Vol.3 No.3 2010
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シンセシオロジー インタビュー−241−Synthesiology Vol.3 No.3(Aug. 2010)インタビューシンセシオロジー編集委員会日本工学アカデミーには、社会のための工学という立場から、どのような科学技術政策が必要かを分析し、有効な政策提言を行なう政策委員会があります。その政策委員会のもとで、我が国が重視すべき科学技術のあり方に関する提言が行なわれました。この提言のためのタスクフォースの幹事の鈴木浩さんに本誌赤松幹之編集幹事がインタビューして、ここで提唱されている「根本的エンジニンリング」の考えをうかがい、シンセシオロジーとの関連について話し合いました。イノベーションを推進する根本的エンジニアリング根本的エンジニアリングとはなにか赤松 日本工学アカデミー政策委員会で「我が国が重視すべき科学技術のあり方に関する提言」として「根本的エンジニアリング」を提唱されておられます。提言を拝見しますと、「顕在化した課題に対する科学技術の適用にとどまらない、根源的なイノベーションを推し進める」とありますが、そもそも根本的エンジニアリングとはどのようなものでしょうか。鈴木 アメリカにおいては、クラウド・コンピューティング、スマートグリッド、iPodやiPadなどがイノベーションとして登場しています。一方、日本はエンジニアリングがとても得意である、製品をつくるのがとてもうまい、ものづくりが巧みであると言われているのですが、日本からはイノベーションがあまり起きてこない。その原因が何なのかということをもう一度見直してみようということが動機です。エンジニアリングにはいろいろな定義がありますが、「与えられた制約条件のもとで最適な答えを出す」というふうに捉えられることが多い。本当にそれでいいのかと疑問を持つようになり、制約条件自身を無視し、幅を狭めないで、オープンに見ることからスタートしたら全く違う答えが出てくるのではないか、それがイノベーションにつながるのではないかと考えました。イノベーションを研究する中で、アメリカやEUなどによる科学技術分野の捉え方としての「Converging Technology」を調べてみようと。もし、それが日本にうまくフィットするようであれば、日本型のConverging Technologyを考えたらどうかというのがタスクフォース発足のきっかけです。アメリカのConverging Technologyとは赤松 Converging Technologyの研究から始まり、それでは足りないので「根本的エンジニアリング」という概念を出したということですね。Converging Technologyについては、2002年に「Converging Technologies for Improving Human Performance(人間の能力改善のためのCTs)」(NSF、米国商務省)が発表されていますが、その後、欧州などによってさまざまな定義がされています。鈴木 研究に至るプロセスとしては、将来の課題を見つ鈴木 浩:ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル・インク 技監赤松 幹之:シンセシオロジー編集幹事 産業技術総合研究所赤松 幹之 氏(左)と鈴木 浩 氏(右)
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