません。注2)1st International Workshop on Ultra-Low-Loss Power Device Technology(UPD2000), May31-June2, 2000, Nara, Japan(新機能素子研究開発協会主催)。注3)シミュレーションについては、グルノーブルにあるフランス国立科学研究センター(CNRS)のマダール教授のグループに協力いただいた。注4)「省エネルギー技術戦略」2002年6月12日資源エネルギー庁省エネルギー技術対策課:パワーエレクトロニクス応用装置における省エネルギーの重要性が取り上げられた。現在の改訂版においては、パワエレにおける省エネルギーデバイス技術としてSiCが認知されている。注5)特別シンポジウム「省エネルギー技術開発の新しい息吹~パワーエレクトロニクスの新展開」(2002年11月25日)東京、全共連ビル、産総研技術情報部門主催。注6)応用物理学会「SiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会」、国際会議 Int.Conf.Silicon Carbide and Related Materials ICSCRM01(つくば)、ICSCRM07(大津)。注7)第1回パワーエレクトロニクスニューウエーブ(PENW)国際ワークショップ(2005年4月11日)東京、発明会館、産総研主催、新機能素子協会協賛。第2回(2006.6.15)PERC主催、新機能素子協会協賛、第3回(2008.1)つくば産総研。ECPE: European Center for Power Electronics(ドイツ)シーメンスを中心とした産学官連合(2003年設立)CPES: Center for Power Electronics System(米国)バージニア工科大学を中心に5大学80以上の企業からなるNSF支援のエンジニアリングセンターの一つ(1998年設立)「ハードエレクトロニクス調査研究報告Ⅰ」(社)日本電子工業振興協会(平成7年3月)及び「ハードエレクトロニクス調査研究報告Ⅱ」(社)日本電子工業振興協会 (平成8年3月).荒井和雄, 吉田貞史編: SiC素子の基礎と応用, オーム社 (2003).FREEDM Systems Centerhttp://www.freedm.ncsu.edu/[3][4][5]

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