Vol.3 No.3 2010
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研究論文:複雑システムの信頼性を向上させる開発手法(加藤ほか)−204−Synthesiology Vol.3 No.3(2010)ロボットサブシステムは、ロボットアームおよびロボットハンド、それらを制御するコントローラで構成される。また、運用者がロボットアームに関する動作のプログラミングや、ロボットアームの緊急停止を行う際に用いるティーチペンダント用語33を有する。ロボットサブシステムは不定形剛体の把持、運搬、据置を行う。統合制御サブシステムは、測定サブシステムおよびロボットサブシステムを制御する統合制御計算機、運用者が作業の指示やシステムのステータス確認を行う際に使用するコンソール用語34で構成される。統合制御サブシステムは、測定サブシステムからの計測結果を基に、ロボットサブシステムを制御する。また、アーキテクチャ設計を実施する際、測定サブシステム、ロボットサブシステム、統合制御サブシステムに関するトレーサビリティマトリクスを作成した。5.2.2 ブリッジ技術不定形剛体運搬ロボットシステムにおける各サブシステム仕様、サブシステム間のインタフェース仕様、トレーサビリティマトリクス、システム仕様に対し、ブリッジ技術を適用した。ここでは測定サブシステムおよび統合制御サブシステムを取り上げ、ブリッジ技術の具体的な適用内容を述べる。まず、トレーサビリティマトリクスを基に、各サブシステム仕様およびサブシステム間インタフェース仕様から協調動作に関連する仕様を抽出した。協調動作に関連する仕様の具体的な抽出方法は4.2節に示す方法に従う。測定サブシステム仕様においては仕様39項目から6項目、統合制御サブシステム仕様においては仕様78項目から6項目を抽出した。また、測定サブシステムおよび統合制御サブシステム間のインタフェース仕様においては仕様26項目から22項目を抽出した。次に、トレーサビリティマトリクスおよび不定形剛体運搬ロボットシステムのシステム仕様を基に、サブシステムの協調動作が満たすべき性質を抽出した。協調動作が満たすべき性質の具体的な抽出方法は4.2節に示す方法に従う。測定サブシステムおよび統合制御サブシステムにおいては、協調動作が満たすべき性質として23項目を抽出した。表1に抽出した23項目の性質の中から2項目を示す。そして、抽出した協調動作に関する仕様および協調動作が満たすべき性質を基に、協調動作として評価すべき観点を設定した。測定サブシステムおよび統合制御サブシステムの協調動作においては、メッセージおよび処理の抜けや齟齬が懸念された。100 ms以内などの時間制約やメッセージおよび処理のタイミングに関する仕様が存在した。したがって、4.2節で示す①および②の二つを評価観点として設定した。また、識別した評価観点を基に、適用するモデル検査ツールを選定した。測定サブシステムおよび統合制御サブシステムの協調動作については、時間的な制約やメッセージおよび処理のタイミングを評価する必要がある。また、測定サブシステムおよび統合制御サブシステムは並行して動作するため、並行システムのモデル化が可能なモデル検査ツールを選定する必要がある。したがって、本適用においては、これらの条件を満足するモデル検査ツールとしてUPPAALを選定した。5.2.3 モデル検査前項と同様に、本項においても、測定サブシステムおよび統合制御サブシステムを取り上げ、モデル検査の具体的な適用内容を述べる。まず、モデル検査ツールの表現形式に従い、ブリッジ技術において抽出した協調動作に関連する仕様をモデル化した。図11から図13に、UPPAALを用いて測定サブシステムおよび統合制御サブシステムの協調動作に関連する仕様をモデル化した結果を示す。作成したモデルは、協調動作に関連する仕様において、測定サブシステムに対応するモデル(図11)、統合制御サブシステムに対応するモデル(図12)、測定サブシステムおよび統合制御サブシステムのインタフェースに対応するモデル(図13)の3モデルで構成される。9 不定形剛体運搬ロボットシステム統合制御サブシステムコンソールレーザスキャナ上下動機構ロボットサブシステム測定サブシステム測定制御計算機レーザスキャナロボットハンドコントローラティーチペンダントロボットアームコントローラ統合制御計算機インターフェイスコンポーネントサブシステムシステム測定サブシステムは、統合制御サブシステムによる測定停止要求の送信後100 ms 以内に測定処理を停止すること。3-3統合制御サブシステムは、測定サブシステムに対する剛体測定要求に対し、測定サブシステムから剛体測定結果もしくは剛体測定失敗の応答を受信すること。1-5性質No.図 10 不定形剛体運搬ロボットシステムのアーキテクチャ設計結果表 1 測定サブシステムおよび統合制御サブシステムの協調動作が満たすべき性質(23項目のうちの2項目)
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