Vol.3 No.1 2010
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研究論文:マイクロチップを用いたバイオマーカー解析コア技術の開発(片岡ほか)−25−Synthesiology Vol.3 No.1(2010)かれています。シンセシオロジーの論文としては、どのように技術の選択をしたかについて記述していただきたいと思います。回答(片岡 正俊)ご指摘のように、市販のマイクロチップ電気泳動装置の本体や付属のチップ、解析ソフトをそのまま利用して、各種生物学的実験法へ応用可能なためコストダウンが期待されると考えます。この点について記載しました。要素技術の選択について、マイクロチップの選択についても既存技術の組合せに言及しました。また、日立SV1100形を選択した理由として、泳動ゲルや緩衝液の変更が簡単なことから選択したと記載しました。アミラーゼ測定でG6とG3の加水分解に注目した理由は電気泳動で容易に分離できるためです。PICP選択の理由として、疾患特異性(骨粗鬆症やがん転移マーカー)が高く、特異性の高い(良い抗体)抗体が市販されているためですが、抗体特異性は重要で、この点を重視しました。そのほか、マイクロ流路などマイクロ空間での抗原抗体反応における抗体固定法としては、ビーズ法を比較検討した文章を追加しました。また、既存技術を利用することで、そのメリットとして時間をかけずに個々の既存技術のポテンシャルを証明できたこと、逆に今後のデバイスとしての製品化には工学・医学などの分野との連携が必要なことを記載しました。議論6 膵臓由来と唾液腺由来のアミラーゼ質問(赤松 幹之)3.1.2.において膵臓由来のアミラーゼと唾液腺由来のアミラーゼを分離する必要性が述べられていますが、実際の臨床においては膵炎と唾液腺炎では、現れる症状が全く異なる(腫れる場所が違う)ので、診断を間違える可能性は低いと思います。それでも両者を分離する必要があるのでしょうか?もちろん、症状が出る前に検知することができるメリットはありますが、実際の患者についてみると、炎症が起きる前に検知する必要性がある人は少ないような気がしますが、いかがでしょうか?回答(片岡 正俊)ご指摘のように膵炎、唾液腺炎では部位が全く違います。そのため腫脹や炎症などの臨床症状から簡単に鑑別診断は可能ですが、各々の疾患の病態を把握するためのマーカーとして血中アミラーゼを測定します。本文中にも記載しましたが、血中アミラーゼは膵臓と唾液腺由来の2種類があり、その約40 %は膵臓由来、60 %が唾液腺由来になります。この比率は年齢、性差など個人差があることが知られています。そのため、病態の把握、治療効果の判定にはそれぞれの臓器由来アミラーゼ活性を正確に測定する必要があります。急性膵炎、慢性膵炎、膵臓癌での経過観察においても膵臓由来アミラーゼはマーカーとして利用されます。
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