Vol.2 No.4 2009
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研究論文:実時間全焦点顕微鏡の開発・製品化(大場)−274−Synthesiology Vol.2 No.4(2009)全景縦スライス画像横スライス画像ある焦点距離での通常の顕微鏡画像ボリュームレンダリングされた三次元顕微鏡画像8 将来への課題ここで開発した全焦点顕微鏡カメラは、通常の顕微鏡画像の問題である被写界深度の浅さの問題と奥行き情報が得られないという問題を同時に解決するため、どこでもピントの合った画像(全焦点画像)と、対象物体の三次元的構成を実時間で生成・表示することを目的としたシステムである。全焦点画像と三次元構成を同時に獲得することにより、対象物体を詳細に観測することが可能となった。しかしながら、それと同時に通常の顕微鏡が得ている一方方向からの対象物体の異なる複数の焦点距離の映像から、ピントの合っている映像と、その時の一方方向からの奥行きのデータだけを抽出することを特化的に行うことで、多くの情報を捨てざるを得なかったのも事実である。例えば、半透明な物体に対して垂直方向に焦点距離を操作した際、ピントの合う部分が高さ方向に複数ある対象物体も存在するが、この手法では1か所だけを選択することで、無条件に他の部位の観測は不可能となる。光学的なスケール効果をなくすもう一つの方法としては、図23に示すように多数の焦点距離の画像から、そのままボリュームレンダリング用語4する技術についても発案している。これについても特許化している[9]。将来は、ハード的な制約を考えずに全ての奥行き画像をボリュームレンダリングすることで、どの方向からの画像スライスも生成できるような、ハイパー顕微鏡の開発も必要とされるものと期待する。謝辞この研究は、通商産業省工業技術院機械技術研究所(現在の産業技術総合研究所)と、デルフトハイテック株式会社、川鉄テクノリサーチ株式会社、株式会社デンソーの共同研究により行なわれたものを元に産業技術総合研究所と株式会社フォトロンが実用化共同研究を行ったものである。また、本研究の可変焦点レンズの一部は、通商産業省工業技術院の産業科学技術研究開発制度に基づく「マイクロマシン技術の研究開発」の一環として、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から委託を受けた(財)マイクロマシンセンターの再委託業務として、株式会社デンソーが実施したものである。参考文献大場光太郎,J.C.P Ortega, 谷江和雄,林学明,段木亮一,武井由智,金子 卓,川原伸章:実時間マイクロVRカメラの試作,電気学会論文誌E,120-E (6), 264-271 (2000).K. Ohba, J. C. P. Ortega, K. Tanie, G. Rin, R. Dangi, Y. Takei, T. Kaneko and N.Kawahara: Micro-observation technique for tele-micro-operation, Advanced Robotics, 15 (8), 781-789 (2001).大場光太郎:実時間全焦点顕微鏡カメラシステム,日本ロボット学会誌,21 (1), 43-44 (2003).特許3737483, 実時間全焦点顕微鏡カメラ石原満宏, 吉澤 徹:最近の光表面形状計測技術, O plus E, 20 (11), 1251-1258 (1998).S. K. Nayer and Y. Nakagawa: Shape from focus, IEEE Trans. on PAMI, 16 (8), 824-831 (1994).児玉和也, 大西隆之, 相澤清晴, 羽鳥光俊:反復法に基づく複数画像からの任意焦点画像の生成, 映像情報メディア学会誌, 51 (12), 2072-2081 (1997).金子 卓, 多矢信之, 川原伸章, 秋田成行, 服部 正:可変焦点レンズを用いた長焦点深度視覚機構, 電気学会マイクロマシン研究会 (1997).特許3627020, 三次元透過型顕微鏡システムおよび画像表示方法[1][2][3][4][5][6][7][8][9]LVDS(Low Voltage Differential Signaling)インターフェース:ツイストペアケーブルを使って非常に高速に動作することができる電気信号の規格。高速カメラなどでは以前より、そのデータ量の多さなどから使われていた。パソコンでも液晶パネルとのインターフェースに使われている。FPGA(Field Programmable Gate Array )処理: 利用者が独自の論理回路を書き込むことの出来るゲートアレイ(PGA)の一種で、ゲートアレイが二次元格子状に並んでいるもの。並列処理演算などに向く。SIMD(Single instruction Multiple data)処理:演算装置において1回の命令で複数データに対する処理を一つの命令で同時に行うもの。ボリュームレンダリング:三次元の物体を二次元画像として表現する際に、物体の表面に陰影をつけてあらわす手法に比べ、物体内部の透過率、色などの情報を持たせることで三次元の物体を三次元的に見せる手法。用語1:用語2:用語3:用語4:用語説明図23 ボリュームレンダリング手法の概要

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