Vol.2 No.3 2009
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−244−Synthesiology Vol.2 No.3(2009)報告:学問と技術の統合- 横幹連合・統数研・産総研合同ワークショップ -狭い技術分野に限定した研究開発だけでは、社会や学問の現代的要請に応えられないとの認識が強まっています。2009年1月19日(月)産総研臨海副都心センターにて、産総研シンセシオロジー編集委員会、特定非営利活動法人横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構統計数理研究所(統数研)の3機関が合同で、「学問と技術の統合」に関するワークショップを開催しました。構成的研究方法論の理解や促進のために、また各機関の研究上の理念共有のために、本ワークショップにおける6名の講演概要を紹介します。学問と技術の統合- 横幹連合・統数研・産総研合同ワークショップ -「構成的研究方法論(シンセシオロジー)とは」 産総研副理事長・シンセシオロジー編集委員長 小野 晃産総研ではSynthesiologyと名付けた学術誌を2008年1月に創刊し、季刊でオリジナル版と英語翻訳版を発行しています。電子ジャーナルとしてインターネットで見ることもできます。この学術誌は、産総研の掲げる研究方法論の“本格研究”のうち、特に“第2種基礎研究”に焦点を当てて論文化したものを掲載しています。第2種基礎研究は従来“応用研究”と呼ばれてきましたが、世間の関心を集める基礎的な研究段階(第1種基礎研究)での発明や発見が長いリードタイムを経て現実の製品となる段階(製品化研究)までの研究開発上の“死の谷”に相当します。この死の谷の期間を基礎研究と位置づけ研究していこう、そしてそれはどういうものであるのかをオリジナルな論文として著してみようということになったのです。研究の展開に関して、時間の経過に沿って基礎から応用を経て開発に至るリニアモデルをよく見かけます。しかし、本格研究の視点で捉え直してみると、応用研究に当たる第2種基礎研究はたくさんの第1種基礎研究の成果に依存し、立脚しています。また、開発に相当する製品化研究からのフィードバックもあります。つまり研究展開は一方向ではなく逆方向も同時に存在するというモデルです。このモデルでは研究の担い手である組織やグループ、個人も左から右へ行ったり、右から左へ行ったり、あるいはぐるぐる回ったりします。このぐるぐる回る中で得られた研究成果は既存の学術誌にはなかなか投稿しにくいですし、何より方法論さえもありません。しかし、これまで応用研究と言われてきたものも、実際は基礎研究を個別の分野に単に適用したものではなく、応用研究同士が影響しあい、互いに共有すべき大切な事柄があるのではないか、互いに議論できる題材がたくさんあるのではないかと考えられ、そういう意味で汎用性とか普遍性をもった基礎研究の1つであると位置付け、それを“第2種基礎研究”と名付けました。さて、イノベーションの推進に対しては社会でも大変関心がありますが、大事なのは予算や体制といった政策と、もう1つ研究あるいは研究者自身に関する問題です。特に産総研のような公的研究機関の、恐らく大学もそうだと思いますが、公的研究の成果を社会にどう還元していくかということは重要です。国民とか産業界という成果の受益者自身がニーズを提示し、政府の各省から税金の一部が研究資金として公的研究機関や大学に流れ、研究者はそこで活動して第1種基礎研究の成果を学会に論文投稿します。論文がピアレビューという査読を通って学会に受け入れられれば学術論文として出ていきます。こういう社会還元のルー【日 時】 2009年1月19日(月)13:00~18:10【会 場】 産総研臨海副都心センター本館第1会議室【議 事】 司会進行 鈴木 久敏(横幹連合副会長) 「構成的研究方法論(シンセシオロジー)とは」 (小野 晃、産総研副理事長)「個別適合メガネフレームの製造・販売支援技術」 (持丸 正明、産総研副研究センター長)「知の統合とは」 (木村 英紀、横幹連合会長)「知の統合の研究事例」 (鈴木 久敏、横幹連合監事)「知識社会におけるモデリング」 (北川 源四郎、統計数理研究所長)「モデリングの研究事例」 (樋口 知之、統計数理研究所副所長)

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