Vol.2 No.3 2009
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研究論文:ガス中微量水分測定の信頼性の飛躍的向上(阿部)−232−Synthesiology Vol.2 No.3(2009)測定時間 / h測定時間 / h測定時間 / h測定時間 / h物質量分率 / (nmol·mol-1)物質量分率 / (nmol·mol-1)物質量分率 / (nmol·mol-1)物質量分率 / (nmol·mol-1)F社製品E社製品D社製品C社製品標準値指示値標準値指示値標準値指示値標準値指示値5050505000000000100100100150100202020201030404040図15 微量水分標準と従来型酸化アルミ静電容量式センサーの指示との比較6 今後の展望国家標準の確立、CRDS微量水分計の登場、校正サービス体系の整備によって、国際単位系へのトレーサビリティが確保された微量水分計測が可能となった。5章の性能試験の結果を見ると、微量水分測定の信頼性が近年になって飛躍的に向上したことが分かる。しかし、そのような測定を行うには現在のところCRDS微量水分計の入手が条件となるが、これはまだ高額な装置であるため誰もがこの条件を容易に満たせるとは言い難い。したがって、「信頼性の高い微量水分計測の普及」の観点からは、市販計測器にまだまだ課題が残されている。この問題の解決には低価格で高性能な微量水分計の登場を待つ必要があるが、これについては、吸着平衡を利用するタイプのセンサーについて、応答性を高める研究開発が計測器メーカーで進められており、一部は既に製品化されている。これらのセンサーの高性能化・低価格化が期待される。また、他の微量水分計の開発に関しては、微量水分計測に特化したフーリエ変換赤外分光計(FTIR)が近年開発・販売されており、CRDS以外の吸収分光法による微量水分計の登場も今後期待される。一方、従来から使われている微量水分計についても、今回試験した機種は全体のごく一部に過ぎず、まだ試験していない機種の中に高性能な微量水分計が存在する可能性は当然ある。新型装置にせよ従来型装置にせよ、装置の性能を実証するには、装置の性能試験(特に応答性、感度、ドリフトに関する)を、微量水分標準へのトレーサビリティが確保できる方法で行うことが肝要であると筆者は考えている。そして、その結果をユーザーにきちんと示すことが、信頼性の高い微量水分計測の普及につながっていくと考えられる。本稿で紹介した内容は全て窒素中の微量水分の計測に関するものだが、半導体製造分野では、窒素以外のガス中の微量水分計測に関する需要が近年急速に高まっている。これについては微量水分標準がまだないので、この問題への対応も今後考えていく必要がある。日本以外の国でも、近年、微量水分標準の整備が進められているが、これらの標準は現在、各国ごとに個別に開発・管理されている状況にある。各国で維持している国家標準の同等性は国際比較という作業を通して確認されるが、微量水分標準に関しては最近ようやく予備的な国際比較が始まったところである。この国際比較にはNMIJ(産総研・計量標準総合センター)、NPL(英国物理学研究所)、NIST(米国標準技術研究所)、PTB (独国物理工学研究所)の4つの標準研究機関が参加しており、現在も進行中である(2009年7月現在)。この結果については、また別途報告したい。国際比較は、産総研の微量水分標準の信頼性をさらに高め、それを他国にも認めてもらう上で極めて重要な作業であるため、今後もこのような活動に積極的に参加していく予定である。謝辞本研究における、装置開発または不確かさ評価に関してご指導・ご協力をいただいた北野寛湿度標準研究室長、高橋千晴博士(前温度湿度科長)、植木正明主任研究員、中尾晨一博士(前流量標準研究室長)、今江理人時間周波
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