Vol.3 No.1 2010
78/100

論説:“社会のための科学”と研究開発評価(大谷)−75−Synthesiology Vol.3 No.1(2010)参考文献日本学術会議科学者コミュニティと知の統合委員会: 提言:知の統合−社会のための科学に向けて− (2007).独立行政法人産業技術総合研究所: 産総研憲章 制定の意味, 産総研TODAY, 5, 8-11 (2005).文部科学省(委託調査): 研究開発評価の質の向上のための調査・分析 (2008).日本学術会議研究評価の在り方検討委員会: 我が国における研究評価の現状とその在り方について (2008).経済産業省(委託調査): 研究開発プロジェクト等の評価手法に関する調査 (2002).平澤泠: 研究開発における戦略策定と評価, シンポジウム「戦略的な研究評価について」報告書, 13-28, 独立行政法人産業技術総合研究所 (2006).文部科学省(科学技術振興調整費): 経済性効果分析手法とコスト算定手法の開発 (2004).新エネルギー・産業技術総合開発機構: 米国における定量的研究開発評価手法に係る調査報告 (2005).文部科学省(科学技術振興調整費): 研究開発のアウトカム・インパクト評価体系 (2006).総合科学技術会議: 総合科学技術会議第31回評価専門調査会議事概要(案) (2004).平澤泠: 政策のプログラム化とアウトカムの把握・評価, 経済産業省第5回研究開発評価フォーラム配布資料 (2008). 産業技術総合研究所研究評価検討委員会: 産総研の研究開発評価のあり方(中間まとめ) (2004).吉川弘之: オープンラボによせて, 産総研TODAY, 9, 2-9 (2009).文部科学省(科学技術振興調整費): プログラムオフィサー等の資質向上に資する国内セミナー等の開催 (2005).[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14]go.jp/ohtani-ryu/に掲載する予定なので興味のある読者は参照されたい。謝辞本稿は、経済産業省産業技術環境局技術評価室の私的懇談会である「アウトカム懇談会」で筆者が行ったレビュー発表を元にしたものです。発表に対する大井健太氏、中村修氏、大久保泰邦氏、小笠原一紀氏のコメントは本稿の作成の上で大いに参考になりました。また産総研の小玉喜三郎特別顧問、小野晃副理事長、加藤碵一フェローおよび、岡村行信活断層・地震研究センター長と小泉尚嗣同チーム長には初稿を読んでいただき、貴重なフィードバックをいただきました。平澤泠未来工学研究所副理事長には、過去の報告書からの図の転用を快く許可いただきました。最後に、担当編集委員の小林直人早稲田大学教授(産総研特別顧問)には本稿を丁寧に読んでいただき、大変本質的な指摘をいただけたことで、本稿の飛躍的な改善ができました。ここに記して感謝します。注)その他にも例えば、“ダイオキシンの健康への影響評価”や“アウトカム評価”などといった、“算定”や“見積もり”といった意味で“評価”という言葉が使われる場合があるが、本稿では考察の対象とはしない。執筆者略歴大谷 竜(おおたに りゅう)1999年3月東京大学大学院理学系研究科地球惑星物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年4月通商産業省工業技術院地質調査所入所。2001年4月独立行政法人産業技術総合研究所地球科学情報研究部門研究員。2009年4月より、同活断層・地震研究センター研究員。この間、2003年2月から2005年2月までスタンフォード大学客員研究員。これまで、主にGPSを使った精密計測手法による地震や地殻変動、大気圏変動に関する研究に携わってきた。編集委員からのコメントとその回答コメント1 整理と主張の区別コメント(小林 直人:早稲田大学研究戦略センター)本論説の一番のポイントになると思う点ですが、①すでに研究評価論などでいわれていることを整理して提示した部分と、②著者の独自の視点で新たに述べた他の部分が、混在して分かりにくいと思われます。特に後者の部分、たとえば「反省評価」などは著者の独自の主張としてとりわけ強調して述べる点だと思いますが、今のままの記述だと単に他の人の主張を整理して述べた「解説」と受け取られかねないので、表現を工夫してはいかがでしょうか。なお、「反省評価」という言葉は、どうしても「反省」という言葉に含まれる倫理的な印象が入ってくると思います。ここでは研究開発をより進化発展させるという意味で「進化のための評価」(Evaluation for evolution)などというのは如何でしょう?回答(大谷 竜)一研究者として日頃感じるのは、研究開発評価では、基本となる概念や言葉の使い方に注意しないと容易に混乱する要素が数多く含まれ、それが研究現場において適切な評価を遂行する上で時に大きな障害になっているのではないか、ということです。そこで本稿では、研究開発評価の中でも特にプログラム評価に関する基本的な“考え方”を著者なりに整理し、分かりやすい言葉で表現し直すことを試みました。紹介した個々の概念については既知のものですが、筆者の知る限り、それらを首尾一貫した形でコンパクトに親しみやすい形で概観したものがなく、そういった形で論説化することに多少なりとも意義があるのではないかと思い、本論説を著した次第です。この試みがうまくいっているかどうかは読者の判断を待たなければなりませんが、本稿を通じて、多忙な現場の研究者がプログラム評価の考えを理解する一助になり、被評価者と評価者とが同じ理解のグラウンドに立つための足がかりになれば、と思っております。一貫しているテーマは、“社会のための科学”研究の実現に資するような評価とはどういうことかであり、そのためには、実態をつまびらかにすること、最初に目指すべき戦略をもつこと、実態に応じてそれを柔軟に修正していくこと、の重要性を強調しております。以上の趣旨を冒頭で簡単に説明し、ご指摘の①と②の違いが分かるよう書き直しました。なお“反省評価”というネーミングですが、確かに「何か悪いことをした」というような倫理的なニュアンスが含まれる場合もあります。一方、ご提案していただいた“進化のための評価”は、まさに究極的に目指すものであり、本稿で述べている評価の理念そのものですが、もう少し具体的で、実際の行動を表すような言葉の方が、特に評価の現場でイメージをもつためには良いように思えます。“改善評価”も考えましたが、“改善”という言葉には、そのインクリメントな意味が転じて、頑張ってこつこつと努力するニュアンスが含まれ、内容よりもその姿勢の意味でとられる可能性があることから、あまり適切ではないように思えます。ここで原点に立ち返って、“反省評価”の内容である見直しと修正

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です