Vol.3 No.1 2010
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−95−Synthesiology Vol.3 No.1(2010)編集後記シンセシオロジーを創刊してから2年が過ぎ、多くの皆様のご協力やご支援、ご理解をいただきながら3年目を迎えることができました。関係された皆様に感謝する次第です。本号ではこれまでの2年間を振り返ろうと、シンセシオロジーの編集に中心的に携わったメンバーと吉川産総研最高顧問による座談会を記事として紹介しています。シンセシオロジーの目指す方向や「構成学」の確立に向けた熱い思いが語られています。この中で吉川最高顧問から“social wish(社会的期待)”というキーワードが出され、社会の期待に応える、その期待を意識する、社会との接点という視点で改めてシンセシオロジーの意義が整理されており研究開発に関わる者すべてにとって一つの示唆を与えてくれています。この号でも、その社会的期待に応えるという視点での論文が多く掲載されています。その中で、流量標準、温度標準に関する論文は、最高レベルの標準づくりという技術的な問題と標準供給という社会システムの中に組み込むための現実とのすり合わせという両方の問題を解決して標準供給体制を整備してきたことが述べられています。まさに、社会との接点で進められた研究開発の典型的な実例を示しています。製造現場における熟練技能の抽出に関する論文では、ものづくり現場での熟練技能者の技能抽出とその代替方法についての成果が論じられています。この論文の中で“「現場で使える技術を開発せよ」という制約”の中で研究開発が進められたこと、この制約が“実は研究活動を健全にする上で有効であった。”と述べられています。研究開発の現場では時として研究の本来の目的を忘れる、何の役に立とうとしているのかを忘れる、または意識しないことが起こるわけですが、研究開発、技術開発の本来の精神を思い出させてくれる論文であり、社会に受け入れられる研究を強く意識した論文であると思います。研究開発と社会との係わりについて、研究評価という視点から今号では論説が寄せられました。この中で興味を引くのは、プログラム評価の重要性について論じている点とそのプログラム評価をシンセシオロジーのもつ意義と対比して論じている点です。産総研の進める研究開発は常にその社会的な意義に立ち返りながら進めていかなければならないと思いますが、研究評価はそのためにこそ重要であるという思いを強く持ちました。今号では多様な分野からの論文等を掲載しましたが、シンセシオロジーの発展によって分野にかかわらず共通に、自らの研究を学術的な面からだけでなく、“social wish(社会的期待)”という文脈で構成的・統合的に、“自然に”語れる、実践できる研究者が一人でも多く生まれることを願いたいと思います。この度シンセシオロジー誌がエルゼビア社のデータベース「Scopus」に収録されることになりました。検索によりSynthesiologyの論文がヒットすれば、Scopusの画面上で見ることができることになります。シンセシオロジー編集委員会では皆様からの投稿をお待ちしております。(編集副委員長 瀬戸 政宏)
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