Vol.2 No.4 2009
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−350−Synthesiology Vol.2 No.4(2009)編集後記第2巻4号が発行されました。今回も、これまでと同じように様々な研究論文が掲載されています。そして、いずれの論文を読んでも、必ず何らかの示唆を得られることが、このシンセシオロジーの特徴です。特に感じたことを三つほどここで述べたいと思います。まず、一つ一つの論文を読むと、それぞれの論文が、どの学術分野に属するのかを直ちに特定することができません。執筆者の所属や略歴、研究の対象から無理に特定することは可能かもしれませんが、それにはほとんど意味がありません。なぜなら、ある目的のために、複数の技術要素等を組み合わせることは、伝統的な分野の枠を超えることを意味し、そのような研究を伝統的な分野の中で分類することができないからです。したがって、分野を明確化できない論文ほど、シンセシオロジーらしい研究と位置づけることができるのではと、それぞれの論文を読んでみてあらためて感じました。二つ目は、前号の編集後記にも書きましたが、分野単位に出されている学術雑誌と比べると、このシンセシオロジーに掲載されている学術論文には異なることが多く書かれています。前回はステークホルダーについて触れましたが、今回は価格、不確かさ、循環的発展、実時間、社会活用といった用語が目につきます。これらの用語も、これまでの学術雑誌では触れられることがない用語です。一般に分析的な研究が発見やチャンピオンデータを重要視するのに対して、シンセシオロジーが社会的有用性を求めることの違いが、結果として論文の書き方や主張の違いをもたらしているのです。つまり、分野を特定できないこと、そしてこれまでとは異なる視点や論点が加わり始めたことが、論文を投稿してくれる研究者や論文を査読する査読者が、シンセシオロジーが目指すところを理解してくれ始めたことを感じさせてくれます。最後に、今はまだ産総研の研究員による論文投稿が中心ですが、今後は産業界や学界の関係者の投稿が増えていくことを期待しております。そのために、編集体制をどのようにすべきなのか、特に産業界の投稿を増やすにはどのような工夫を行うべきか、日々、編集委員会で議論しております。また、非常に野心的かもしれませんが、これまでのように技術の構成を目指す実践的研究論文を掲載するとともに、一歩引いたところから、シンセシオロジーの論文自身を研究の対象にし、その方法論の確立を目指す論文も出てくることを、私は期待しております。シンセシオロジー、つまり新たに構成学の確立を目指すのであれば、やはりその方法論の一般化も並行して行っていかなければなりません。(普及担当幹事 内藤 耕)

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