Vol.3 No.1 2010
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研究論文:1550 ℃に至る高温度の計測の信頼性向上(新井ほか)−7−Synthesiology Vol.3 No.1(2010)均質な熱電対」と呼ぶ。実際の温度測定では、熱電対の挿入長を変えるなどして、温度勾配がかかる位置を変化させたときに生じる熱起電力の変化量を「不均質」と呼ぶことが多い。不均質な熱電対では測温接点と基準接点のそれぞれの温度値のみで熱起電力は決まらず、炉の温度分布に依存するため、校正された仲介標準器であっても異なる温度分布で使用すれば、不均質は誤った標準値を与えることとなる。一般の熱電対のゼーベック係数Sは温度依存性を持つが、同様の考え方が成り立つ。4.2.2 ドリフト・不均質の評価方法の確立前述のように熱電対のドリフトと不均質は仲介標準器の安定性を評価するうえで非常に重要な項目となる。特に高温域では一般にドリフトと不均質は大きくなる傾向があるため、これらは熱電対の校正の不確かさの大きな要因となる。熱電対の安定性の評価を行うにあたり、当初、米国立標準技術研究所NISTとイタリア国立標準研究所IMGCが合同で研究した報告書[11]を参考にして作製した白金パラジウム熱電対のドリフトと不均質を調べた。熱処理はNIST-IMGCの研究とほぼ同様に、熱電対素線への直接通電加熱により1200 ℃で10時間、熱電対として組み立てた後、炉中にて1100 ℃で3時間、その後、450 ℃で10時間行った。熱電対の測温接点を一定の温度に保つために銅点実現装置を使用し、定点実現装置の凝固温度の安定性と均熱性を利用して、熱電対のドリフトと不均質を同時に測定する方法をとった[12]。熱電対の測温接点を銅点実現装置の測温孔の最深部から1 cm上の位置まで挿入し、そのままの状態で銅の凝固と融解を繰り返し実現させて、熱起電力の変化の様子をモニターした。このとき銅点実現装置は絶えず融解と凝固を繰り返すよう温度制御がプログラムされており、熱電対の測温接点は常に銅点温度に曝露されている。測温接点の位置を固定し、ドリフトを約500時間測定した結果が図11である。白金パラジウム熱電対の熱起電力は曝露開始後最初の50時間まで大きく変化しており、温度分布(a)(b)(c)押込引出TSゼーベック係数 の変化SE電場 の変化Exxx000温度分布新品曝露後(a)(b)(c)(d)測温接点熱電対銅線電圧計基準接点(0 ℃)炉TSゼーベック係数 の変化SE電場 の変化Exxx000時間 / h熱起電力変化 / µV00200300400500100132450 mKPt/Pd図9 熱電対の高温曝露による熱起電力の変化実線は新品時の、点線は高温に曝露した後の熱電対のゼーベック係数と電場を示す。図10 熱電対の高温炉への挿入長を変化させた場合の熱起電力の変化実線は高温に曝露された熱電対を押し込んでいった時、破線は引き出した時のゼーベック係数と電場を示す。図11 銅点に曝露した場合の白金パラジウム熱電対のドリフト
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