Vol.2 No.4 2009
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研究論文:循環発展的なプロジェクト構造を生むバイオインフォマティクス戦略(諏訪ほか)−309−Synthesiology Vol.2 No.4(2009)議論2 タイトルコメント(赤松 幹之)シンセシオロジー的(構成学的)観点からの内容が推察できるように、共同研究によってDBがスパイラルアップして研究が進展していったことを論じた論文であることを示すようなタイトルをご検討ください。回答(諏訪 牧子)最初のタイトル「創薬ターゲットGPCRの探索と機能解析−バイオインフォマティクス的戦略−」では、研究の中身は想像がつきますが、ご指摘のように構成学という観点でみたときにバイオインフォマティクス的戦略なるものが、どのようにプロジェクト全体に関わってくるのかは読み取れない内容でした。そこでその点を明確にするべく、「循環発展的なプロジェクト構造を生むバイオインフォマティクス戦略 −創薬ターゲット遺伝子の網羅的機能解析−」というタイトルに変えました。議論3 第2種基礎研究コメント(赤松 幹之)「3.2 遺伝子同定・機能解析パイプライン」第1段落最後:「これらの組合せの研究は、正に第2種基礎研究といえる」とありますが、できれば、どういう点が第2種基礎研究であると考えられているのか解説していただけませんでしょうか。回答(諏訪 牧子)ご指摘の箇所は、遺伝子同定・機能解析パイプラインを開発する内容のところです。この作業は、すでに基礎研究を積み重ねて確立している各要素プログラムを組み合わせてシステム化し、それを制御しながら対象に応用するという観点なので、第2種基礎研究と言えるということであり、この趣旨の文章を加筆しました。議論4 バイオインフォマティクスコメント(中島 秀之)1ページに出てくる「バイオインフォマティクス」の説明ですが、生物学の手段としての情報技術(つまり道具)という位置づけだけが強調されています。確かに本論文ではその側面が強いのですが、生命情報工学研究センターが主張してきたのは「単なる道具ではない」ということでした。情報的考え方・アプローチが大事であるという点を追加しておいてはいかがでしょう。回答(諏訪 牧子)ご指摘の箇所では、実験研究的アプローチでの困難性を軽減させるという観点から見たときに、バイオインフォマティクス技術の持つ強みを強調しようとしたため、「単なる道具」に見えてしまうような偏った内容になってしまった感があります。そのため、バイオインフォマティクスの一般的な定義をまず先に示した後に、その中に含まれる一側面として、上記のような強みを記載する書き方に修正いたしました。バイオインフォマティクスは多様なバックグランドを持った研究者が集まる広い学問であり、その定義の捉え方と、その中のどの側面を切り取って扱うかは、出身分野に従ってかなりの広がりを持っているのではないかと感じています。私の場合は、生物物理学出身ということもあり、生物学的知見を得ることに力点を置きます。そのための試行錯誤は研究対象に左右されて結構泥臭いものになり、この研究対象にはどのようなプログラムをどんな順番でどのように組み合わせるのかという「道具を利用する」的な発想に必然的になることから、本文でもその色が滲み出ていました。これは、本来、対象を選ばずに、美しい体系を適用する方向性を持つ情報学的アプローチとは異なってきますが、このような捉えかたも容認されています。このような多様性こそが、バイオインフォマティクスという分野の発展に広がりを与えるものだと考えています。
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