Vol.2 No.4 2009
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研究論文:実時間全焦点顕微鏡の開発・製品化(大場)−271−Synthesiology Vol.2 No.4(2009)示す。 評価実験として、可変焦点レンズから160 mmの場所に35 mmの奥行きを持つ物体を置いて処理を行った。焦点距離を35 mmの高さの物体をカバーする程度に移動するのに21枚の画像を取り込み処理していることから、奥行き解像度は1.67 mmである。システムの空間解像度は光学機器の設定に依存するが、今回の場合、16 mm×16 mmを画像解像度256×256で処理することから、62.5μm/pixelの解像度を持つ。ここで用いた対象物としては、高さ35 mmの4段の人工的なピラミッド形状のもので、1段目がφ10 mm高さ10 mm、2段目がφ7 mm高さ10 mm、3段目がφ4 mm高さ10 mm、4段目がφ3 mm高さ5 mmである。この時、焦点距離を動かしながら撮られた21枚の画像の一部を図13左に示す。前述のような処理を施すことにより、全焦点画像:図13右とVR表示:図14がそれぞれ得られている。全焦点画像自体は適当であるものの、奥行き画像は平滑化する領域が小さいこと、奥行き方向の解像度が少ないことなどから、大きな分散した結果が得られた。試作1号機の性能としては、領域の大きさの設定や取り込み画像枚数に依存するものの、処理時間は2秒間に1枚程度の出力しか得られていない、MAPP2200での二値画像の取り込み・処理は1秒間に2,000枚から3,000枚をこなす能力を持つことから、処理時間の遅さの原因としては、1)コラム型A/Dが各画素で独立した参照電圧を与えられないため、8ビットの解像度で画像を取り込む際、256回参照電圧を与え逐次比較する必要があること、2)SIMDプロセッサのアーキテクチャが二値画像に特化したものであること、などが挙げられる。5 第2次FS期ここでは、30フレーム毎秒の実時間観測を可能とする全焦点カメラの試作2号機を実現するための第2次FS期について解説する。後述の顕微鏡システムでは、高速撮像においては多くの実績を有する株式会社フォトロンの協力を得ることができた。このシステムでは、高速度ビデオカメラのカメラヘッドを用い、撮像機構と画像処理演算回路とのインターフェースには高速画像転送を可能とするLVDSを用いることで、撮像機構と画像処理演算回路を分離することを可能とした。それぞれに市販の高速度撮像機構(高速ビデオカメラ)と画像処理演算回路(FPGA)を用いた。このように既存の製品をベースとして開発したことにより、製品化への道が大きく開けたと言える。ここで開発した試作2号機の構成を図15、概観を図16に示す。高速センサ-の出力はCDS(Correlated Double Sampling)、ADCを経て高速デジタルインターフェースのLVDSに変換され、画像処理部分に転送される。ここまでが高速度カメラ部分である。LVDSはハイレ-トの映像信号を送る場合の標準インタフェ-スで主にデジタルの液晶全焦点画像単焦点画像DACアンプClock Gen.,CDSADCVGA モニタPC インターフェースLVDS可変焦点レンズ光学系高速センサー全焦点画像奥行き画像図13 全焦点画像の生成概念図図14 VR表示例図15 試作2号機ブロックダイアグラム図16 試作2号機概観
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