Vol.3 No.2 2010
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研究論文:紫外線防御化粧品と評価装置の製品化(高尾ほか)−130−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)<セラミックス粉体特性評価装置>図5(a)のように、現状の滑沢性評価技術は、横摺り力の低い再現性(=測定容器への粉体の充填密度の不安定性)を解消する目的で、予め過度に圧密(「予圧密」=固め嵩密度の状態)している。この条件は、ホッパなど過充填になり易い一部の粉体単位操作を除き、化粧品や電子フィラーなど、一般的なセラミックス粉体系材料には適合しない[2][14][16]。図8に、自乗法近似モデルを図示する。図8(a)~(b)のように、充填~圧密で条件毎に試料交換していた従来法を改め、法線力・横摺り力を、0~連続的に検出する。次にクーロン粉体を仮定した法線力・横摺り力の自乗法近似で、両者の傾き(内部摩擦角)を算出する(図8(c))。図5(a従来法(=数学的包絡線近似)に比べ、新モデルは、遷移状態から圧粉状態まで広域に法線・横摺り力の関係を評価でき(図5(b))、一般のセラミックス工程を反映した簡易型評価法という特徴がある。現在、本手法をJIS標準粉体や化粧品・フィラー・薬剤・食品の各実用材料に適用し、粉体評価法としての再現性と信頼性を保障するとともに、品質管理技術としての妥当性を確認している[1][2][14]-[21]。3.2 社会的要素の経験的・試行錯誤的な解決策<ベースとなった地域の産官連携(旧・技術指導制度)>図6に示したとおり、独立行政法人になる以前の工業技術院(90年代)時代より、地域の雲母メーカー[15]と愛知県の特産品(天然鉱物)の高付加価値化を目標に、短期的な組織利益を互いに棚上げした協働(技術指導)を開始した。その過程で、属する組織の目的の齟齬等が原因で、担当者と連携の危機を何度も経験しながら、結果的に、セラミックス粉体の基礎研究成果(新規な複合粒子や形態制御法等)と、一定の信頼関係が熟成できた[2]。<粉体系材料の製品化作戦>セラミックス粉体単位操作に関する一定の進展(=第1種基礎研究レベル[6][7])は得られたが、紫外線防御化粧品の製品化と、その実施契約に至るには、完成度不足であった(≠第2種基礎研究レベル)。地域の原料メーカー[15]・製品メーカー[17]サイドも、実施契約例の経験に乏しく、社内的(始めから資金負担できない等)・心理的(高再現性の合成条件を重視するか否か等)な障壁も大きかった。以上、属する組織目的の齟齬から、連携の危機(=死の谷[3]-[7])に直面した。一般に、これら組織間の利害調整等の社会的要素は、論理・戦略の帰納的方法だけでは必ずしも解決せず、要素の数を増やす・関係を複雑化する・時間的に一時棚上げする等、技術的外部不経済を内部化する経済的手法(LCCや、環境リスク学、ピグー税等)の必要性が多数報告されている(この構成的方法論の妥当性は第5章で検討)[8]-[13]。これを参考に、図1(b)のとおり産総研の当面の利益や制度(実施契約等)を一時的に棚上げ(止揚[5])し、先ず100 µm3 µm10 µm板状粉体の顆粒化非酸化物球状粉体垂直応力を変化させる成形体(粉体層)せん断力が垂直応力に応じて一次直線的に変化工技院時代からの開発の推進地元企業と連携((株)三信鉱工)マッチングファンド「非酸化物の直火製法に関する研究」2003~2005年度現在までに50社以上の技術相談粉体プロセッシング関連特許実績データ● 国内特許出願30件(成立14件)● 外国特許出願6件(成立4件)● ライセンス特許実績数:3件産総研認定付与ベンチャー企業の設立((株)ナノシーズ)2005年度粉体層や粒子の表面特性の評価と現象解明の受託延べ約300件(6000万円)、装置売上5000万円、Websiteアクセス10000ページビュー/月第2期終了第1期終了2010~20092007200820062005200420032002200120001999産総研スタート工技院時代(出発点)記載イメージ(産総研ベンチャーとの共同開発)市場規模1兆円電子機器・薬剤など(他分野の)評価装置データーベース販売顔料機能(演色、滑沢性)+薬効機能(UV遮蔽)市場規模15兆円(国内1.5兆円)化粧品・製品化顔料機能(演色・滑り)少少体質顔料(従来品)(従来品)顔料パール(日本メナード化粧品と共同研究)「絹雲母共同開発」民間受託プロジェクト2007〜2009年度「粉体エンジニアリング技術開発」経産省委託プロジェクト2007〜2009年度「粒間・表面間相互作用の検査・計測機器の開発に関する研究」評価合成高機能 薬効機能 (紫外線遮蔽)高機能パイロットプラント規模の大型製造設備パイロットプラント規模の大型製造設備粉体層剪断力測定装置電子トナー評価に採用粉体層剪断力測定装置電子トナー評価に採用パウダーファンデーションパウダーファンデーション開発粉体図6 研究ロードマップ(社会的課題に対する本研究の解決策の時間的経緯)

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