Vol.3 No.1 2010
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研究論文:1550 ℃に至る高温度の計測の信頼性向上(新井ほか)−8−Synthesiology Vol.3 No.1(2010)100時間以降はほぼ一定の値を示した。図12は、ドリフト測定の途中で銅の凝固が進行中に熱電対を上下に移動させたときの熱起電力の変化をプロットしたものである。ドリフトの測定を行うときの測温接点の位置を基準点(0 cm)とした。図中の0 h~505 hは、曝露開始からの経過時間である。曝露開始時(0 h)のデータは、熱電対を0.5 cm/minの速度で下方に挿入しながら熱起電力変化を測定したものであり、その他のデータは図中に記した経過時間の時に熱電対を0.5 cm/minの速度で上方に引き上げながら測定したものである。図12のデータを得るために行った「熱電対の挿入長を変える」行為は、測温接点の温度を同じに保ったまま「熱電対の素線に沿った温度分布を変える」行為と同等であり、この時の熱起電力の変化は熱電対の不均質を反映している。熱電対の不均質を定量的に評価するため、ここでは、図12の7 hの例のように、0 cmから上方8 cmまでの熱起電力の変化を熱電対の「不均質」と定義した。この方法を用いて、温度定点での熱電対の安定性をほぼ自動運転で大量に評価することができるようになり、これにより次節で述べる安定な仲介標準器の開発・評価を効率的に行うことが可能になった。4.2.3 安定な熱電対の作製方法白金パラジウム熱電対は純金属である白金線とパラジウム線を素線として構成されているが、不均質に起因する熱起電力の変化は主にパラジウム線が関係していると報告されている[13]。そこで、パラジウム素線のロットの違いによる影響を調べるため、公称純度は同じ99.99 %であるが、ロットが異なる4種類のパラジウム線を用いて4本の白金パラジウム熱電対を作製した[14]。ここで、作製した4本の熱電対をそれぞれTC-a、TC-b、TC-c、TC-dと呼ぶことにする。4種類の異なるロットのパラジウム線の中でTC-aとTC-bのパラジウム線は同じ素線製造会社にて同じ製造工程で作製されたものである。一方、TC-cとTC-dのパラジウム線はTC-a、TC-bと異なる別々の製造会社から購入したものである。素線の通電加熱は1200 ℃で10時間行い、熱電対組み立て後、炉中で1100 ℃で3時間、その後、450 ℃で10時間熱処理を行った。図13と図14はそれぞれこれらの熱電対のドリフトと不均質の測定結果である。TC-a、TC-bのように、同じ素線製造会社で同じ製造工程で作製されたパラジウム素線を使用しても、ロットが異なればドリフトと不均質の変化の様子は異なっていることが分かる。一方で、TC-dはドリフト、不均質ともに小さい。このことは、適切なパラジウム素線測温接点の位置 / cm00481216246熱起電力変化 / µV不均質25h13h7h1.5h0h505h241h79h49h50 mK時間 / h00408012021-143熱起電力変化 / µV50 mKTC-cTC-dTC-bTC-a時間 / h04080120-0.50.0-1.00.51.01.52.02.5(熱起電力8 cm-熱起電力0 cm) / µV50 mKTC-aTC-bTC-dTC-c図12 銅点に曝露した場合の白金パラジウム熱電対の不均質図13 異なるロットのパラジウム素線を用いた白金パラジウム熱電対のドリフト図14 異なるロットのパラジウム素線を用いた白金パラジウム熱電対の不均質
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