Vol.2 No.4 2009
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シンセシオロジー 研究論文−264−Synthesiology Vol.2 No.4 pp.264-275(Nov. 2009)1 実現しようとする技術的課題近年、マイクロおよびナノテクノロジーへの産業的な興味が高まり、微細な環境を観測する装置や、微細な環境を観測しながら作業をするシステムの需要が高くなっている。観測装置として代表的なものは、光学顕微鏡、電子顕微鏡などが挙げられる。中でも、光学的な限界を超えないマイクロサイズの対象物を簡便に観測するためには、光学顕微鏡が広く使われている。マイクロサイズで大きな市場を持つと期待されるものとして、生体用途としては、光学顕微鏡画像を覗きながらの細胞やDNA操作等の需要がある。また、工業用途としては、LSI製品検査における、ワイヤーボンディングされたチップ表面とボンディング面を同時に観測・検査したいという需要等がある。このような微細作業においては、実際に微細な物体の三次元位置をセンシングしながら作業することが求められる。通常環境と微細環境で大きく異なるのは、後者において(1)物理的なスケール効果により、物体の自重よりもファンデルファールス力などによる粘性が無視できなくなる、と同時に、(2)光学的なスケール効果により、光学顕微鏡で見える光学的な限界に近づけば近づくほど、対象物の見える奥行き方向の範囲(被写界深度)が非常に浅くなる、という現象が特徴的である。本研究では(2)の光学的なスケール効果の問題を主に取り上げた。光学的なスケール効果の結果、顕微鏡画像の様に被写体深度が浅い光学系では、図1にみられるように、ある奥行きの物体に焦点を合わせると、異なる奥行きにある物体に焦点が合わない。そのため、焦点距離を動かしながら大場 光太郎本論文では、マイクロ環境下での光学的なスケール効果の問題を“実時間”で解決する実時間全焦点顕微鏡の構成にあたり、システムを必要となる構成要素に分解し、その構成要素を製品として構築するためのいくつかの試みを紹介しながら、実時間全焦点顕微鏡のシステム構成方法について論じる。実時間全焦点顕微鏡の構成に際しては、マイクロ環境下での作業を前提とし、理論だけにとどまらず、製品化を見据えた実現を視野に入れながら構成した。実時間全焦点顕微鏡の開発・製品化− 微細なものを思いのままに −Kohtaro OhbaDevelopment of real-time all-in-focus microscopes- WYSIWYG in the micro-world -In this paper, our struggle to realize a high-speed digital processed microscopic observational system for tele-micro-operation with a dynamic focusing system and a high-speed digital-processing system using the “depth from focus'' criteria is reported. To realize the system, each functional element and its system configuration had been deeply discussed not only in the academic society but also with several companies, and the final product system had been developed after several trials.キーワード:実時間、全焦点、顕微鏡、開発Keywords:Real-time, Microscope, all-in-focus産業技術総合研究所 知能システム研究部門 〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2Intelligent System Institute, AIST Tsukuba Central 2, 1-1-1 Umezono, Tsukuba 305-8568, Japan Original manuscript received December 5, 2008, Revisions received August 20, 2009, Accepted August 21, 2009図1 微細作業下での顕微鏡画像(4 μmのガラス玉を操作している画像)(a)ガラス玉とピンセットが別の高さ、(b)ピンセットとガラス玉が同じ高さ

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