Vol.3 No.2 2010
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研究論文:紫外線防御化粧品と評価装置の製品化(高尾ほか)−129−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)滑沢性評価については、現状が冶具への試料充填密度が安定し難く横摺り力の再現性が低い点(=圧密状態の設定が困難)に着目した。短時間・少量で評価可能な基盤技術として、法線力と横摺り力の自乗法近似モデルを考案した。図5において、図5(a) に示したように従来法は、充填密度が安定するまで圧粉しており、サイロなど特定の粉体単位操作を除き、実際のセラミックス製造工程を反映した評価とならない。図5(b) に見られるように新モデルでは、遷移状態の法線・横摺り力を連続的に検出することで、圧密状態の設定問題を解決した(方法論の詳細は第3章)[1][2][14]-[21]。2.2 社会的要素の解決シナリオ独自のアイデアや組織間の利害調整等、社会的要素の解決法として、90年代以前は科学や技術の研究開発と平行し、実用・製品化を優先した対症療法的な産官連携が(特に地域試験所において)行い得た[1][2]。その後、広範な研究基盤や企業との信頼関係の上にたった、企業~産総研間のWin-Win関係構築のための論理的・戦略的な対応の実践[3]-[7]が目立っている。図1(b)に示すとおり、本研究では、資源枯渇に備えた新製品を切望する原料メーカー[15]と、市場競争に勝てる新技術を早急に求める製品メーカー[17]間で、材料・製法の開発指針の具体化と、各組織利益の齟齬の調整という社会的問題に直面した。本研究で選択した社会的要素の解決策を、図6に示す。工業技術院名古屋工業技術試験所時代~現在までの、セラミックス粉体単位操作の基礎研究と、外部予算・連携制度の活用経緯で、中央に年表、その上段に材料開発、下段に評価装置の経緯を図示している。地域特産品の高付加価値化を狙った技術指導から出発し(90年代)、外部予算で粉体合成パイロットプラント建設(03年)、滑沢性評価について公的ベンチャー起業(05年)、実施契約を必須としない緩やかな地域連携を経て(07年)、粉体系材料・評価装置を製品化(10年)した(構成的方法論詳細は第3章)[1][2][14]-[21]。社会的要素の解決の方法論として、①アウフヘーベン型(相反する二命題を一時「止揚」し新概念を創出)②ブレイクスルー型(基盤技術の一意的な「成長」モデル)③戦略的選択型(「論理的」シナリオによる仮説検証法)[5]が、昨年Synthesiology誌に整理された。本研究は、短期的な組織利益の判断を一時停止(先送り)するという意味で、①アウフヘーベン型のアイデアを社会的要素に適用した事例と言える(当時は、全く無意識であったが)。3 解決策(構成的方法論)3.1 技術的要素の論理的・戦略的な解決策<化粧品用セラミックス粉体系材料>図4のように、粒子充填模型(固相法)と、ナノ粒子の液(水)中分散にDLVO理論(液相法)を用いて、化粧品の最終形態(=ポリマーなど他成分と配合されたセラミックス成形体状態)でナノ粒子が(雲母の粒間に)偏析しない条件を予め計算し、原料粉体の仕込み組成に反映させる[1][21]。図7に、複合粒子など、粉体の構造制御プロセスを図示する。絹雲母[15]とナノ粒子の混合スラリーを噴霧し(気相法)、絹雲母単体とナノ粒子のみ(または複数個づつ)が含まれる状態にスラリーを分割(液滴化)する。この液滴を、連続的に乾燥(または反応)させ、セラミックス単体の粒表面のみにナノ粒子を付着させた複合粒子(図7(a))や顆粒体を合成した(図7(b)~(d)は第4章で詳述)[1][2][14]-[21]。化粧品セラミックス粒子複合粒子液滴ナノ粒子水粒子充填模型(a)(b)法線力従来法Jenikeモデル嵩密度新手法自乗法近似モデル図4 技術的解決策(新製法):制御性とコストを整合化した「複合粒子法」図5 技術的解決策:新評価法;法線力と横摺り力の「自乗法近似モデル」(a)従来法「Jenike法」:静摩擦に相当しホッパ圧密状態等を再現(与圧密状態)(b)新手法「自乗法近似モデル」:動~静摩擦を網羅し、従来法では不可能な圧密過程の非定常(動摩擦)状態を定量化でき、以下の特徴を有す。①実際の粉体材料系の使用状態を再現、②高コストパフォーマンス(少試料・短時間)

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