Vol.2 No.4 2009
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研究論文:循環発展的なプロジェクト構造を生むバイオインフォマティクス戦略(諏訪ほか)−305−Synthesiology Vol.2 No.4(2009)も利用可能であり(http//:griffin.cbrc.jp/)、リガンド分子量とGPCR配列を入力すると、結合するGタンパク質を予測する。リガンド分子量は特定の値でも任意の刻み数で段階的に指定することもできる。段階的なリガンド分子量指定は、結合リガンドが不明なオーファン受容体の結合Gタンパク質予測に役立つ。5 再ジャンプ:今後の研究展開5.1 高次な生命現象の理解これまでは、網羅的な観点ながらも個別遺伝子の機能解析に重点を置いていたが、今後は遺伝子全体のネットワークに根ざした高次な生命現象の理解に向けた研究が必要である。この観点で、現在取り組み始めたのは、哺乳類GPCRの大部分を占める嗅覚受容体が関与するシステムの研究である。嗅覚システムは、膨大な匂い分子種の組み合わせを媒介として記憶や感情を誘引するため、もしこのシステムを体系的に理解できれば、将来的には匂い分子のブレンドにより快適に感じる生活環境を生み出すための研究に繋がる可能性もある。多様な匂い分子に応答する数百種の嗅覚受容体全てからの電気的な活性化信号が、嗅上皮組織で統合され2次元的パターン(匂い地図)へと変換される。このような匂い分子、受容体、細胞、匂い地図の時間、空間的な因果関係を理解したい。具体的には匂い分子に対する全ての嗅覚受容体の活性を予測するプログラム(活性化アレイ)を開発し、ヒトやマウスの全嗅覚受容体に応用する予定である。既に私たちは、SEVENS中に嗅覚受容体を全て保有している。GRIFFINを改良すれば匂い分子に対する全嗅覚受容体の応答シミュレーションができると考えている。5.2 GPCRの新しい研究フェーズ近年のGPCRの立体構造に関する急激な研究の進展も意識する必要がある。これまで長い間、立体構造が解かれたのは、唯一牛のロドプシンのみで、創薬の現場ではこれを鋳型にしたモデリング構造を解析することが当然視されていた。しかし2007年~2008年に異なるファミリーのGPCR構造[14][15]が立て続けに決定されたことから、従来の研究法が急速に大きく変わると予想される。新しい立体構造からは、リガンド結合部位、Gタンパク質結合部位の構造の違いは、ファミリー間で無視できない程度広がっていることが分かったので、結局は鋳型としてGPCRファミリーの代表全ての立体構造を決める必要があることが示唆されている。しかし発現と結晶化がボトルネックとなり、すぐには実現困難であるため、予め立体構造決定とは別の切り口で構造情報を得ておきたい。そこで配列レベルでファミリーごとの立体構造を反映した情報を抽出、概観するのが重要であり、SEVENSは正にこの目的で利用できる。5.3 統合データベースを意識した開発生命情報を収めたDBはライフサイエンス研究を支える図4 現在のSEVENS データベース(http://sevens.cbrc.jp) トップページ : 生物種をクリック検索画面 :染色体マップからの検索例全配列による系統樹相同性検索結果Swiss-Protへのリンクエクソン配列発現情報 by GENE EXPRESS予測膜貫通領域by SOSUI予測Disorder領域by DisopredPfam ドメインPROSITE モチーフ立体構造モデリング染色体マップの拡大図既知の転写制御領域
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