Vol.3 No.2 2010
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研究論文:サービス工学としてのサイバーアシスト(中島ほか)−102−Synthesiology Vol.3 No.2(2010)産総研)でも使われることとなった。その大集成が後述の愛・地球博での応用である。5.2 イベント空間支援システム人工知能学会の全国大会では図7のような会議用システム[17]を構築して会議参加者に提供した。会議参加者の入場識別タグを兼ねた名札に特別設計の赤外線受光部、イヤフォン、反射板、LEDライト(反射板の中央部に見える)からなるユニットを取り付けて端末とした。会場内の各所に設けられた情報ステーションには赤外線発光部、カメラ、ディスプレイからなるユニット(写真のものはPCをそのまま用いた試作版)を用いた。ステーションからの音声情報をイヤフォンで聞くほか、LEDからIDを発信することによって、その記録をサーバーに残す機能、反射板の動きをカメラで捉えてマウスのように使って情報をディスプレイに表示する機能等を付けた。なお、このシステムにはコンテンツとしてWeb上の論文情報等を用いた研究者関係自動抽出[18]を元に構築した研究者マップによる情報の利用[19]が含まれている。研究者の集会であるということを最大限に活用したサービスである。他にも会議のプログラム等と連動したサービスを提供し、CARCとしては数少ないインテリジェントコンテンツの利用例となっている。このイベント空間支援サービスは人工知能学会の毎年の大会で継続的に提供した他、東京で開催されたユビキタス・コンピューティングの国際会議UbiComp 2005でも提供した。5.3 情報家電ソフトウエア研究チームで開発したミドルウエアUBKit[20]を使い、複数の情報家電を有機的に結合したシステムの実証実験を横浜で行った。ユーザーは個々の機器を意識するのではなく、音声により要求を発するだけで、後は部屋全体のネットワークが知的にタスクを遂行するシステムである。たとえば、「NHKのニュースが見たい」と言えば、テレビの電源、チャンネル(地域によってNHKのチャンネルが異なる)の設定、部屋が明るすぎる場合にはカーテンを閉める等の一連の動作を行う。朝の一定時刻になるとカーテンを開き、エアコンのスイッチを入れる等の設定も可能である。実証実験(図8)は地域のコミュニティセンターで行い、実証実験の数カ月前から適宜住民に集まっていただき、アンケート調査の他、数回にわたるミーティングも行った。これにより情報機器に弱い老人や弱視の方等を含むさまざまな方の貴重な生の声を集め、次の研究へとフィードバック注9することができた。5.4 愛・地球博CARCが挑んだ最大の応用は愛・地球博であった。これは万博という世界規模のイベントでのサービス提供を半年にわたって続けるという、研究所としては未経験の挑戦であった。ここでは二つの企画に参加した。グローバルハウス:日本政府直営の展示館である。荒俣宏氏の収集物等を中心に展示が行われ、それの音声説明部分をCARCが受け持った。ここではCoBITのIDタグ付き発展型が投入されたが、商標の関係からCoBITの名は使わず新たにAimulet™ GHと命名した(GHはGlobal House)(図9)。Aimuletはamulet(お守り)に情報のIを重ねた造語であり、日本語の「愛」にも掛けている。Aimulet GHは多国語対応とすることを目指した。これ端末ステーション図7 会議用端末(左)とステーション(右)図8 情報家電実証実験風景図6 After 5 Yearsにおける使用風景(左上が光源)
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