Vol.2 No.3 2009
53/74
研究論文:乾電池駆動可搬型高エネルギーX線発生装置の開発(鈴木)−243−Synthesiology Vol.2 No.3(2009)執筆者略歴鈴木 良一(すずき りょういち) 1987年筑波大学大学院工学研究科博士課程前期修了、1991年博士(工学)取得。1987年通商産業省工業技術院電子技術総合研究所入所。2001年産業技術総合研究所主任研究員。電子加速器技術と電子加速器を用いた高エネルギーX線発生・計測や高強度低速陽電子ビームを用いた材料評価技術の開発・応用に関する研究に従事。2004年電気科学技術奨励賞(オ-ム技術賞) 、2005年市村学術賞((財)新技術開発財団)。査読者との議論 議論1 電子加速器小型化での独自の技術開発について質問・コメント(一條 久夫:産総研評価部)電子加速器の小型化の記述では、独自の技術開発であることが分かり難いように思います。著者自身の論文、特許などを引用しつつ、独自性ある研究結果が導かれたことを記される方が良いのではないでしょうか。回答(鈴木 良一)電子加速器システムでは、加速周波数を上げれば小型化ができることは公知の事実であり、それ自体に独自性はありませんが、陽電子の発生用に小型電子加速器の開発を始めたのは我々が最初ですので、それを報告した学会発表の論文を引用しました。また、この成果は本論文の主題ではないため、研究の経緯の章に入れました。議論2 乾電池駆動超小型電子加速器の概念設計での取り組みについて参考文献http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090319/pr20090319.htmlTELL-TERAS Activity Report 1987-1990, Electrotechnical Laboratory, Japan (1990).R. Suzuki, K. Yamada, M. Koike, S. Ichimura, N. Sei, H. Toyokawa, H. Ogawa, M. Yasumoto, R. Kuroda, T. Ohdaira, A. Kinomura and N. Oshima:50 % Reduction of energy consumption in AIST electron accelerator facility, Proc. 3rd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, 242-244 (2006).R. Suzuki: Generation of slow positron beam by an electron LINAC and its applications, Proc. 2nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, 82-86 (2005).鈴木良一:乾電池で動作する超小型電子加速器, 検査技術, 13 (6), 5 (2008).http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20071022/pr20071022.html奥山文雄:カーボンナノチューブを電子源とするX線管,日本放射線技術学会雑誌、58 (3), 309-313 (2002).[1][2][3][4][5][6][7]質問・コメント(一條 久夫)乾電池駆動超小型電子加速器の開発に関する記述に、概念設計と記されていますが、すでに経験した省エネ化を今回の概念設計に如何に活かしたのかを、技術的側面を中心に書き込まれてはいかがでしょうか。回答(鈴木 良一)詳しい内容は知財に登録しているため書くことはできませんが、概念設計において、どのような技術に取り組んだかについて文章を加えました。議論3 非破壊検査への適用可能性や課題について質問・コメント(一條 久夫)原稿では最後のパラグラフで、著者自身の創意・工夫が記されると、独自性が明確になるように思います。また、ここで非破壊検査への適用可能性や課題についても記されては如何でしょうか。回答(鈴木 良一)図と文章の言葉を統一しました。超小型加速器の冷温水系が無いシステムについての説明を加えました。このパラグラフと次のパラグラフで、超小型加速器の課題とカーボンナノ構造体X線源開発にいかに繋がったかについて書き込みました。議論4 本研究の構成要素について質問・コメント(田中 充:産総研研究コーディネータ)省エネ化、小型化、電子源の導入が本研究の構成要素と考えられます。それらを支える広範な技術が加速器施設を用いた研究のバックグランドの上に培われていたところへ、省エネ化・小型化を図らねばならないとの強い要請への対応の実経験がその実用化に拍車を掛けたこと、高性能の電子源に関する外部機関の重要な技術導入も同様に拍車を掛けるのに役だったことが、本格研究の構成学と思います。回答(鈴木 良一)そのとおりと考え、読みやすいように本論文の並び換えをしました。議論5 カーボンナノ構造体のX線源用電子源としての有効性について質問・コメント(一條 久夫)原稿では、カーボンナノ構造体電子源・X線源について、X線源用の電子源として有望・・とのみ記されていますが、数値も交え、どう有効なのかを記されると理解が深まるように思います。また、技術的課題を解決するために検討された種々の方法、カーボンナノ構造体電子源を組み入れることにより期待される効果などを勘案した上、この技術統合に至ったプロセスを簡単に記されると、要素技術の選択・統合が明確になるのではないでしょうか。回答(鈴木 良一)田中査読委員の意見も踏まえ、このパラグラフが論文の主題ですので、これを章としてまとめ、これまでの経緯の前にもってきました。それに伴って、数値も交えて実験結果等を入れ、詳しく説明するようにしました。カーボンナノ構造体の技術の統合については、経緯のほうにも少し説明を加えました。
元のページ