Vol.3 No.2 2010
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研究論文:正確性・コストパフォーマンスに優れた遺伝子定量技術の開発と実用化への取り組み(野田)−157−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)執筆者略歴野田 尚宏(のだ なおひろ)2002年早稲田大学理工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了(博士(工学))(2000年1月〜2002年3月日本学術振興会特別研究会DC)。同年産業技術総合研究所特別研究員。2005年産総研生物機能工学研究部門生物資源情報基盤研究グループ研究員。2006年生物機能工学研究部門バイオメジャー研究グループ研究員。2010年4月バイオメディカル研究部門バイオメジャー研究グループ研究員。核酸(DNA/RNA)の定量技術の開発・評価および核酸に相互作用するタンパク質のハイスループット活性評価技術の開発に関する研究に従事。査読者との議論 議論1 具体的な想定クライアントおよび展開するシナリオコメント(地神 芳文:産業技術総合研究所評価部)このビジネスを成功させるために必要な課題や克服すべき問題点として、例えば、「安価で納期が早い」特徴を発揮できる具体的な想定クライアントの属性とそれをビジネス展開するシナリオの分析が必要ではないかと思われます。3rd editoin, Springer (2006).M. Torimura, S. Kurata, K. Yamada, T. Yokomaku, Y. Kamagata, T. Kanagawa and R. Kurane: Fluorescence-quenching phenomenon by photoinduced electron transfer between a fluorescent dye and a nucleotide base, Anal. Sci., 17, 155–160 (2001).S. Kurata, T. Kanagawa, K. Yamada, M. Torimura, T. Yokomaku, Y. Kamagata and R. Kurane: Fluorescent quenching-based quantitative detection of specific DNA/RNA using a BODIPY® FL-labeled probe or primer, Nucleic Acids Res., 29, e34 (2001).H. Tani, R. Miyata, K. Ichikawa, S. Morishita, S. Kurata, K. Nakamura, S. Tsuneda, Y. Sekiguchi and N. Noda: Universal quenching probe system: flexible, specific, and cost-effective real-time polymerase chain reaction method, Anal. Chem., 81, 5678–5685 (2009).H. Tani, T. Kanagawa, S. Kurata, T. Teramura, K. Nakamura, S. Tsuneda and N. Noda: Quantitative method for specific nucleic acid sequences using competitive polymerase chain reaction with an alternately binding probe, Anal. Chem., 79, 974–979 (2007).S.K. Singh, P. Nielsen, A.A. Koshkina and J. Wengel: LNA (locked nucleic acids): synthesis and high-affinity nucleic acid recognition, Chem. Commun., 4, 455–456 (1998).H. Tani, T. Teramura, K. Adachi, S. Tsuneda, S. Kurata, K. Nakamura, T. Kanagawa and N. Noda: Technique for quantitative detection of specific DNA sequences using alternately binding quenching probe competitive assay combined with loop-mediated isothermal amplification, Anal. Chem., 79, 5608–5613 (2007).日経バイオテク編: 日経バイオ年鑑2010, 837–838, 日経BP社 (2009).[7][8][9][10][11][12][13]回答(野田 尚宏)「安価で納期が早い」特徴を発揮できる具体的な想定クライアントとしては、多様な遺伝子多型を解析する必要がある遺伝子検査会社やバイオレメディエーション等における多様な環境微生物のモニタリングを行う必要がある環境関連企業等が考えられます。したがって、本稿では特に今後の市場拡大が見込まれる環境微生物のモニタリングに係る環境関連企業を取り上げ、原稿を改訂しました。議論2 普及すべき課題や問題点コメント(地神 芳文)試薬キットを組み込んだ安価な蛍光測定装置(100万円以下)の販売計画が記載され、このビジネス展開として、発展途上国等で、低コストで遺伝子の定量・解析を実施する際のツールとしての普及が提案されています。非常に興味深い提案ですが、では、これを実現するために克服すべき課題や問題点は何かの考察が記載されていません。回答(野田 尚宏)発展途上国等で普及を実現する上で、克服すべき課題や問題点を考えると、開発した技術の小型化・省エネルギー化を達成することが重要と言えます。そのためには近年、技術開発が目覚ましいmicro-Total Analysis System(µ-TAS)の技術と融合したバイオチップの開発等が今後の実用化シナリオでは重要と考えられます。この点を改訂原稿の中で記述しました。議論3 市場での価値、社会的インパクトコメント(地神 芳文)図9に、実用化へのポイントが記載され、その製品候補も記載されていますが、これらの製品の持つ市場での価値、社会的インパクトをさらに記載すると、よりわかりやすくなるのではないでしょうか。回答(野田 尚宏)図9の製品候補に対して「製品候補の持つ市場での価値・インパクト」を追加しました。議論4 技術開発における問題点と解決のためのシナリオ等コメント(地神 芳文)将来への展望として、「Universal QProbe法とABC法を組み合わせた新規技術の開発」と「等温遺伝子増幅法と組み合わせたOn-site遺伝子定量装置やモバイル型遺伝子定量装置の開発」が記載されています。これは「研究者の夢」または「研究目標と社会とのつながり(社会的価値)」を判断する上で重要な部分ですが、これらの技術開発において克服すべき問題点、それを解決するためのシナリオ、および実用化された際の市場へのインパクト等に関する記載が望まれます。回答(野田 尚宏)「Universal QProbe法とABC法を組み合わせた新規技術の開発」においては、これまでのジョイントDNAの概念をさらに高度化してABC法に適合したジョイントDNAのアイデアを産み出す必要があります(アイデアの詳細については現在技術開発中のため、本稿では割愛)。また、「等温遺伝子増幅法と組み合わせたOn-site遺伝子定量装置やモバイル型遺伝子定量装置の開発」については、等温遺伝子増幅技術の選択(必要に応じて新規増幅技術の開発)や簡易的な核酸抽出技術が必要とされます。このような技術開発上克服すべき課題と実用化された際の市場へのインパクトについて、改訂原稿の中で記述しました。

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