Vol.3 No.2 2010
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研究論文:紫外線防御化粧品と評価装置の製品化(高尾ほか)−132−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)材料設計に資する評価法であるという既成事実が、評価装置の社会的信頼性も高め、装置の普及(マーケティング)と装置開発の受注を促進(10年度)するという、関係調整に(結果的に)発展した[1][2][14]-[21]。4 研究成果と考察4.1 Ordered-mixture(ナノ粒子偏析の解消)とUV防御・可視光透過性を両立ナノ粒子の粒間の偏析を抑え、化粧品用セラミックス単体(絹雲母[15])の粒表面のみにナノ粒子を付着させた複合粒子(Ordered-mixture)を合成した成果を、図9(a)TEM像と図9(b)~(c)EDS線分析マップで示す。板状のセラミックス単体粒子(絹雲母)の表面(直方体の卓面・端面の両方)に、微細均一に球状のナノ粒子が付着している。ナノ粒子は、単体表面以外には観察されず、粒間の偏析を抑制できている [1]。また図7(a)~(d)に、複合粒子の複合(被覆)状態を形態制御した結果(a)~(c)と、マイカ顆粒体(d)を示す。複合粒子は、セラミックス単体粒子の表面に(a)粒状、(b)膜状(=膜を判別し易いように敢えて膜の破断部分を撮影)、(c)針状にチタニアを析出させた。この他、板状のセラミックス単体粒子の卓面および端面の一方のみに、ナノ粒子を(制御された不均一状態で)被覆させることもできる[1][2][14]-[21]。顆粒体として、セラミックス単体(マイカ)粒子の中実顆粒を図7(d)に示す。この他、別の板状セラミックス単体(窒化ホウ素BN)や、ナノ粒子(チタニア)の中空(又は中実)顆粒、水分を内封~吐出できる膨潤顆粒も作製可能である[1][21]。以上の形態制御は、液中の静電ヘテロ凝集・ホモ反発力と粒子充填モデルの併用等、2・3章で詳述した固・液・気相法の制御因子を適宜選択することで実施できる[1][2][14]-[21]。材料特性として図10に、UV防御・透明感を両立した成果を示す。図10(b)既往製品は、約400 nm以下のUV域で光透過率が下がらず、UVのみの遮蔽が不十分なだけではなく、400 nm以上の可視光域でも透過率が極端に低下し、透明性が悪化している。一方、複合粒子法による図10(a)開発品は、UV域の低透過率化(=高遮蔽能)と、可視光域での図10(c)原料単体の透過率低下を抑制できた(=高い透明感)[1]。以上により、化粧品の①UV防御・②透明感・③使用感の3課題に対し、①「紫外光だけの高い遮蔽性」②「高い可視光透過性」を達成できた。紫外光領域だけに特異的な遮蔽能を実現できた理由として、ナノ粒子の板状のセラミックス単体粒子(絹雲母)間の偏析を抑え、原料粒表面の卓面または端面に「制御された異方性」状態で配合でき、色調の制御性が向上した効果を、挙げることができる[21]。4.2 滑沢性の定量化と、高使用感(素肌感)も同時に達成図11に、紫外線防御化粧品の残りの技術的要素:③高い滑沢性に関し、図5および図8で示した自乗法近似モデルで評価した法線力・横摺り力線図を示す。図11(b)の既往製品は、図11(c)の原料単体に対し、法線力と横線分析チタニアTiO2チタニアTiO2(c)(a)(b)500 nm図9 技術的成果:“Ordered-mixture”状態を具現化(ナノ粒子偏析を解消)(a)TEM像:雲母から剥離したチタニアナノ粒子が存在しない(埋め込み研磨)(b)WDS面分析結果:中心の板状粒子が雲母、周囲の球状粒子がチタニア(c)EDS線分析結果:雲母の周囲にチタニアナノ粒子が均一に複合化透過率 (%)波長 (nm)開発品(複合粒子)他社製品原料(雲母)790690590490390290100806040200(a)(b)(c)(c)(a)(b)図10 技術的成果:UV防御と可視光透過性を両立(a)開発品「複合粒子」=静摩擦に相当しホッパ圧密状態等を模型的に再現(理想状態)(b)他社製品=UV防御能は改善するがナノ粒子凝集のため透過(透明)性まで低下し、化粧の「顔の白浮き」が発生する(c)原料(雲母)粉体=可視光透過(透明)性は高いがUV防御機能がない
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