Vol.3 No.2 2010
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研究論文:学問分野を超えた「システムデザイン・マネジメント学」の大学院教育の構築(神武ほか)−114−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)システムに対するデザイン手法、慶應義塾大学が21世紀COEプログラム「知能化から生命化へのシステムデザイン」で構築したシステムデザイン方法論[7][8]、社会システムのデザインとマネジメントに必要な知識や手法を基本に、大学院教育の仕組みを設計した。修士課程では、教員および学生、もしくは学生同士のインタラクティブな教育を重視し、専門職大学院的な教育によって大規模・複雑システムの構築と運用をリードする人材を育成することを教育目標として設定した。また、博士課程では、研究を重視することによってシステムデザイン・マネジメント学の専門家を育成することを教育目標として設定した。複数のディシプリンにまたがる課題を対象にした大学院教育において、我々の目標を実現するためには、様々な利害関係者(以下、ステークホルダー)との連携が重要である。目標を実現するために設定したシナリオと、主なステークホルダーとの関係を図1に示す。各ステークホルダーとSDM研究科との間でのインプットとアウトプットを矢印で図に示し、そのうち、SDM研究科として特に重視しているものについてはその文字を下線・大文字で示した。なお、この図において、主なステークホルダーの一つである社会・産業界は、いわゆる「産官学」の「学」(教育研究機関)以外の全てを意味しており、政府や地方自治体、NPO法人等、あらゆる社会組織を含む。シナリオの詳細は、以下のとおりである。(1)教育カリキュラム整備社会・産業界での課題や大学院教育に対するニーズを踏まえ、大規模・複雑システムを扱うために学生が身につけるべき能力を設定し、それらの能力を培うことのできる学問体系としてSDM学の体系を構築し、教育カリキュラムを整備する。単一のディシプリン教育に関しては、必要に応じて国内外の大学・大学院と連携する。(2)教員採用教育カリキュラムに基づき、各科目の講義およびSDM学に関する研究を推進することのできる教員を採用する。特に、企業経験や海外経験を有し、大規模・複雑システムの開発や運用で一流の研究開発経験を有する教員を数多く採用する。(3)教育施設整備教員と学生、もしくは学生同士の様々なコミュニケーションやグループ学習の創出を促進する教育施設を整備する。また、教育や研究における社会との密接な連携を重視するため公共交通機関によるアクセスの良い場所に整備し、遠隔地にいる学生や教員、国内外の関連機関との議論、会議を支援するための通信システムを充実させる。(4)研究拠点整備社会や産業界での課題をSDM学の適用により解決す(7)成果公表・課題抽出(6)教育実施(5)学生募集(4)研究拠点整備(3)教育設備整備(2)教員採用(1)教育カリキュラム整備教員・学生・教育成果教員・教育成果・評価人材・教育・教育成果課題・ニーズ・教員・学生・評価国内・海外の大学学部教育成果学生教育・教育成果課題・教育単一ディシプリン内の研究を扱う国内・海外の大学・大学院(工学、法学、医学等)社会・産業界(政府・地方自治体等の官公庁も含む)SDM研究科SDM学の体系化・大学院教育の改善SDM学に関連する国内・海外の教育研究機関・国際評議会・学会(INCOSE、MITSDM等)目標SDM学の構築とその大学院教育による大規模・複雑システムの問題を解決するリーダーの育成図1 目標達成のためのシナリオおよび各ステークホルダーとの関係

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