Vol.3 No.2 2010
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研究論文:コンパクトプロセスの構築(鈴木ほか)−141−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)3.2 高圧マイクロ熱交換器(間接熱交換方式)超臨界水反応操作における熱交換器は、効率的な超臨界水製造および反応温度までの急速な昇温を実現する加熱器として、また反応後、反応停止温度域までの急速な冷却を行なう冷却器としての役割を担う。高圧マイクロ熱交換器は耐圧設計の観点から高圧マイクロチューブの採用が基本となり、チューブ内をマイクロ空間として利用する。前述したように超臨界水プロセスではある程度の圧力損失は許容できるため質量流量を大きく設定できる。そのため、マイクロチューブ内は激しい乱流状態(高レイノルズ数)となるため、管内(受熱側・低温側)境膜伝熱係数は極めて大きな数値が期待できる。問題は管外(与熱側・高温側)境膜伝熱係数をいかに大きく設定できるかにかかる。一般的な超臨界水製造装置では、加熱源としてニクロム炉からの対流伝熱および輻射伝熱を利用しているが、ニクロム炉の熱がマイクロチューブ表面へ伝わる速度である管外境膜伝熱係数は極めて小さく、それが全体の伝熱速度(総括伝熱係数)を律速する。私達は高圧マイクロ加熱器の加熱法として、マイクロチューブそのものに電気を流し、ジュール発熱を行なう方法を提案した[12]。この方法を採用できれば、管外境膜伝熱係数は見かけ上無限大と考えることができ、伝熱は金属伝熱抵抗と管内境膜伝熱係数のみで決定されることになる。マイクロチューブに電気を流す方式としては電磁誘導方式と、直接通電方式の2通りが考えられるが、電磁誘導方式では誘導コイルを外部に設置することが必須であり、装置のコンパクト化という観点から制限を受けるため、今回は直接通電方式を採用した。図7に、直接通電方式を用いた高圧マイクロ加熱器(チューブ構成:内径0.25 mm、外径1.6 mm、長さ200 mm)の概念図を、図8に評価結果を示す。伝熱性能は供給する純水の流量の増加につれて良好となるが、これは流量の増加により管内境膜伝熱係数が増大したためである。総括伝熱係数は最大10,000 W/m2・℃、熱効率95 %以上と極めて効率的な加熱が実現できており、この結果を昇温速度に換算すると、最大150,000 ℃/秒となる。これは、数ミリ秒で水を臨界温度以上に昇温できることを示しており、超臨界水の直接混合による昇温時間に匹敵する結果である。本稿では、高圧マイクロ冷却器について記述を省略するが、マイクロチューブの外側に冷却ジャケットを設けることにより簡便に高圧マイクロ冷却器を構築することができる。冷却器では、冷却水の流量を大きくすることにより管外境膜伝熱係数を大きくすることができ、加えて冷却時は加熱時よりも温度差を大きく設定することができるため、比較的大きな伝熱速度をとることはそれほど難しくない。3.3 ナンバリングアップ戦略と高圧マイクロエンジニアリングの構築マイクロリアクタの実用化における課題として、処理量増加の達成をいかに行うかが重要なポイントとなる。従来の化学工学ではこれをスケールアップ(例えば、反応器径の拡大など)で対応するが、マイクロリアクタではマイクロ特有のメリットを生かすために、当然スケールアップ法を採用できない。そのため、並列化法(ナンバリングアップ)が質量流量 (kg/h)質量流量 (kg/h)熱効率 (%)総括伝熱係数 (W/m2・K)01.02.03.04.05.0001.02.03.04.05.05060708090100P=23MPaP=25MPaP=30MPaP=35MPaP=40MPaP=45MPaP=23MPaP=25MPaP=30MPaP=35MPaP=40MPaP=45MPa20006000800010000120004000図7 直接通電加熱による高圧マイクロ加熱器の原理概念図直接通電加熱の採用により、総括伝熱係数が極めて大きくなる。図8 高圧マイクロ加熱器の評価結果最大熱効率95 %、総括伝熱係数10,000 W/m2・Kと極めて効率的な加熱が実現。~ 急速加熱可能総括伝熱係数大管外境膜伝熱係数無限大直接通電加熱管内境膜伝熱係数大マイクロチューブ銅製電極バー銅製電極バー電源トランスジュール発熱領域加熱水インコネル625 マイクロチューブ1/16” OD(0.25 mmID)×200 mmマイクロ流路(0.25 mmID)純水1.0 mm

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