Vol.3 No.2 2010
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研究論文:サービス工学としてのサイバーアシスト(中島ほか)−110−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)前に始めてしまった苦労は多々ありました。またCARCのみで世の中に認知させられたとも思いませんが、3年ではなく10年続いていたら、もっとメッセージ性の高いプロジェクトになっていたのだと考えています。ただ、この部分で言いたかったのは「実用システム」を世に出すことに失敗したという点です。そのように改変しました。議論4 サーバーアシストを構成する技術コメント(赤松 幹之)読者の立場からは、サーバーアシストを構成する技術が分かることを期待します。具体的には、「2.2 具体的研究目標と手段へのブレークダウン」について、シンセシオロジーの論文としては、「トップダウンの要請と、自らが持つ資源からのボトムアップな制約を考慮した」というそのプロセスの中身が具体的に書かれることを期待します。回答(中島 秀之)トップダウンの要請と、自らが持つ資源からのボトムアップな制約を考慮したプロセス」の中身が具体的にうまく分析できれば貴重な資料になると思います。しかし、このあたりは毎週のミーティングを通して長い間に絞り込んできたので、具体的に書ける形にはなっていません(分析できていません)。「センター活動の初期段階において、研究者全員からなるミーティングを毎週行い、各自の専門・興味とセンターの目標をつなげる作業を行った。その結果、上記目標を具体化・詳細化し研究テーマに落とし込んだものが図2である。」という記述を追加するに留めさせていただきたいと思います。議論5 研究開発された技術コメント(赤松 幹之)サイバーアシストはデジタルな情報を実世界にグラウンディングする構想であると述べられ、それを実現するためのセンターの構成要素として、位置に基づく通信、マイボタン、知的コンテンツ、ユーザインタフェース、が書かれています。しかしこれらは要素技術に落ちているので、サイバーアシストを構成するためのサブゴールが分かりにくくなっています。可能であれば、2章の各内容と3章の内容の相互関係を図示する等して、要素技術からみた研究シナリオを読者にとって理解しやすいようにしていただきたいと思います。回答(中島 秀之)確かに整理不足でした。2.2節に説明と研究テーマの関連図(図2)を追加しました。また、説明が総花的になっていたので、いくつかのテーマを落としました。特に「新しい交通システムの提言」に関しては割愛しました。ただ、カーナビを用いた最適経路誘導に関して説明だけはしておきたいと思います。現在使われている技術が問題で、これは装着率が増すに従って効率が悪くなることがわかっています。混雑情報を時間遅れで反映するシステムのため、フィードバック系の発振が起こります。我々はマルチエージェントシミュレーションによる未来予測型(現在の技術で実現可能です)にしたため上記の問題を根本的に解決しました。しかし、これらの説明にあまりページを割けないことと、これが抜けてもCARCの全体説明には問題がなさそうなため削ることにします。なお、フルデマンドバスは函館全域で実施する計画を立てています(はこだて未来大学と産総研他の共同)。都市を対象としたサービスの実施です。議論6 構成学におけるデモの役割コメント(赤松 幹之)これまでのシンセシオロジーの論文でも主張している論文がありましたが、実装やデモによって実際に動かしてみることで問題点や重要なポイントが明らかになって、次のステップでそれに取り組むといった研究のプロセスがあると想像されます。それぞれのデモで得られて、それに基づいて取り組んで、次のステップにつながったことがあったら、その具体的な内容を記載してください。回答(中島 秀之)一つの問題は、愛・地球博実施中にサイバーアシスト研究センターが解散してしまったことにあり、その後の研究展開の追跡ができていません。分かっている範囲で記述し、注8)に記述を追加しました。議論7 研究成果に対する評価コメント(赤松 幹之)未達成の成果として割り符方式による情報格納を挙げられていますが、5.2節の記述からは、原理的にデジタル技術では実現できないことをゴールとして設定してしまったようにも読取れます。もし、そうでしたら、研究を進めていくうちに、どういったことがわかってきて、その結果として原理的に不可能なことに気付いたのか、といったことが書けませんでしょうか?回答(中島 秀之)「割符」はデジタル+リアルで解決すべき問題であると初期より考えていました。デジタル技術のみでは解決不能であったとしても、それだけで不可能ということにはならないのですが、実際に解決の目途が立たなかった問題の一つです。ただ、今後の情報技術における面白いテーマだとは思っています。そこで、表現を補強しました。議論8 Suicaとの関係コメント(赤松 幹之)2.2節の最後にSuicaの話があり、CoBITにその考え方が採用されたとあります。Suicaも位置に基づく情報、ユーザーの意思による、プライバシーが守れる、など、サイバーアシストの狙っている概念を実現する手段としてSuicaは近いものがあると推察します。こういったSuicaを用いたアシストと、サイバーアシストとして提唱されている技術とはどのような関係があるのか等の記述があると、読者にとって身近なものとの対比になるので、読者の理解が進むものと期待できます。回答(中島 秀之)CoBITの項(4.1節)の最後にSuicaとの比較を追加しました。議論9 産総研の研究部門と研究センターコメント(小林 直人)初稿6.1節に「サービス工学の実践は産総研のように、基礎研究を中心に行う研究部門とサービスの実現を目指す研究センターという二つの性格の異なる研究ユニットを分離して考えることが重要である。」とあり、同7.2節に「要素技術の開発は基礎研究として研究部門が担い、製品化への橋渡しは研究センターが担うという図式がある。」とありますが、このような図式は公式的にはないと思いますのでご確認ください。現在の産総研のウェブサイト(http://www.aist.go.jp/aist_j/field/index.html)には、「研究部門:産総研ミッションと中長期戦略の実現に向け、研究ユニット長のシナリオ設定と研究者の発意に基づく研究テーマ設定を基本とし、一定の継続性をもって研究を進める研究ユニット。研究センター:研究部門からの派生ないし社会からの要請に応じて、特定の課題を解決するための技術、知識を早期に産み出すことを主目的に、研究ユニット長の強いリーダーシップのもと、集中的かつ時限的に研究を進める研究ユニット。設置年限は3〜7年間。」と書かれています。回答(中島 秀之)私見になりますが、私は当時の産総研吉川理事長の本格研究の分類に関して、基本的には第1種基礎研究=科学、第2種基礎研究=工学だと理解しています。氏の従来の研究は第1種基礎研究のことであるという言明は、世間では基礎研究が科学と同義に語られていたことに合致します。(ウェブサイトの「本格研究」p4「本格研究とは」の中に、基礎研究と応用研究として対比されています)。ただし、通

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