Vol.3 No.2 2010
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研究論文:学問分野を超えた「システムデザイン・マネジメント学」の大学院教育の構築(神武ほか)−119−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)教員は研究所の中に特定の課題を解決するためのラボラトリを設立することができる。連携者は、SDM学に関連した情報を入手できるうえ、SDM研究科の施設を利用できる。また、大規模・複雑システムに関する課題を解決するには、ディシプリンの枠を超えた教育機関との連携、国際的な連携が必要である。そのため、慶應義塾大学大学院理工学研究科との連携によって文部科学省グローバルCOEプログラム「環境共生・安全システムデザインの先導拠点」を2008年より開始し、主に環境共生・安全に代表される社会的価値を考慮したシステムデザインの研究と、それらを身につけた研究者の育成を目指した教育・研究活動を行っている。SDM研究科の研究課題の一部を以下に示す。対象とするシステムは、家電、情報、金融、保険、人間、教育等様々である。・家電設計における分散設計環境での熱/音響トレードオフ設計手法 [13]・情報システムにおけるメンテナンスコストを考慮した基盤ソフトウェア選択の効果検討 [14]・屋内外シームレスな位置情報システムの実用化検討 [15]・日本における企業通貨によって設計されたアライアンスシステムの評価 [16]・日本における保険金不適切不払い・支払漏れとそれに対するより良い支払いアーキテクチャ設計[17]・階層構造化モデルを用いた人体の運動生理学的動作分析手法 [18]・学問領域を超えたシステムデザイン・マネジメント学教育のための実習講義 [11]SDM学に関連する学問の世界的な動向を常に把握し、また、SDM研究科の教育成果による学問分野への寄与を目的として、INCOSEならびにシステムズエンジニアリング教育の国際協議会Council of Engineering Systems Universities(以下、CESUN)に加盟し、定期的な協議会への教員の派遣やアジア太平洋地域の国際学会APCOSE(Asia-Pacific Conference on Systems Engineering)[19]を主催し、学生および教員の知識レベルの向上を図っている。3.5 学生産官学を問わず様々な組織に対してSDM研究科による学生募集についての周知を行い、産業界に対しては社会人学生の派遣を要請した。その結果、年間3回にわたる入試を経て、開設前に設定したシナリオに近い形で学生を受け入れることができている。特徴的な点の一つは、幅広い年齢、様々な分野、国籍にわたる学生構成となっている点である。2008年度、2009年度それぞれ春学期および秋学期に入学生を迎え入れており、2009年度の時点では、修士課程に在籍する学生が138名、博士課程に在籍する学生が46名である。在籍する学生の年齢は、20代から60代まで広く分布しており、平均年齢は修士課程学生が32歳(図8)、博士課程学生が42歳(図9)である。また、出身学部は理工系から法学、政治学、経済学、文学、商学、農学、体育学にわたっており、実務経験者が多く、修士課程では66 %、博士課程では89 %を占めている(図10)。実務経験者の職業は、製造、通信、コンサルティング、情報、航空・宇宙、金融、不動産、官公庁、建築、エネルギー、システム、医療、マスコミ・出版、法曹等と多岐にわたっている(図11)。また、海外の大学からの留学生を含めた海外国籍の学生の割合は20 %程度である。当初の目的どおり、多様な専門知識を持つ学生および教員による多様な人材の交流に基づく学びの場を形成している。3.6 教育前述のように、教員の多くは大規模・複雑システムに関連した実務経験があるため、その経験を講義に反映する010203040(人数)25〜29歳30〜34歳35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳22〜24歳45345142316285152535450812(人数)2461025〜29歳30〜34歳35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60歳以上4222121059図8 修士課程在学学生の年齢分布図9 博士課程在学学生の年齢分布
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