Vol.3 No.3 2010
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研究論文:映像の安心な利用を可能にする映像酔い評価システムの開発(氏家)−184−Synthesiology Vol.3 No.3(2010)おけるヨー軸(垂直方向の軸)、ピッチ軸(左右に水平な軸)、ロール軸(前後に水平な軸)に対して、並進運動と回転運動とが挙げられる。したがって、視覚的グローバル運動もこれらに対応した運動を考えることができる。映像酔いの影響要因は、表1に示すとおり、映像コンテンツ、映像表示条件、視聴者属性に分類されるとともに、映像酔いのきっかけとなる一次要因と、それを増強・減弱させる二次要因とに分類される。この表によれば、映像酔いのきっかけとなる一次要因は映像コンテンツに分類される視覚的グローバル運動である。この基本には、冒頭で述べた感覚再配置説の考え方があり、実際には身体が静止している状態で与えられる視覚的グローバル運動が身体の運動情報となって、体性感覚や前庭系からの感覚情報との間に乖離を生じることで酔いが生じるとする考え方[2]に基づく。そこで映像酔い評価システムでは、視覚的グローバル運動に関わる生体影響についての知見を第一の構成要素として選択した。視覚的グローバル運動による生体影響の基本特性については、経済産業省基準認証研究開発事業「映像の生体安全性評価法の標準化(2003~2005年度)」において、筆者らが明らかにしてきた。筆者らは実験においてCGにより仮想的な部屋を設定し、その中心に観察者が立位する状況を想定した。ここで、観察者の頭部の中心で直行する3軸(前述のピッチ、ヨー、ロールの各軸)を設定し、各軸回りの往復回転運動(振動)が与えられた際に観察される映像をCGによって作成し観察者に提示した。提示視野サイズは82 deg×67 deg、提示時間は約1分間として、観察者から映像酔いに関連する11段階の主観評価を求めた。その際に、各軸回りの往復回転運動の条件として、2種類の振幅(30, 90 deg)と6種類の時間周波数(0.03, 0.06, 0.12, 0.24, 0.49, 1.0 Hz)とを用いた。この結果、図5に示すように、映像酔いの影響最大速度 (deg/s)*********1010010000.00.51.01.52.02.5映像酔いに関わる主観評価値* p<0.05 (マン・ホイットニー検定)振幅 90 deg振幅 30 degピッチヨーロール101001000101001000******10モデル運用映像利用入力データ基盤データ-心理的計測-生理的計測主要な実験結果実験風景制作した映像を利用映像酔い評価モデル精度向上のための生体影響計測映像制作手法に基づく酔いやすい映像制作実際の映像での映像酔い推定映像の視覚的グローバル運動速度を基に応答出力するモデルの構築映像酔い評価モデル映像の視覚的グローバル運動解析視覚的グローバル運動による生体影響に関する知見基礎実験による映像酔い基礎特性データグローバルモーション推定ローカルモーション推定ズームロールパンティルトTime (min)応答量持続性応答一過性応答最大速度 (deg/s)* p<0.05 (マン・ホイットニー検定)振幅 90 deg振幅 30 deg映像酔いに関わる主観評価値ピッチヨー0.00.51.01.52.02.5101001000101001000図4 映像酔い評価システムにおける要素技術の関係図5 視覚的グローバル運動による映像酔いへの効果

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