Vol.3 No.3 2010
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研究論文:安全・安心のためのアニマルウォッチセンサーの開発(伊藤ほか)−240−Synthesiology Vol.3 No.3(2010)回答(伊藤 寿浩)ご教示にしたがって、図6を修正いたしました。議論2 技術用語コメント(清水 敏美)共同研究先として、動物衛生研究所とあります。査読者の知る限り、動物衛生研究所には多くの獣医がいると聞いており、獣医学的立場から鶏の感染予防あるいは感染防止に関して、どのような最近の研究動向があるのでしょうか。農林省の技術政策や施策の点からも、解説を加えていただければと思います。回答(伊藤 寿浩) 「1.はじめに」の第2段落「・・・養鶏場における対策・・・」に関連の記述を加筆しました。コメント(清水 敏美)技術者を含む一般読者には、カタカナ表示による難解な技術用語が多くあります。例えば、タイムドリブン、プリアンブル、パリティービット、ダイレクトコンバージョン、カスタムRF-IC、バイタルサインなどは当該学会では一般的な用語であっても、一般読者にとっては意味が不明です。日本語訳が可能であれば和訳を、不可能であれば、説明など工夫が必要だと思います。回答(伊藤 寿浩)少なくともご指摘の語句に関しましては、初出部分にできるだけ括弧書きなどで和訳あるいは説明を入れました。議論3 MEMS技術活用のメリット質問(濱 純:産業技術総合研究所評価部)加速度センサー、温度センサーともにスイッチ方式による超省電力化へのMEMSの活用は、動物用センサーのシンプル化に加えて、MEMS技術で一体製造できることによると記述されていますが、図3、4の各センサーの製造上のメリットを具体的に教えて下さい。回答(伊藤 寿浩)スイッチ方式のセンサーを実現するためには3次元的な機械構造が必要です。MEMS技術は、シリコンウェハ上に3次元マイクロ構造およびそれらを保護する実装構造を一括して製作することを得意とする技術であり、小型かつ低コストな3次元的機械構造を含むデバイスを実現する唯一の技術といえます。具体的には、加速度センサーについては圧電薄膜が形成された振動子および封止構造の作成、温度センサーについてはバイメタル片持ち梁アレイ、接点構造および封止構造の作成にMEMS技術が必要不可欠です。議論4 閾値の設定質問(濱 純)センサーシステムのハードやソフトができても、それと同等以上に重要なのが鳥の異常行動と判定する閾値の設定であると思われますが、非日常的行動としての最終的な閾値の設定は、実際にはどのように決定されたのですか?公開できる範囲でその決定プロセスを説明下さい。回答(伊藤 寿浩)動物実験用の無線センサー端末を使って、動物衛生研究所で同時に数10羽の鶏を使った実験を複数回実施してきました。基本的には、ウイルスを接種した鶏(複数のウイルス株について実施)と未接種の鶏の体温データ・加速度データを比較分析することにより、検出体温の設定や加速度閾値の設定などを行っています。議論5 低コスト化質問(濱 純)健康モニタリングシステムの低コスト化には、安価なセンサーシステムの技術開発のほかに、サンプリング数(装着数)を最小化するなどの工夫もなされていると思いますが、統計的なサンプリング総数(取り付け総数)については動物の特性によって違いがあるでしょうか。回答(伊藤 寿浩)動物の特性によって相違があるかどうかはわかりませんが、動物衛生研究所の専門家の意見をうかがったところでは、養鶏場の鶏集団の健康を見るためのサンプリング数としては0.3~1 %で十分ではないかとのことでした。また、実験データを利用して、センサー濃度と検出時間(最初に鶏が感染してから異常と判断して通報するまでの時間)との関係をシミュレーションした結果から、現在は5 %程度が必要最小限の数だと考えています。議論6 MEMS技術の実用化質問(濱 純)MEMSという技術ベースからの用途開拓の一つとして鳥の健康モニターという実際の製品化普及を狙っていますが、一方で、鳥の健康モニターというニーズの視点からの競合製品などの出現に対する競争力の検討が実用化普及には重要であることを「おわり」において示唆されていると思います。MEMS技術における優位性のある出口の見通しについて、より具体的にご説明ください。また、健康行動モニタリング以外でどのような用途が有力と思われるか、現状での考えをお聞かせ下さい。回答(伊藤 寿浩)一般論では、MEMS技術は特に小型・低コストが求められるあらゆるセンサーの製造基盤技術だと思いますので、アンビエント社会注)のさまざまなセンサーインターフェースデバイスがMEMS技術で実現されていくはずです。鶏以外の動物の健康行動モニタリングまでは、同様のコンセプトのシステムが適用可能であろうことは予測できるものの、例えば施設の環境モニタリングといった別の用途では、(MEMSが必要かどうか含めて)一から検討しなければいけないと考えています。しかし、端末の側をできるだけ“軽い”システムにしてより広範囲に多数ばら撒けるようにし、受信側のシステムを高度化するというコンセプトは、農業応用や防災応用を含めた環境モニタリングへの応用へは有効だろうと考えています。注)アンビエント社会「ユビキタス社会」は、人間が「いつでも、だれでも、どこでも」必要な情報を能動的に取りにいける世界に対して、「アンビエント社会」は、人を「取り巻く(=ambient)」情報環境が人の状況を賢くセンシングし、環境側から必要な情報を必要な時に提供する世界。
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