Vol.2 No.4 2009
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研究論文:実時間全焦点顕微鏡の開発・製品化(大場)−272−Synthesiology Vol.2 No.4(2009)ディスプレイに使われている規格である。可変焦点レンズ用のノコギリ波発生回路は高速度カメラ部分のクロックジェネレ-タから同期信号を得て、30 Hzのノコギリ波を発生させ、レンズ駆動アンプでレンズを駆動する。画像処理部では入力デジタル映像信号でIQM演算、画像合成を行い、VGA(Video Graphics Array)信号として出力する。三次元デ-タはLVDS信号でPCに転送する。PCではPCIバスのLVDSキャプチャーボードでデ-タを受ける。機械的に焦点距離移動は、試作1号機と同じものを使ったので問題なかったが、アルゴリズムの方は第1次FS期では特殊なビジョンチップに実装したことから、そのままFPGAには移植が不可能で、FPGA専用にアルゴリズムを修正する必要があったのと、FPGA処理を高速にするために内部メモリを使う必要があったため、メモリ容量を考慮した実装が必要となった。ここでは先に示した逐次処理を実装することでメモリ容量が抑えられ、結果的にFPGAの内部メモリだけで処理ができたため、目的仕様の30フレーム毎秒が可能となった。図17には、試作2号機による出力画像例を示す。前述の試作1号機で示したものと同等の表示結果となってしまっているが、実際には左の列に示した全焦点画像と右の列に示した奥行き画像が動画で観測されている。つまり、各フレームに対して8焦点での記録がなされ、試作1号機が0.5フレーム毎秒であったのに対し、試作2号機は30フレーム毎秒であることから、60倍の処理速度を得ていることになる。6 第3次FS期ここまでの開発で以下のことが明らかになった。・既存の高速度カメラのカメラヘッドとLVDSを使うことで、撮像、通信と処理の分離が可能となり、処理部には一般のFPGAを用いた高速並列処理が可能である。・機械的な焦点距離移動には、可変焦点レンズで可能である。企業との話し合いの中から、それらを高速処理部分はそのまま活かして、ビジネス的な応用が最も可能性のある顕微鏡用途に特化した開発をすることになった。しかし、上述の二つ目の機械的な焦点距離移動については、その精度などの問題から可変焦点レンズを使うことが出来なかった。ここでは第3次FS期において、顕微鏡用途に特化した顕微鏡システム開発について述べる。顕微鏡システムにおいて焦点距離を動かすのに使ったのは、市販の焦点距離移動機構 PI Polytech社製のPZTアクチュエータP-721、20とドライバE-612、C0で、顕微鏡の対物レンズの間に取り付けることにより対物レンズを平行に0-100μm動かすことを可能としている。ここで、4章、5章の試作機で用いていた可変焦点レンズを使わなかった理由としては、可変焦点レンズではレンズの厚みを変化させレンズのf値そのものを変化させているため、厳密には異なる倍率の画像を合成していることになり、高精度の全焦点画像を生成するには不適当であること等が上げられる。図18には試作2号機をベースに、顕微鏡に実装した顕微鏡システムの概観図、図19には通常の光学顕微鏡画像例を、図20には顕微鏡システムで得られた画像をそれぞれ示す。ここで測定対象としては、直径2μmのグラスファイバーを用い、三次元的に交差している画像である。10μm毎の画像を図に示す。1本目のグラスファイバーには30-40μmでピントが合い、2本目のグラスファイバーには60μmでピントが合っていることが見てとれる。提案した全焦点顕微鏡カメラを用いることにより、図20に示すような全焦点顕微鏡画像が得られている。ちなみに(a)全焦点画像1(b)奥行き画像1(d)奥行き画像2(c)全焦点画像2図17 試作2号機出力例図18 顕微鏡システム概観図
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