Vol.3 No.3 2010
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研究論文:複雑システムの信頼性を向上させる開発手法(加藤ほか)−206−Synthesiology Vol.3 No.3(2010)確認された各仕様を基に開発が進められている。6 考察本章では、この研究における開発手法の有効性を示す。また、本開発手法の課題を述べる。6.1 開発手法の有効性この研究における開発手法について、5章で示した産業事例への適用結果を基に有効性を示す。有効性を示すにあたり、適用事例におけるQCD(Quality:開発対象の品質、Cost:開発コスト、Delivery:開発期間)用語35に着目する。まず、開発対象の品質という観点から、本開発手法を考察する。今回、不定形剛体運搬ロボットシステムという機能的に複雑な産業事例に対し、この研究における開発手法を適用した。その結果、アーキテクチャ設計に対して、測定サブシステムおよび統合制御サブシステムにおける協調動作の不整合をフィードバックし、1回の反復で協調動作が整合している測定サブシステム仕様、統合制御サブシステムを作成することができた。特に、表3に示す協調動作の不整合については、満たすべき性質が成り立つかどうかをしらみつぶしに確認するモデル検査ならではの、人手では検出することが困難な不具合といえる。そのような不具合を開発の初期段階で検出できたことは、本開発手法の有効性の現れである。次に、開発コストおよび開発期間という観点から、本開発手法を考察する。表4に産業事例に対して本開発手法を適用した際の工数を示す。ブリッジ技術およびモデル検査については、5章で述べた測定サブシステムおよび統合制御サブシステムにおける実績値を示す。アーキテクチャ設計については、189人時間の工数を要した。システム開発において、アーキテクチャ設計を含むシステムエンジニアリング手法を適用する効果については、多くの先行研究が存在する[22]-[25]。これらの先行研究において、システムエンジニアリング手法を適切に適用することで、システム開発における開発コストおよび開発期間の短縮が可能であることが示されている。本稿においては、今回の産業事例に対し、アーキテクチャ設計手法を適用したことによる開発コストおよび開発期間に関する短縮の程度を示すことはできない。しかし、アーキテクチャ設計において、確実な成果が得られたことを考慮した場合、システム開発における開発コストおよび開発期間を短縮できた可能性が高い。ブリッジ技術12※モデル検査5※ブリッジ技術189アーキテクチャ設計工数(人時間)作業※測定サブシステムおよび統合制御サブシステムにおける実績値表 4 産業事例に対する本開発手法適用時の工数図 12 統合制御サブシステムにおける協調動作モデル

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