Vol.3 No.1 2010
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研究論文:石油流量国家標準の確立とわが国の標準供給体制(嶋田ほか)−30−Synthesiology Vol.3 No.1(2010)圧力変動が発生するため、切り替え速度に限界があり、被校正流量計に対する切り替えの影響を無視できない。また、流れの対称性に問題が生じやすく、高精度化に限界がある。・転流器法:空気中に開放したノズルから噴流状態で流れる試験流体を貯蔵タンク側と標準器側とに切り替える装置。切り替え時の流量変動が小さく、被校正流量計に全く影響を及ぼさない。水流量標準施設で使用された実績があり、高精度化を図れる可能性がある。一方、ノズルから自由噴流で流れるため、噴流流速が大きくなると、ミスト発生に伴う静電気による爆発の危険性がある。さらに、大気中に放出される油蒸気および液滴が不確かさの要因となる。また、試験液を滝のように秤量タンクへ流し込むと気泡が大量に発生し、そのまま気泡を含む試験液を試験ラインに循環させると残存気体として不確かさの要因となる。表1に石油流量標準に関する各国の計量標準機関の校正能力と校正方法を示す。ここでは、メートル条約の協力の下に実施される国際比較に基づいて決められた不確かさによって、校正能力を定量的に表した。これは、参加機関がそれぞれの不確かさについて示した技術的な根拠を全ての他の機関が承認しているという、最も権威のある国家標準の評価結果と言える。外国の国家標準として石油用流量計の校正では、体積管を用いた通液法や体積タンクを用いた停止法が数多く使用されている。しかし、これらの方法は前述したとおり高い水準の不確かさを達成するためには技術的な課題が多い。また、停止法では流量計の種類によっては流れの過渡状態が不確かさの大きな要因になるなど、被校正流量計の種類が限定される校正方法もある。一方、水用流量計の校正設備で数多く採用されている転流器を用いた通液式秤量法は、静電気による爆発の危険性から危険物である石油類に採用された例はまれであるが、この点を克服できれば、小さな不確かさが達成される可能表1 各国の石油流量国家標準の不確かさと校正方法秤量タンク停止法秤量法2.2 ~ 300~ 0.85~ 50灯油、軽油、重油0.03~0.080.00012~720NEL英国体積タンク停止法体積法0.7, 1.8, 50.4ガソリン、灯油、軽油0.040.001~250NMi-VSLオランダ(プルーバ)体積管通液法体積法LPG~300-20~ 120LPG、軽油など0.10.36~1260SPスウェーデン(ピストン)体積管通液法体積法0.3~ 300成り行き軽油0.10.4~ 400GUMポーランド(ピストン)体積管通液法体積法0.5~ 100.1~ 0.40~ 82石油類0.06~ 0.080.002~ 340CENAMメキシコ秤量タンク停止法秤量法600 ~ 22000.1~ 0.315~ 30スピンドル油0.111~14.8KRISS韓国秤量タンク通液法秤量法1.4~1.9,4.4~7.80.1~ 0.715~ 35灯油、軽油0.0315(3)~300NMIJ*日本(ピストン)体積管通液法体積法0.15成り行き灯油、軽油0.10.0036~3.6IMGCイタリア体積タンク停止法体積法0.77mPas0.35成り行き揮発油0.10.6~250PTBドイツ(ピストン)体積管通液法体積法石油類0.030.4~400FORCEデンマーク(ピストン)体積管通液法体積法0.1~ 3.50~ 85灯油, 軽油,石油, LPG0.15~0.300.29~396CMIチェコ体積法< 0.8成り行きガソリン、灯油、軽油、重油0.1~ 0.23 ~300INIMETキューバ秤量タンク停止法秤量法2.5~ 150 < 0.510~ 45軽油、スピンドル油0.0518~360CMS台湾体積タンク停止法体積法0.05~ 0.614~ 17ガソリン、軽油0.07~0.10.0018~90BEVオーストリア参照校正方法粘度( mm2/s )圧力( MPa )温度( ℃ )試験液不確かさ** (%)流量( m3/h )NMI(計量標準機関)国名*)NMIJ:産業技術総合研究所 計量標準総合センター**)不確かさ:ここでは簡便のため拡張不確かさ(95 %の信頼度)の値を表記
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