Vol.3 No.3 2010
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研究論文:複雑システムの信頼性を向上させる開発手法(加藤ほか)−202−Synthesiology Vol.3 No.3(2010)の研究で開発するブリッジ技術を適用する。ブリッジ技術を適用することで、協調動作に関連する構成要素の仕様および協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様を抽出する(図6の左下における縞模様の仕様)。協調動作が満たすべき性質を導出する。また、開発手法において適用するモデル検査ツールを選定する。ブリッジ技術のアウトプットはモデル検査を実施する上で必要なインプットとなる。そして、適用するモデル検査ツールの表現形式に従い、協調動作に関連する構成要素の仕様および協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様をモデル化する。また、適用するモデル検査ツールの表現形式に従い、協調動作が満たすべき性質からモデル検査の検査式を作成する。適用するモデル検査ツールに対し、作成したモデルおよび検査式を入力し、モデル検査を実施する。モデル検査の結果、モデル検査ツールから反例が出力される場合、反例を分析し協調動作の不整合内容をアーキテクチャ設計にフィードバックする。フィードバックした協調動作の不整合内容を基に、再度、作業フローにしたがってアーキテクチャ設計を実施する。モデル検査の結果、モデル検査ツールから反例が出力されない場合、協調動作が整合している構成要素の仕様および構成要素間のインタフェース仕様をリリースし、本開発手法のアウトプットとして出力する。4.2 ブリッジ技術この研究における開発手法では、システム設計の段階で構成要素による協調動作に対しシステム検証を行う。そのためには、協調動作に着目し、アーキテクチャ設計のアウトプットおよびモデル検査のインプットをシームレスに繋ぐ必要がある。そこで、構成要素の仕様、構成要素間のインタフェース仕様、トレーサビリティマトリクス、システム仕様を基に、協調動作に関連する構成要素の仕様、協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様、協調動作が満たすべき性質、適用するモデル検査ツールを導出する技術を開発している。この技術は、アーキテクチャ設計手法とモデル検査の橋渡しをすることからブリッジ技術と呼ぶ。ブリッジ技術は、協調動作に着目しIEEE 1220といったシステムエンジニアリング標準とモデル検査を融合する具体的な方法を明確にしたところに新規性がある。図8に、アーキテクチャ設計とモデル検査のブリッジ技術を示す。図8は、図6の中央部分にあるブリッジ技術の詳細に相当する。ブリッジ技術のインプットは、構成要素の仕様、構成要素間のインタフェース仕様、トレーサビリティマトリクス、システム仕様である。まず、協調動作に関連する構成要素の仕様および協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様を抽出する。図9に、協調動作に関連する構成要素の仕様および協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様を示す。協調動作に関連する構成要素の仕様を抽出する際、トレーサビリティマトリクスを用いる。トレーサビリティマトリクスにおいて、システムの仕様が複数の構成要素における仕様に対応付けられる場合、これら構成要素は協調動作することで、システムの機能を実現することになる。図7の場合、構成要素A仕様5.1 XA機能および構成要素B仕様 5.1 XB機能は、システム仕様4.1 X機能を実現するために協調動作する。図9では、構成要素A仕様および構成要素B仕様における縞模様部分に相当する。協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様については、協調動作に関連する構成要素の仕様内に存在するインタフェース情報を基に、構成要素間のインタフェース仕様から抽出する。図9では、中央のメッセージ部分に相当する。ブリッジ技術評価観点モデル検査ツールの選択評価観点の識別満たすべき性質の抽出協調動作の抽出システム仕様トレーサビリティマトリクス構成要素B仕様構成要素間インタフェース仕様構成要素A仕様構成要素A協調動作仕様構成要素B協調動作仕様構成要素間インタフェース協調動作仕様満たすべき性質モデル検査ツール8 協調動作に関連する仕様処理メッセージ協調動作に関連する構成要素の仕様構成要素B構成要素B仕様構成要素A構成要素A仕様協調動作に関連する構成要素間のインタフェース仕様協調動作に関連する構成要素の仕様図 8 アーキテクチャ設計とモデル検査のブリッジ技術図 9 協調動作に関連する仕様
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